都市銀行の平成18年度決算をみると、資金運用益は、金利の上昇により預金利息等が増加したことから、減益となった。経常利益は、役務取引等収支は増益となったものの、株式等関係損益の減益、個別貸倒引当金純繰入額の増加等から、減益となった。また、当期純利益も減益となった。
業容面(末残)をみると、資金調達では、預金が前年度末比0.6%増、資金運用では、貸出金が同0.4%増となった。
資金運用収益をみると、有価証券利息配当金が、有価証券残高(平残)の減少および前年度の特殊要因(一部の銀行における再生専門子会社からの配当受入)による影響の剥落から7,568億円(前年度比305億円、3.9%減)と減少したものの、貸出金利息が、利回りの上昇により2兆8,325億円(同1,036億円、3.8%増)と増加したこと等から、全体では3兆7,721億円(同1,187億円、3.2%増)と増加した。
資金調達費用をみると、預金利息は、預金残高(平残)は減少したものの、日本銀行の金融政策の変更に伴う調達金利の上昇により2,380億円(前年度比1,755億円、281.2%増)と大幅に増加した。また、譲渡性預金利息およびコールマネー利息も、残高は減少したものの、利回りの上昇により471億円(同422億円、857.5%増)、352億円(同319億円、968.4%増)といずれも増加した。この結果、全体では5,907億円(同3,057億円、107.3%増)と増加した。
以上の結果、国内業務部門における資金運用益は3兆1,814億円(前年度比1,870億円、5.6%減)と減益となった。
資金運用収益をみると、貸出金利息は、米国の短期金利上昇の影響等により利回りが上昇(前年度比1.07%ポイント上昇)し、貸出金残高(平残)も増加したことから、1兆3,154億円(同4,738億円、56.3%増)と増加した。また、有価証券利息配当金は、外国証券残高(平残)が減少したものの、利回りが上昇したことから8,481億円(同776億円、10.1%増)と増加した。この結果、全体では3兆437億円(同8,410億円、38.2%増)と増加した。
資金調達費用をみると、預金利息は、米国の短期金利上昇の影響等により利回りが上昇し、預金残高(平残)も増加したことから、1兆2,821億円(前年度比4,579億円、55.6%増)と増加した。また、借用金利息が3,367億円(同744億円、28.4%増)、その他の支払利息が2,801億円(同1,550億円、123.9%増)、譲渡性預金利息が1,709億円(同1,028億円、151.2%増)とそれぞれ増加した。この結果、全体では2兆7,169億円(同9,392億円、52.8%増)と増加した。
以上の結果、国際業務部門における資金運用益は3,269億円(前年度比982億円、23.1%減)と減益となった。
資金運用利回りをみると、貸出金利回りは前年度比0.12%ポイント上昇して1.59%、有価証券利回りは同0.11%ポイント上昇して0.93%、コールローン等利回りは同0.30%ポイント上昇して0.75%といずれも上昇したことから、資金運用利回り全体では、同0.09%ポイント上昇して、1.30%となった。
資金調達原価をみると、預金債券等利回りは前年度比0.09%ポイント上昇して0.13%、コールマネー等利回りは同0.29%ポイント上昇して0.44%となり、経費率は同0.08%ポイント上昇して0.91%となった。この結果、資金調達原価全体では、同0.22%ポイント上昇して、0.99%となった。なお、資金調達利回りは、同0.11%ポイント上昇して、0.20%となった。
以上の結果、国内業務部門における総資金利鞘(資金運用利回り-資金調達原価)は前年度比0.13%ポイント縮小して0.31%、うち、経費部分を除いた総資金粗利鞘(資金運用利回り-資金調達利回り)は同0.02%ポイント縮小して1.10%となった。
資金運用利回りをみると、貸出金利回りは前年度比1.07%ポイント上昇して5.07%、有価証券利回りは同0.54%ポイント上昇して4.27%、コールローン利回りは同1.43%ポイント上昇して5.01%となった。この結果、資金運用利回り全体では、同0.97%ポイント上昇して4.60%となった。
資金調達利回りをみると、預金利回りは前年度比1.21%ポイント上昇して3.69%、コールマネー利回りは同1.64%ポイント上昇して4.95%、また、借用金利息の利回りは同0.71%ポイント上昇して4.57%となった。この結果、資金調達利回り全体では、同1.02%ポイント上昇して3.94%となった。
以上の結果、国際業務部門における総資金粗利鞘は、前年度比0.05%ポイント縮小して0.66%となった。
預金は、末残でみると、国内業務部門では233兆1,551億円(前年度末比1兆3,882億円、0.6%減)と減少したものの、国際業務部門では34兆1,679億円(同3兆421億円、9.8%増)と増加し、全体では267兆3,230億円(同1兆6,539億円、0.6%増)と増加した。内訳を見ると、当座預金は23兆4,461億円(同1兆6,377億円、6.5%減)、普通預金は125兆4,485億円(同1兆610億円、0.8%減)、外貨預金は10兆428億円(同2,853億円、2.8%減)と減少したものの、定期預金は93兆1,855億円(同5兆886億円、5.8%増)と増加した。
平残でみると、国際業務部門では34兆7,738億円(前年度比1兆4,524億円、4.4%増)と増加したものの、国内業務部門では226兆9,579億円(同10兆6,074億円、4.5%減)と減少したことから、全体では261兆7,318億円(同9兆1,550億円、3.4%減)と減少した。
譲渡性預金は、末残では18兆6,645億円(前年度末比2兆1,951億円、10.5%減)と減少し、平残も21兆5,557億円(前年度比4,464億円、2.0%減)と減少した。
貸出金は、末残でみると、国内業務部門では、企業向け貸出が減少し、住宅ローンも流動化の影響等により減少したこと等から、全体では181兆2,033億円(前年度末比3兆7,084億円、2.0%減)と減少した。一方、国際業務部門では、27兆2,877億円(同4兆6,257億円、20.4%増)と引き続き増加した。この結果、貸出金全体の末残は208兆4,910億円(同9,172億円、0.4%増)と増加した。一方、平残は、208兆6,888億円(前年度比1兆5,011億円、0.7%減)と減少した。
銀行勘定のリスク管理債権については、破綻先債権額が1,171億円(前年度末比12億円、1.0%増)、延滞債権額が1兆8,543億円(同790億円、4.1%減)、3カ月以上延滞債権額が565億円(同151億円、21.1%減)、貸出条件緩和債権額が1兆4,290億円(同4,165億円、22.6%減)となった。この結果、リスク管理債権額の合計は3兆4,570億円(同5,095億円、12.8%減)となり、貸出金総額に占める比率は前年度比0.25%ポイント低下して、1.66%となった。
金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が3,570億円(前年度末比1,104億円、23.6%減)、危険債権が1兆7,235億円(同176億円、1.0%減)、要管理債権が1兆4,855億円(同4,317億円、22.5%減)、正常債権が234兆2,337億円(同8兆6,072億円、3.8%増)となった。
有価証券は、末残でみると、外国証券(前年度末比2兆9,405億円、16.3%増)や株式(同5,862億円、3.1%増)が増加したものの、市場金利上昇に備えた投資残高の圧縮および含み損の処理が行われたことから国債(同12兆69億円、21.2%減)が大幅に減少したことから、全体では減少し、102兆3,506億円(同8兆4,994億円、7.7%減)となった。平残でも、101兆2,879億円(前年度比15兆2,716億円、13.1%減)と減少した。
資本金は3兆7,328億円(前年度末比横這い)となり、資本剰余金は5兆6,800億円(同)となった。また、利益剰余金は4兆3,888億円(同7,151億円、19.5%増)となった。
以上のほか、その他有価証券評価差額金が4兆3,766億円(前年度末比1兆76億円、29.9%増)と評価益となったこと等から、純資産の部合計では18兆3,839億円となった。なお、利益水準が高いにもかかわらず純資産の部合計が伸びていない要因には、各グループにおける公的資金返済等に伴う親会社への剰余金の配当等が挙げられる。
担当:小川