Q. 大学費用の準備、今からでも間に合いますか?

<私、悩んでいます>

「教育資金の準備が必要だと思いつつ、マンションを購入したことなども影響して、ついつい後回しになってしまいました。気が付けば、息子はもう13歳。貯蓄は100万円ほどあるものの、実質、教育資金はほとんどないに等しい状態です。今から準備するとしたらどういう方法があるでしょうか?(女性/35歳)」

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • 大学費用がいくら必要かを把握し、目標額を設定する
  • 目標額達成がきびしいようなら、柔軟に変更しよう
  • 教育ローンや奨学金利用、ともに十分な検討や話し合いが大切
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大学費用の目安は400万円

教育資金を貯められず、子供が小学生、中学生になってしまった、いわば「出遅れ世帯」は決して少なくないようです。2人以上の世帯のうち、将来に備えての貯蓄や保険商品などの金融資産をまったく保有していない割合は、世帯主が30歳代、40歳代ともに34%に達しているというデータもあります(※1)。子どもがいない、またはいてもすでに社会人という世帯を差し引いても、教育資金が準備されていない世帯が一定量あることがうかがえます。

では、そういう世帯が教育費をどう準備していくべきか。ポイントは2つあります。
まずは、必要額を把握することです。教育資金について、ただ漠然と不安を抱いているだけでは解決策にはなりません。準備すべき額がわかれば、そのための貯蓄プランが立てられるのです。

高校まで公立ならば、かかる教育費は家計から捻出するのが家計管理の基本。逆に言えば、それまでは家計から捻出できる額だということです。
事前に用意すべき教育資金は大学費用です。その額は進路によって異なりますが、国立大学は4年間で約240万円といったところ。対して、私立文系は約400万円、私立理系なら540万円、私立の医歯系は約2,300万円と突出しています(表参照)。希望する進路が決まっていないのなら「400万円」を一応の目標額(※2)としていいでしょう。

教育資金のため極端な切り詰めは長続きしない

もうひとつのポイントは、準備すべき額に縛られないということです。何だか話が矛盾するようですが、仮に子供が中学1年生の場合、準備期間は6年間。それまで教育資金を貯められなかった家計にとって、6年間で400万円を用意することは容易ではありません。教育資金を貯めるため極端な生活の切り詰めをしても、おそらく長続きはしないでしょう。
大切なのは、家計のバランスです。もちろん、家計を見直す、より節約を意識することは必要ですが、それでも当初の貯蓄プランがきびしくなってきたら、積立額を減額するなど柔軟性を持たせるべきです。

結果として、大学に行く費用が足りなくなったら、どうすべきか。
教育ローンで資金を用意するという方法がありますが、すでに住宅ローンを抱えている世帯であれば大きな家計リスクをともないます。慎重に検討すべきでしょう。
奨学金利用は子どもに大きな借金を負わせるわけですから、安易に考えることはできませんが、ひとつの選択肢ではあります。また、大学が独自に返済免除の奨学金制度を実施している例も少なくありません。ともあれ、奨学金の場合は、子どもとの話し合いや情報収集を十分に行ってください。

(※1)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査・平成29年調査結果」より
(※2)世帯収入に応じて大学(他に短大、専門学校など)の授業料等の支援制度が2020年度からの開始が予定されている

■大学の初年度と卒業までの費用

(単位/円)

  国立(基準額) 私立文系 私立理系 私立医歯系
初年度合計(※1) 817,800 1,166,922 1,544,962 4,822,395
4年間合計(※2) 2,425,200 3,977,697 5,416,924 23,568,950

 文部科学省「平成30年度私立大学に係る初年度学生納付金平均額の調査」より

(国立大学の基準額は文部科学省令による/昼間部/設備・実習費等は除く)

(※1)入学金と授業料の合計。私立は他に施設設備を加算
(※2)私立医歯系は6年間で試算