Q. 老後資金は一体いくらあれば安心……?

<私、悩んでいます>

「来年、下の娘が成人式を迎え、やっと子育ても一区切りがついた気がしています。しかし、夫は来年56歳。気が付けば老後がすぐそこだと思うと、何だか急に不安になってきました。週刊誌の〈老後は1億円必要!!〉などといった見出しも目にします。一体、いくらあれば安心なのでしょうか?(女性/51歳)」

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • 夫婦2人の老後資金、必要額の一つの目安は2,500万円
  • 退職金や資産から不足額を割り出し、より計画的に貯めていこう
  • 60歳以降も働いて収入を得るという意識が今後のポイント
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老後の生活費、公的年金の不足分は月額6万7,500円

老後資金がどの程度必要かは、誰もが関心のあるところ。しかし、残念ながら明確にこのくらいとは言えなのが実情です。
理由は、老後生活にはさまざまな要因が影響するためです。公的年金や退職金、預貯金などの額、持ち家のあるなし、さらには家族の健康状態も大きな要素です。また、長寿化も進んでおり、生活資金をどの程度見込む必要があるかもよく考える必要があります。
では、そのような〝つかみどころのない〟老後資金をどう準備すべきか、考えてみましょう。

総務省統計局の2016年「家計調査」(二人以上の世帯のうち高齢無職世帯の消費支出)によると、世帯主が60歳以上の夫婦世帯における毎月の支出は、食費、住居費、光熱費など生活を維持するために必要な支出(消費支出)で23万9,604円、税・社会保険料など非消費支出を加えて26万8,628円。対して収入は、公的年金などの社会保障給付に、その他収入を加えて20万8,111円。結果、毎月6万517円の赤字となります。

毎年行われているこの調査、ここ10年間は赤字額が5万~6万円台の程度で推移しています。したがって、あくまでも平均値でありますが、老後が身近になってきた50代の夫婦にとっては、より現実味のある金額と言えるでしょう。
この月6万517円の赤字は、高齢無職世帯の生活を維持するために必要最小限の貯蓄の取り崩し額とみることができますが、仮に60~90歳までの30年間、同額の赤字が続けば、総額2,179万円が必要となります。つまり、必要最小限の老後資金として、これだけの金額を用意する必要があるということです(自営業等の国民年金加入者はさらなる上乗せが必要)。
ただし、これは個々人の生活水準を考慮しておらず、家庭によっては介護費や医療費など平均以上に必要になるケースもあります。老後資金は切りよく2,500万円程度を一つの目安として必要金額のベースと捉えてよいと思いますが、これに加えて自らの生活水準や家族構成などを意識しながら各家庭に適した老後資金を検討する必要があります。

公的年金や介護など、老後が抱えるリスクは少なくない

さて、その準備ですが、老後資金は準備期間が短くなりがちです。教育資金や住宅資金がどうしても優先するため、実際に準備するのは50代に入ってからという世帯も少なくありません。
短期間で多額の資金を用意するのは容易ではなく、少しでも早くより計画的に貯めていくことが求められます。そのためには、退職金のほか、保有する保険商品(終身保険、個人年金保険、養老保険など)や投資商品、不動産など、今からできるものは試算して、今後どのくらいのペースで貯めていくべきか割り出します。それをベースに、各家庭に適した老後資金づくりを実践していくことが大切です。

また、将来の公的年金に関しては支給額や支給時期など、不確定要素があることは否定できません。加えて、長寿社会になれば高齢者の介護人口がさらに増え、社会的な費用負担も大きな問題となってきます。自ら設定する老後資金以上に資金が必要になる場合もあるため、可能であれば60歳以降も働き続け、多少でも収入を確保することも、今後の老後資金づくりのポイントとなるでしょう。