平成30年11月2日(金)14:10~15:00

兵庫県立姫路商業高等学校 商業科(10時間目)

10時間目は、9時間目から引き続き、将来の経済的自立のために必要となる知識を、実感を持って身に付けることを目的とした授業が行われました。前時に引き続き、生活設計・マネープランゲームを活用し、40歳代以降の人生を体験していきます。
 はじめに、前時の30歳代までの人生の疑似体験を振り返り、40歳代以降どのような生活をしていけばよいのか、班で話し合った結果を発表していきました。

【各班感想など】
  30歳代までの感想、40歳代以降に気をつけたいことなど
1班 20歳代は収入が高く、車を買わなかったので貯蓄が多かった。30歳代では結婚し子どもも3人できたので、部屋数の多い豪華な家を購入したが、思った以上に返済が負担になり車も買えなかった。イベント&アクシデントで株価急落のため300万円の支出が発生し、最終的に貯蓄がマイナス100万円となり、今後の人生が危うくなってきた。
40歳代以降もローンの返済などがあるので、安定した生活になるように努めたい。
2班 20歳代では豪華な車を買って貯蓄もあったが、30歳代では結婚もできず、豪華な住居を購入したことで貯蓄がマイナス1800万円にもなってしまった。年齢を重ねるにつれて支出が増える一方で、貯蓄はなかなかできなかった。自宅が火事になるというトラブルに遭ったが、保険に加入していたので、支出がなくて済んだ。保険は大事だと思った。
今後は、借金を返済できるようにしたい。
3班 20歳代では支出が少なかったので、豪華な車を買いたかった。
30歳代は人生を楽しもうと考え、結婚し子どもが2人生まれた。その分支出も増えたが、共働きで車や大きな家を買うことができ、充実した生活ができて良かった。
保険に加入していたので、自宅が火事になっても支出がなく、貯蓄が100万円できた。
思い出ポイントがまだ少ないと思うので、40歳代ではもっと充実させたい。
4班 20歳代ではマイナス200万円で借金も多くなく、大丈夫だと思って豪華な車を購入した。自分のためだけにお金を使うことができていた。
30歳代で結婚・子育て(3人)で予想以上に支出が増えてしまった。貯蓄がマイナスで信用がないためローンを利用することができず、家は賃貸。5人家族なので車も大きめのものを購入し、さらに貯蓄がマイナスになった。
今後は転職をして、収入を増やしたいと思う。借金は多いが、思い出ポイントは26と高めで人生を満喫しているので、今後も思い出を増やしながら貯蓄をプラスにできるようにしたい。

 各班で話し合った点を踏まえ、40歳代~60歳までの人生の疑似体験を進めていくこととしました。
 40歳代の人生は、転職をするかどうか、基本生活支出を見直すかどうか班で話し合うところからはじまりました。働き方には、組織に属して仕事をする「会社員」の他に、自身が会社を興して社長となる「起業」、どこにも属さず自分の才能や能力で仕事をしてお金を稼ぐ「フリーランス」という働き方などがあることが先生から伝えられました。仕事とプライベートのバランス、自由になる時間と手にすることができるお金について考えながら、基本生活支出とともに見直しを進めていきました。

 転職するかどうか決まったところで、先生がクラス全体の景気動向を決める「業績カード」を引きました。「大打撃を受ける」となり、すべての班の40歳代の年収が減少しました。40歳代の年収が決まったところで、非消費支出を調べ、自動車の購入を検討して、各支出額を引いて40歳代の貯蓄額を計算しました。続いて保険の加入を検討した後、イベント&アクシデントカードを引きます。生徒たちは30歳代の経験から、不測の事態に備え保険に加入するメリットに気付いており、全ての班が保険加入を選択しました。その後、イベント&アクシデントカードを引いた際、アクシデントに見舞われた班からは、「やはり保険に入っておいてよかった」という声が聞かれました。

 50歳代の人生も、先生が業績カードを引きクラス全体の景気の動向を決めるところから始まります。今度は「不況に陥る」でした。転職をしなかった班は収入が減ることもなく、計画通りに人生が進んでいるようでした。住宅の費用、自動車の購入、保険の加入を検討した後、イベント&アクシデントカードを引きました。50歳代になると子育てが終了し、子育て費用分の支出がなくなるため、30,40歳代よりは多く貯蓄ができるようになってきました。
 50歳代が終了し、いよいよ60歳、退職となりました。転職をしなかった班は退職金カードを引いて、最終的な貯蓄額、思い出ポイントを計算し、まとめを行いました。

 まとめ終わったところで、20歳代~60歳までの人生を振り返り、各班の班長が貯蓄額と思い出ポイントともに発表していきました。

【各班の結果】
  貯蓄額 思い出 気付いたこと、感想など
1班 7,300万円 34 子ども3人、一戸建て住宅も購入できたし、老後の貯蓄もあるのでまだまだ人生楽しめそうだ。宝くじに当たって1,000万円手に入ったが、基本は安定した収入があったから貯蓄ができたと思う。
2班 -2,200万円 34 車は豪華なものを購入し続けた。
振り返ると、結婚せず子どもも居ないので、豪華な一戸建ては必要なかったかもしれない。
安定を求めて転職はしなかったが、その後も収入は増えず最終的にマイナスの貯蓄額になってしまった。しかし、住むところもあり思い出ポイントも案外多いので悪くない人生だ。
3班 9,320万円 41 収入が安定しているので会社員を続けたことで、景気の変動にもあまり左右されずに済んだ。20,30歳代であまり思い出ポイントが貯まらなかったが、貯蓄がマイナスではなかったので、住居も購入できて、家族旅行も当たり順調に思い出も残せた。50歳代は無茶なことをしなければ安定しているし、会社員にとって退職金は大きいと思った。
4班 -8,970万円 36 一発逆転を狙って転職をしたが、景気が悪くなり思ったほど収入が上がらなかった。とても波乱に満ちた人生だった。自分の収入で家族を養っていくという自覚を持たなければと思った。共働きでなければ3人の子育ては難しいと感じた。住居は賃貸、退職金もないので老後が不安だ。でも一度きりの人生、お金より思い出が大事だと考えた。この人生がゲームで良かったと思う。

 最後に先生からは、ゲームを通して収入の範囲内でどのように生活をしていくのか、いつの時点で何にどれくらいのお金がかかるのかを知っておくことにより、計画的にお金を貯めたり使ったりすることができること、プライベートも充実させワークライフバランスをとりながら生活をしていく大切さが伝えられ、授業は終了しました。

 商業の専門科目として学んできたお金の知識と、一人の消費者、生活者としてどのようにお金と関わっていけばよいのかという知識を一致させながら、人生設計やマネープランについて自分ごととして考えることができるようになった10時間の授業となりました。