銀行のしごと、生活設計・マネープランゲーム平成28年3月5日(土)9:50~10:40、10:50~11:40 2年生 受講者数:167名

レポート

 学校公開・土曜授業として、土曜特別出張講座の2テーマ「銀行のしごと(50分)」「生活設計・マネープランゲーム(50分)」計2時間を、2年生全5クラスで実施しました。

 前半の「銀行の仕事」では、生徒たちにとっては身近に感じることが少ない「銀行」について、日々の生活で自分たちが使っている「お金」をキーワードに理解を深めていきました。

 はじめに講師から、物やサービスを商品として扱う企業があるように、銀行はお金を商品として扱っている企業であること、お金を商品として扱うということがどういうことなのか、今日の授業で確認していくことが伝えられました。
 まずはクイズを通して、自分たちがどれだけお金について知っているのか確認をしていきました。 
 Q.1 100円玉の重さは?
 Q.2 1円玉、5円玉、50円玉で一番大きな硬貨は?
 Q.3 破れて2/5の大きさになった1,000円札を銀行に持っていくと、いくらに換金してくれるか?
 Q.4 「円」というお金の単位は、いつから使われるようになったか?
 4問全て正解できた生徒は数人で、自分たちが普段利用しているお金について知らないことが多いということに気付いたようでした。
 次に「お金の3つの役割」について考えてみました。お金を見たことも使ったこともない人にお金というものを説明する場合、「交換の手段」「価値の尺度」「価値の保存」の3点を伝えられるとよいということでした。また、その3つの役割について、「あなたと銀行のかかわり」P18で確認しました。

 ここで、銀行の業務について、DVDを視聴しました。
 銀行が行う「預金」「貸出」「為替」の三大業務を確認することで、銀行は自分の身近な存在であることが分かってきました。
 現在日本には196の銀行が営業していて、約30万人の人たちが働いていること、人々のお金を預かったり貸出したりする銀行は一般の企業とは違い免許制であり、社名には必ず「銀行」とつけなければならないなど、銀行法という法律のもと運営されていることが講師から伝えられました。

 あなたと銀行のかかわりp19,20には、銀行で働く人のいろいろな仕事が載っています。
 経済調査担当、外貨資金担当、個人向け担当の仕事内容から、銀行員になるには語学力やコミュニケーション能力、お金に関する専門知識などが必要になるということが分かりました。
 また、お金を扱うということから、自分自身が信頼されないと成り立たない仕事であること、自動車や住宅購入のための貸出、商業施設や工場の建設のための融資など、銀行業務を通して個人や企業の夢をかなえるためのバックアップを行うことができるのが、銀行員としてのやりがいということでした。

 銀行の仕事を理解したところで、実際に銀行員の業務を体験してみました。
 お札の枚数を正しく数える「札勘」という業務です。講師から「縦読み」と「横読み」の見本を見せてもらった後、一人ひとり実際に取り組んでみました。すぐにコツをつかんでできる生徒、なかなか思うようにできない生徒、それぞれ興味を持って熱心に練習していました。

 最後の質疑応答では、「銀行はいくらまでお金を貸出すことができるのか」、「1行あたりの銀行員の人数はどれくらいになるのか」、「マイナス金利とはどういうことなのか」など、今日の授業内容だけでなく、日々目や耳にしている経済ニュースについて疑問に思う点を質問する生徒もいました。

 後半は、自分とお金との関わりについてゲームを通して体験していく「生活設計・マネープランゲーム」です。
 授業の冒頭に講師から「お金との関わり方についてシミュレーションするゲーム」であることが伝えられ、4〜6人で1班になり、カード、生活設計・マネープランシート、資料集、電卓が配布されゲームがスタートしました。

 まずは20歳代の収入を決めるために裏返した3枚ある収入カードの中から1枚カードを引きました。引いたカードの内容を確認し、20歳代の収入とその収入を得るための仕事の特徴を確認しました。また他の班がどのカードを引いたのかを全員で確認し、3種類のカードの内容を理解しました。
 20歳代の収入が決まったところで、講師から「非消費支出」について説明がありました。収入の中から税金や保険料などが差し引かれ、残りの金額で生活を考えていくことが伝えられました。資料集p1の「給与明細例」から、非消費支出として差し引かれる金額が思いのほか多いことを知り、生徒たちは驚いていました。また、収入によって「非消費支出」の金額が変わることを理解しました。
 次に、基本生活支出カードで20歳代の年間支出と住居費が決まりました。ここまでの貯蓄額を計算し、収入と支出のバランスの大切さに気づいた班もありました。自動車の購入を検討し、20歳代の貯蓄額と思い出ポイントをまとめました。

 続いて30歳代の人生体験をしていきました。
 30歳代では「結婚」「子育て」「住居の購入」など様々なライフイベントがあることが伝えられ、併せて、人生の三大資金について資料集p4,5で確認していきました。
 3枚の裏返した結婚カードを引いて、結婚をするかしないか、共働きか働くのは一人かが決まりました。「結婚する」カードを引いた班は子育てカードを引き、子どもの人数も決まりました。家族構成が決まったところで、30歳代の年収、非消費支出を確認しました。ここでは、非消費支出は年収だけでなく、家族構成によっても金額が変わることに気付くことができていました。
 30歳代の基本生活支出を確認し、現時点での貯蓄額を計算しました。ローンの仕組みについての説明を講師から聞いた後、住居の購入について検討していきました。貯蓄額、家族構成や今後の生活設計を踏まえ、住居の種類と支払い方法についてそれぞれの班で真剣に話し合う姿が見られました。
 次にイベント&アクシデントカードを引くことが伝えられ、どんなイベントやアクシデントがあるのか予めカードを確認しました。ケガや火事などアクシデントの種類によっては、保険に加入することでアクシデントによる支出が補てんされることが伝えられ、保険の加入について検討しました。その後イベント&アクシデントカードを引いた際に実際に保険が役に立った班もあり、保険の役割についても理解することができたようです。

 30歳代までの貯蓄額と思い出ポイントを計算して、20〜30歳代の人生を班ごとにまとめ発表しました。「20歳代の収入と支出のバランスが悪かった」「宝くじが当たったので貯蓄額がマイナスにならなくてよかった」「貯蓄額がマイナスになったけど思い出ポイントがたくさんあったので充実した人生だったと思う」などの感想がありました。

 生徒たちにとっては、銀行の業務と役割を知り、人生設計とマネープランの体験を通して、お金との関わりを「自分のこと」として考えるきっかけとなる授業となったようです。

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