Q. 老後資金の準備として、未経験者が投資をするポイントは何ですか?

<私、悩んでいます>

「子育てが3年前に終わり、いざ老後に向けた貯蓄を始めたものの、この低金利でほとんど増えた実感がありません。また、年金や退職金にしても、私が手にする頃にはどのくらいになっているのか……。ならば投資をすべきかと真剣に考えているのですが、まったく未経験のため、不安もあります。私のようなビギナーの投資ポイントを教えてください(男性/51歳)」

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • 投資は無理にする必要はないが、老後資金づくりには向いている
  • ビギナーは「少額」と「分散」を心掛けよう
  • NISAやつみたてNISA、iDeCoによる税制優遇を利用しよう
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投資は貯蓄の目減りのカバーが期待できる

投資には必ずリスクがともないます。一方、元本保証の貯蓄商品は総じて低金利であっても、元金が減ることはありません。したがって、投資を〝しなければいけない〟と決めつけないことです。地道であっても貯蓄によって安全確実に老後資金が準備できるなら、それで目的は達成できるからです。

では、投資は老後資金づくりに不向きかと言えば、それも違います。50歳で始めても、老後まで10年以上の時間があります。投資は長期で行うことで、そのリスクを抑え、結果としてリターンを得ることが期待できるのです。
また、インフレが進行すれば現金の価値は目減りします。1万円で買えたモノが、翌年に1万1,000円出さなければ買えないということが、現実に起こるかもしれません。現金はインフレに弱いので、インフレに負けない資産の持ち方を考えるとすれば、投資の力も必要になるでしょう。

非課税制度を利用するのも投資のポイント

そこで、投資ビギナーであるのならば、まずは試しに投資そのものを体験してみることです。その際のポイントは、リスクヘッジにつながる「少額」と「分散」です。
「少額」とはそのとおり、少額から投資を始めるということ。ボーナスから10万円、あるいは毎月1万円積立で買っていくといった具合です。
もうひとつの「分散」とは、一定の投資商品(株式、債券、外貨、金など)や一定の投資先(国、地域、業種)に偏ることなく、投資対象を分散させること。また、積立などによる購入時期の分散もリスクを抑えるのに効果的です。

具体的な投資方法ですが、銀行や証券会社などに口座を開設して投資を行うのなら、NISA口座(少額投資非課税制度)やつみたてNISAは活用したいところ。本来、売却益や分配金、配当金に対して20.315%(所得税15.315%(復興所得税0.315%含む)、地方税5%)が徴収される税金が非課税となります。NISAの1年間120万円の利用枠やつみたてNISAの1年間40万円の積立投資の利用枠も、少額投資なら十分な大きさでしょう。

また、老後資金づくりが目的であれば、iDeCo(個人型確定拠出年金)という選択肢もあります。掛け金は全額所得控除、運用益は非課税、受取時も所得控除の対象になるという3つの税制優遇にあります。また、掛金は、月々5,000円から、1,000円単位で決めることができ、掛金の額は年に1回変更できるので、自分の収入やライフプランに合った金額が設定できます。