私たちの日常生活と社会経済の動向は、密接なかかわりを持っています。金融サービスが高度化・多様化する今日、私たちが金融・経済動向を把握し、金融商品・サービスのよりよい利用者となるためには、まず目的を明確にし、ライフプランを立てた上で正確な経済情報を収集し、理解することが重要です。
ここでは、私たちが経済動向を見ていく際の基本的な知識・考え方としての金利動向のメカニズム、そして今後私たちが自己責任原則のもとに、経済動向を常にウォッチし、自分の生活に役立てていかなければならないということの象徴的な例として、平成14年に導入された確定拠出年金、そしてライフプランの考え方について解説します。
景気変動によって、金利は影響を受けます。
好景気で消費が活発なときには、企業の生産活動は拡大に向かいます。その結果、設備投資が必要になり、それだけお金が必要になるので、資金需要が高まり、金利は上昇します。
不景気で物が売れず、企業が生産活動を抑えざるを得ないとき、資金需要は低調になるので、金利は低下します。

ボーナスの支払いや納税などで、企業の資金需要が一時的に高まり、金利が上昇することもあります。(季節的要因)
物価変動によっても、金利は変動します。
年利3%で100万円預金した人がいるとします。このときの物価上昇率が1年で5%とすると、現在100万円の自動車は1年後には105万円になってしまいます。このとき、貯蓄は103万円にしかなっておらず、この人は車を買うことができません。また、年利3%で100万円を借り、すぐに自動車を買った人は、1年後、103万円を返済するわけですが、物価上昇率の5%を考慮し、1年後の返済額を自動車の購入時点での価値に引き直すと103万円÷ 1.05≒98万円ということになります。このような状況下にあると、1年後に物を買うより、今のうちにお金を借りてでも買っておいたほうがよいということになり、資金需要は上昇、逆に貯蓄など資金の供給は減るため、金利は上がります。
物価上昇率が1%しかなかった場合はどうでしょうか。1年後、100万円の預金は103万円になっているのに対し、100万円の自動車は101万円となっており、余裕を持って買うことができます。また、この場合に年利3%で100万円を借り、すぐに自動車を買った人は、1年後103万円の返済をする際に、1年前に買ったのと同じ自動車は101万円で売られており、1年前にわざわざ高い金額で買っていたのと同じことになります。このような状況では、預金はそのままにしておいて1年後に買い物をしたほうがよいということになり、資金需要は低下し、逆に貯蓄などの資金の供給は増えるため、金利は下がります。

預金金利や債券の表面利率などを「名目金利」といい、「名目金利」から予想物価上昇率を引いたものを「実質金利」といいます。実質金利が低いと資金需要が高まり、金利は上昇します。逆に、実質金利が高ければ、資金需要は低くなり、金利も低下します。しかし、物価指数は種類も多いため予想物価上昇率の判断は難しく、実際は、実質金利の把握は容易ではありません。
円安ドル高が予想されるときに、あらかじめドルを買っておいて、その後予想通り1ドル=100円から1ドル=110円になった場合、10円の為替差益が生じます。同時に、その時ドルは購買力の強い通貨になっているわけですから、ドルをそのまま保有し、ドルで預金したり、資産運用をしたりする人が増加します。
この状況では、ドル高予想のもと、ドル資金の供給が増えることになり、ドル金利は低下に向かいます。
また、円建ての預金の解約や金融商品の売却が増加すれば、円の資金供給は減少するので、円金利は上昇します。
円高ドル安が予想される場合は購買力が強い通貨は円ですから、円の保有、円建ての預金や資産運用が増加し、円金利は低下します。一方、ドル建の預金の解約や金融商品の売却が増加するので、ドル金利は上昇します。

円高になると輸入商品の価格が下がり、国内の物価も下がるため、資金需要が低下します。その結果、金利も低下する傾向にあります。それによってドル金利と円金利の差が拡大すれば、高金利をねらった資金がドルに向かい、さらにドル金利と円金利の差は開いていきます。このように、資金は常に有利な方へ移動していくわけです。
確定拠出年金(401K)とは、少子高齢化の進展や高齢期の生活の多様化など、社会経済情勢の変化を背景に、これまでの年金制度を補完するために2002年から導入された新しい年金制度です。
確定拠出年金では、銀行などの運営管理機関が提示するいくつかの金融商品をそれぞれの加入者が選択し、月々の拠出金を運用していくことで、将来受給する年金を確保していくしくみです。
原則的に、運用する金融商品の選択は加入者に任されるため、同じ条件の人でも受給年金額には差が出てきます。ですから、加入者は自分の年金プランをしっかり立て、常に経済・金融の現況を読み取りながら運用する必要があり、まさに自己責任原則の年金制度といえます。

金融商品が多様化・複雑化・国際化するとともに、高齢化社会を迎え、従来の社会保障制度が揺らぐなか、自己責任原則に基づくライフプラン(生涯設計)が求められる時代になりました。このため、個々人のライフプランに合った総合的な資産の運用・管理が必要となっています。
詳しくは「ライフプランと資金の考え方
」をご覧ください。