Q. NISAを始めたいのですが、上手な利用のポイントは?

<私、悩んでいます>

「昨年、普段から利用している銀行でNISA口座を開設したのですが、まだ一度も利用していません。実を言うと、そのしくみやメリットも十分理解していないのです。しかし、50歳を超え、そろそろ老後資金づくりに本腰を入れたいと思っています。NISAを活用したビギナー向けの投資ポイントを教えてください(男性/51歳)」

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • NISAは利益が出てはじめてメリットが活かせる
  • リスクを抑えた分散投資を基本に。配当金狙いもひとつの方法
  • 必要以上の保有はせず、機を見て売却も
さらに読む

同時に持てる非課税枠は最大600万円

まず、NISAについておさらいをしましょう。 NISAとは、年間120万円までの投資(買い付け価格)であれば、そこから得る売却益や配当金は、5年間課税されないというもの。また、制度自体は2023年まで続く予定となっています。(※)つまり、その間は毎年120万円の非課税枠が発生し、それぞれが5年間の非課税期間を持つわけですから、同時に持てる同枠は最大600万円となるわけです。

非課税の対象となるのは上場株式、株式投資信託、ETF、REIT。公社債投信や国債、社債、預金などは対象外です。また、NISAを利用するには、金融機関に専用口座を開設(1人1口座)し、その口座から新規で投資した商品のみが対象となります。NISA以外の口座で購入した商品をNISA口座に移すことはできません。口座のある金融機関を毎年変更することは可能です。

また、NISA枠で購入した商品を売却したとしても、その分の金額は再利用できません。50万円で購入した株式を年内に売却しても、その年の残りの枠は70万円だけです。また、年間90万円使ったとしても、残り30万円を翌年に繰り越すこともできません。

初心者はリスクを抑えた分散投資から

では、具体的にはどんな投資法がビギナーに適しているのでしょうか。
ここで考えるべきは、投資で得た利益に対して非課税であることがNISAの最大のメリットだということ。裏を返せば、損失が出ればその恩恵は受けられないということです。
そこで、大きな売却益を出すことでNISAを最大限活かそうと、あえてボラティリティ(価格変動幅)の大きな銘柄や新興市場の銘柄を選び、高いリターンを狙うという個人投資家もいます。ひとつの方法ではありますが、ビギナーにはハイリスクなため、おすすめできません。

初心者であれば、まずはよりリスクを抑えた投資を優先すべきです。具体的には、手軽に分散投資ができ、比較的安定した値動きのインデックスファンド やETFが、ビギナーには買いやすいでしょう。毎月定額で買っていく積立投信もリスク分散の効果が期待できます。また、売買益よりもより確実に利益が見込 める配当金を狙うという買い方も選択肢のひとつ。実際の購入傾向として、高配当な大型の個別株やREITが人気なのもそのためです。
ともあれ、所有する投資商品が大きく目減りしてしまっては意味がありません。また、NISAは非課税期間が限られています。タイミングを見て売却していくといったことも必要となるでしょう。

※ 通常、投資によって得られる配当金や売買益には、通常、一律20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%、住民税5%)が課税される。

(※)2024年以降、新型NISAに移行。新規拠出は2028年末まで予定。