Q.老後の資産管理のポイントを教えてください

<私、悩んでいます>

来年、定年を迎えます。現在、金融資産は定期預金800万円、投資信託と株式で1,000万円ほど。投資によりシフトしているのは、人生100年時代を思うと、やはり運用で増やすべきと考えているからです。退職金の1,000万円も運用に回す予定ですが、それでも不安はあります。老後の資産管理についてアドバイスをお願いします(59歳/男性)

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • 人生100年時代、老後になってからも老後資金をつくる
  • 運用には「NISA」「つみたてNISA」を活用
  • 家計管理で継続的にコストを下げる工夫を
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運用は老後資金づくりの選択肢のひとつ

2017年の日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性が87.26歳。ただし、これを「平均余命」で見ると、例えば、80歳の平均余命は男性が8.95年、女性が11.84年。この数字は、現在80歳の人が平均で男性はおよそ89歳、女性であれば92歳まで生きるということを示しています。「人生100年時代」は、実際にもうそこまで来ているとも言えるのです。

人生が100年となった場合、マネープランにおいて確実に言えることがあります。それは「老後資金の増大」です。定年となる60歳からスタートして、老後期間はざっと40年。老後に必要な資金は、それを基準に用意する必要が出てきます。毎月の生活費に対する公的年金の不足額を5万円とすれば、計算上、人生が想定より10年延びるだけで老後資金を600万円、15年延びれば900万円上乗せしなくてはなりません。

定年を迎えるまでにそれだけの資金を準備できるのであれば、さほど問題はありません。では、それが現実的に難しい場合、どう対処すべきでしょうか。現役期間に、何もかも切り詰めて将来の老後に備えることには、教育資金や住宅資金も考えれば、無理があります。ご相談のように、老後間近であれば事前に準備する時間が足りません。したがって、長い老後期間を活かし、老後を迎えてからも資金づくりをしていくことが有効な対策となります。

その具体的な方法ですが、貯蓄商品が超低金利の今、資産管理に運用を組み入れることは選択肢のひとつとなります。ただし、定年後の運用には現役時よりも注意が必要です。運用による損失が、一時的であれ、そのまま老後資金の目減りとなるからです。

注意点ですが、まずは投資比率。適正な割合は手持ちの金融資産等によって異なりますが、一般的には60代であれば、多くても30〜50%。70代であれば20〜30%には抑えたいところです。ところが、ご相談者のケースでは、退職金も全額運用に充てれば、投資商品の比率は金融資産の70%超になります。老後資金に一定の流動性を持たせるという意味でも、退職金の大部分は貯蓄商品に預ける方が賢明でしょう。

運用にもコスト意識が大切

資産管理には、運用におけるコスト意識も大切です。金融機関による売買手数料や口座管理料、投資信託の購入時手数料や信託報酬などが挙げられますが、たとえ1、2%の差でも、それが長期間になれば、大きな差になります。それらがもっとも低い金融機関や商品が必ずしもベストとは言えませんが、コストをチェックし比較することはとても重要です。

また、運用に際して、「NISA」や「つみたてNISA」を活用することも、税金を抑えるという点で大きなメリットがあります。両制度ともに、投資による売却益や配当金、分配金にかかる20.315%の税金(復興特別所得税含む)が非課税となるからです。ただし、制度の期限には注意が必要です。期限が2023年までのNISAは、最終年に購入した分についても5年間(※)非課税となりますが、2037年までのつみたてNISAは非課税となる積立期間そのものがその年で終了となります。最終年に購入した商品が非課税となるのは1年間だけということです。

もうひとつ、運用で資産を増やすことだけが、老後の資産管理に必要な要素ではありません。そこで大事になるのが、家計管理です。予算を組んで、その範囲で家計をやりくりする。それが、老後資金の目減りを遅らせることにつながります。しかも、それを継続して行うことが大切です。しかし、節約はときに我慢を強いることになります。それがストレスとなれば、家計管理は続きません。創意工夫で上手に生活コストを抑え、メリハリをつけるために、必要に応じて支出もする。上手に家計をコントロールするように心掛けてください。

(※)ロールオーバーを含めると最長10年間