金融商品・サービスを使いこなす

年代別資金計画

1.「これからのライフイベント(住宅購入や子どもの進学など)に、どれくらい資金が必要ですか?それはどのように蓄えたらよいのですか?」

ライフイベントだけではなく、将来の生活も考えて、あなたの年代やライフステージ(生活の状況)に応じた資金計画を立てましょう。社会情勢が大きく変わっていますので、それぞれの生活を反映させたプランを綿密に考える必要があります。

ファイナンシャルプランナーのワンポイントアドバイス
◆資金計画は、老後の生活まで視野に入れておくことが大切。「このくらいあればやっていけるだろう」と安易に考えるのでなく、どの程度の費用がかかるのか、将来的に実行可能な計画かなど、きちんと情報を入手したうえで考えましょう。子供が小さい時は貯蓄がしやすいですが、成長とともに家計の貯蓄能力が下がることを知っておきましょう。社会保障制度の改革の行方にも気を配る必要があります。

年代別にかかる資金の特徴を理解したうえで、あなたなりの資金計画を立ててください。

20代 貯蓄をはじめる年代です。

まだ貯蓄総額が少ない時期なので、定期性預金で貯蓄の基礎を築くことが大切です。子供がいない、あるいはいても子供が小さい時期は、貯蓄をふやすチャンスの時期ともいえます。給与の3ヵ月分以上の定期性預金が貯まったらその一部を、MMFなどの公社債投信のような比較的リスクの小さな投資信託にチャレンジしてもよいでしょう。

20代の資金計画の特徴

  • フットワークの軽い時期なので、レジャー資金がかかる。
  • 一人暮らしをはじめたり、転勤などで引っ越し費用がかかるケースも多い。
  • 結婚年齢のため、結婚費用が必要になる。
  • 20代に第一子を産むケースが多く、出産費用が必要になる。

20代の主なライフイベント

<就職><一人暮らし><結婚><車の購入><子どもの誕生>

結婚費用の内訳(単位:万円) (ゼクシィ(リクルート発行)調べ)
  2006 2007 2008 2009 2010
結納・会場費 14.0 12.2 12.2 12.0 11.4
両家の顔合わせ・会場費 5.6 5.7 5.5 5.6 5.9
婚約記念品・婚約指輪 35.5 35.7 35.5 36.2 34.3
結婚指輪(2人分) 17.5 18.5 19.9 21.6 21.2
挙式・披露宴総額 303.1 318.7 317.4 330.7 325.7
新婚旅行 51.5 52.9 53.6 53.2 49.3
新婚旅行土産 14.8 13.6 12.9 12.1 11.8
総額(推計値) (注1)(注2) 396.8 414.2 420.5 433.2 423.1
注1.
「結納・会場費」および「両家の顔合わせ・会場費」については実施した人の、その他の項目については費用の発生した人の平均金額であり、各項目の平均金額の合計は、「総額」とは一致しない。
注2.
08年以降は、各項目に掲載している平均値にそれぞれの実施・購入者の割合に乗じて調査対象全体における平均値を算出し、それらを合計して総額を推計している。一方、07年以前は、項目すべての実施または購入有無を回答した人の費用を各サンプル毎に合計し、その合計の平均額を算出している。

30代 安全性と収益性をバランスよく考えて。

貯蓄額が少しずつ増えてきたら、MMFなどの公社債投信での運用を少し増やしてもいいでしょう。また為替相場が円高に振れているときは、外貨預金に預けることも検討してはいかがでしょうか。

30代の資金計画の特徴

  • 30代に入ってから末子を産む場合が多く、出産費用が必要になる。
  • マイホームを購入するための頭金が必要になる。
  • マイホーム購入、転勤などで引っ越し費用がかかるケースも多い。
  • 子どもの入園、入学で教育資金が発生しはじめる。

30代の主なライフイベント

<子どもの誕生><住宅の購入><子どもの進学>

子どもの学習費の内訳(年間)(単位:千円) (平成20年度文部科学省調べ)
    学習費総額 学習塾 家庭教師
(通信教育を含む)
幼稚園 公立 230 54 18
私立 541 108 21
小学生 公立 308 132 40
私立 1,393 310 104
中学生 公立 480 257 86
私立 1,236 237 104
高校生 公立 516 217 81
私立 981 236 122

40代 高額な出費が重なる年代です。

徐々に貯蓄額は増えているはずですが、40代は教育資金の負担などで家計が厳しい時期でもあります。そのため貯蓄額が増えている場合であっても、日常の出費に備えて、投資商品に振り向けすぎないこともこの年代のポイントといえます

40代の資金計画の特徴

  • 子どもが中学校や高校へ入学する時期で、教育資金の負担が重くなる。
  • 40代後半では、子どもが大学に入学するケースもあり、教育資金はピークを迎える。
  • マイホームをローンで購入するなら、どんなに遅くとも40代までに実行すべき。
  • 子どものお小遣いや部活にかかる費用などが家計を圧迫しはじめる時期。

40代の主なライフイベント

<住宅の購入><子どもの進学(高校・大学入学)>

50代 老後資金づくりのラストステージです。

子どもの教育資金負担が終了し、貯蓄額も順調にふえている場合は、老後資金に備えてそろそろ投資の割合を高めてもいいでしょう。ただし、老後資金をふやしたいからと、無理な投資をすると大きく元本割れする可能性もあるので、投資商品の購入は収益性を重視する場合でも安全性を重視した商品への預入残高の半分程度までにするように心掛けましょう。

50代の資金計画の特徴

  • 教育資金の負担もそろそろ終わりが見えてくる時期。
  • 老後資金準備のラストスパート時期なので、老後資金を重視した運用プランをきちんと実行する。
  • 病気の心配が出てくる時期。医療費用も貯蓄として確保しておく必要がある。
  • 老後に備え、加入している生命保険を死亡保障重視から医療保障重視のプランに見直すことも考えよう。

50代の主なライフイベント

<子どもの大学進学><子どもの就職><子どもの結婚><退職後への準備>

60代 定年退職の年代。生活費の見直しが必要に。

できるだけ安全に運用したい場合

60代に入ると、退職金などでまとまった貯蓄ができているはずです。今まで投資の経験がない場合でも、当分使わない余裕資金は、1〜2割程度をMMFなどの公社債投信などで運用してみてはいかがでしょうか。

多少のリスクを取ってもよい場合

在職中に築いてきた貯蓄と退職金を合わせると、ある程度の資産が築けているはずです。日常の生活資金として必要なお金は投資に回すことをおすすめできませんが、貯蓄のうちの2〜3割程度までなら、投資にチャレンジしても良いでしょう。退職後は時間的な余裕もあるはずですから、自分なりの運用方針を立ててから運用をはじめることをおすすめします。その際は、買うときだけでなく、買ったときの条件に合わせてどのタイミングで売るのがよいか、売るときの自分なりのルールも決めておくことをおすすめします。上手に売却できることが運用上手になるコツです。

60代の資金計画の特徴

  • 退職金を含んだ老後の資金運用について検討する必要がある。
  • 古くなったマイホームのリフォーム費用が必要になるケースが多い。
  • 社宅住まいの場合は、引っ越し費用や家の購入費用(現金)が必要になる。
  • 子どもの結婚費用やマイホーム購入費用の支援(贈与)が必要になるケースも多い。
  • 病気への心配がますます高まる時期。イザというときの資金のため、資金の運用は流動性を高めておく。
  • 退職後は時間的な余裕ができるので、レジャー費用などは、多目に見積もっておく。

60代の主なライフイベント

<子どもの結婚><住宅のリフォーム><退職><孫の誕生><旅行などのレジャー>

70代 残し方を考慮した資金運用を。

ゆとりある時間を楽しみながら、資金面では上手に使って上手に残すことを考えたい年代です。そのためには、生活資金を見直し、収入・支出、貯蓄残高の確認をすることも大切。また老人ホーム、介護費用など、将来の不測の事態に備えて考えておきたいものです。

できるだけ安全に運用したい場合

公的年金の不足分を補うなどで、貯蓄が減ってきている人もいらっしゃるでしょう。貯蓄が十分にある人も、貯蓄額に不安を感じている人も、そろそろ安全な運用法に切り換えたほうがいい時期に差しかかっています。相続時の手間も考え、金融機関もいくつかにまとめておくことも検討して、元本割れの心配のない金融商品を中心に運用しましょう。

多少のリスクを取ってもよい場合

貯蓄も十分にあり、投資経験が豊富であっても、そろそろ投資商品に振り向ける割合を減らしたほうが良いでしょう。相続などが生じた場合に、投資商品を相続すると、受け取ったほうはその後の処理に困るケースも多いからです。

70代の資金計画の特徴

  • 資産が多い場合は、相続税対策を綿密に立てておく。
  • 配偶者や子どもへのお金の残し方を決めておく必要がある。
  • 葬儀費用について考えておく。

70代の主なライフイベント

<孫の誕生><旅行などのレジャー>

年金の基礎

年金の種類

わが国の年金制度は公的年金制度と私的年金制度の2種類があります(図1)。

  • 公的年金は、1.国民年金、2.厚生年金、3.共済年金に分類でき、給付としては、老後の生活資金(老齢年金)、死亡による遺族への給付(遺族年金)、病気や事故により生じた障害への対応(障害年金)の3種類に分けることができます。
  • 私的年金は企業年金と個人年金に分類でき、前者には確定給付型(年金の受け取り額が一定のもの)の厚生年金基金や適格退職年金、年金の掛金(保険料)が一定の確定拠出年金(日本版401K)等があり、後者には財形年金、保険型個人年金、貯蓄型個人年金等があります。私的年金は老後の生活等のために公的年金による年金支給額では不十分な場合に、これを補完するものです。

年金の仕組み

わが国の年金制度は3階建てと言われ、1階が国民年金(基礎年金)、2階が厚生年金・国民年金基金・共済年金、3階が企業年金となっています(図2)。このうち、国民年金については、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人は全員加入することが義務づけられています。

  • 公的年金の給付額については、物価スライド制やマクロ経済スライド制(被保険者数の減少率と平均余命の増加率を反映させる)が導入されており、5年に1度、年金の給付額と掛金の均衡が保てるように財政の再計算を行なっています。
  • 現在、年金給付財源のうち、3分の1は国が負担していますが、今後、段階的に2分の1まで引上げることになっています。

企業年金

企業年金は従来は確定給付年金が主流でしたが、年金資産の運用利回りの低下や高齢化による支払年金額の増加を背景として、近年、企業年金の積み立て不足が生じ、企業負担額が急増したため、平成13年10月から確定拠出年金制度が導入されました(図3)。

個人年金

個人年金は主として生命保険会社や郵便局が取扱う保険型と、主として銀行や信託銀行、証券会社が取扱う貯蓄型があります。保険型は年金の受け取り期間により、1.終身年金、2.確定年金、3.有期年金、4.定期年金の4種類があります(図4)。また、保険金額が予め定められている定額保険と運用実績に応じて保険金額が変動する変額保険があります。

平成13年4月から、銀行においても信用生命保険等の生命保険商品の銀行窓口での販売が可能となり、その後、個人年金保険、養老保険等の窓口販売が順次可能となり、平成19年12月にはあらゆる生命保険商品の銀行での窓口販売が可能となる予定です(図5)。