Q. 住宅購入は消費増税前がやはり得ですか?

〈私、悩んでいます〉

消費税が10%に上がる前に住宅を購入すべきか、悩んでいます。そもそも、子どもが小学校に入学する3年後に新築一戸建て(物件価格3,500万〜4,000万円)を買う計画でした。しかし、2%のアップは金額としては大きく、現在自己資金は300万円ほどですが、借り入れを増やせば前倒しで購入も可能と考えています(男性/32歳)

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • 住宅取得のトータルコストは、増税前が必ずしも「有利」とは限らない
  • 増税後の支援策を活用すれば住宅取得コストは下げられる
  • 優先すべきはあくまでもライフプランや資金計画に適合した購入時期
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住宅資金を増やせば、増税後に購入の方が有利なケースも

消費税が5%から8%にアップした2014年4月、増税前のいわゆる「駆け込み購入」は住宅でも多く発生し、話題となりました。確かに高額の買い物ですから、3%アップでもその差額は小さくはないでしょう。それでも、結論から言えば、消費増税だけが理由で住宅の購入時期を早めることは、資金的に十分余裕がある場合を除けば、あまりお勧めできません。

ご相談のケースを例に、増税前と増税後について試算をしてみましょう。

まず物件価格ですが、便宜上、同じ物件で比較します。消費税は土地の価格にはかからず、建物の部分だけとなりますので、増税前を3,800万円(税込み)とし、その半分が建物代とすれば、増税後は35万円アップの3,835万円となります。

次に借入額ですが、住宅ローンを組んで住宅を取得する際の諸費用を100万円とすれば、増税前は頭金に回るのは200万円。一方、増税後は頑張って住宅資金を300万円上乗せできたとします。すると、借入額は3,335万円と抑えられます。ただし、ともに完済60歳を目指すなら、増税前は返済期間28年なのに、増税後は25年と短くなります。

この設定で、全期間固定、金利1.5%で試算した結果(表1参照)、増税後の方が、毎月の支払額はわずかに増えますが、注目すべきは支払利息分(「総支払額」から「借入額」を差し引いた額)です(表1参照)。増税前に購入した場合は約841万円ですが、増税後は約666万円。つまり、増税後の方が175万円も、ローンのコストは低いことになります。

もちろん、これはあくまで試算に過ぎません。しかし、とかく「増税前に購入した方がトクだ」と考えがちですが、実際の結果は異なるという場合も少なくないのです。

住宅ローン控除「3年延長」のメリットにも注目

また、制度的に見ても、増税後の購入の方がよりメリットが多いと言えます。

そのひとつが「住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)」。増税前、具体的には2019年9月末までに引き渡された住宅(注文住宅の場合、同年3月までに請負契約がなされていれば、それ以降の引き渡しも増税前)については、住宅ローン減税が適用される期間は10年間となっています。しかし、増税後の2019年10月から20年末の間に契約、入居した住宅については、その期間は3年延長され、13年となります。

控除期間が13年間となった場合、最初の10年間は現行の控除内容と同じですが、11年目以降は、(1)現行と同じ住宅ローンの年末残高(上限4,000万円)×1%、(2)建物購入価格(上限4,000万円)×2%÷3、のいずれか小さい額が控除額となります。もし(2)となった場合、延長された3年間の控除期間で、結果的に消費税2%相当分の負担が住宅ローン減税という形で還元されることになるわけです。

もうひとつ、「すまいの給付金」も増税後に購入した方が有利となります。「すまいの給付金」とは、消費税が5%から8%にアップした際、住宅取得者の負担軽減策として創設された給付金制度のこと。一定の要件を満たした住宅を取得した場合、収入に応じて最大30万円の給付金が支給されますが、増税後は最大50万円に拡充されます。さらに給付対象となる年収も510万円以下までだったのが、775万円万以下にまで広がりました(表2参照)。給付額としては、とくに年収500万円台の人にメリットが大きくなっています。

さらに言えば、増税前に取得するためには、契約期限が決まっていますから、物件を探し、さらに十分検討する時間的余裕がなく、物件を慌てて購入する可能性も当然考えられます。納得できる住宅取得という意味ではリスクがあるわけです。

加えて、前倒しで購入するということは、一般にはそれだけで借入額が増えることになります。大きな負債を抱えることは、それだけで家計リスクをともないます。人生に関わる重要な資金は、住宅だけではありません。資金的に無理をせず、ライフプランに合った購入時期、ローンの返済計画を目指すことが大切だと考えます。

表1■増税前と増税後の住宅ローン試算例

設定条件/諸費用100万円、全期間固定・金利1.5%

  消費税8%で取得 消費税10%で取得
物件価格 3,800万円 3,835万円
借入額 3,600万円 3,335万円
返済期間 28年 25年
毎月の返済額 約13万1,000円 約13万3,000円
総返済額 約4,441万円 約4,001万円
支払利息 841万円 666万円

(※)実際の金融機関による数値とは若干異なる場合があります

表2■「すまい給付金」の給付金額

消費税8% 消費税10%
年収額の目安(※1) 給付基礎金額(※2) 年収額の目安 給付基礎額
425万円以下 30万円 450万円以下 50万円
425万円超

475万円以下
20万円 450万円超

525万円以下
40万円
475万円超

510万円以下
10万円 525万円超

600万円以下
30万円
600万円超

675万円以下
20万円
675万円超

775万円以下
10万円

(※1)都道府県税の所得割額によって決定
(※2)実際の給付金額は、給付基礎金額に登記上の持ち分割合を乗じた額