先生の感想

 今回、金融教育授業の実践対象は1・2年生でした。将来自立した生活をするという意識はまだ低かったようですが、お金を手掛かりに授業を進めることで生活や社会にかかわる知識や物事を具体的に把握することができたと思います。さらに、他人事ではなく自分の問題として考え、工夫し、行動する力が養われ、自立に向けた一歩が踏み出せたのではないでしょうか。
 また公開授業で使った「生活設計・マネープランゲーム」は生徒から大変好評で、楽しく学べてきっちり頭に入った、との感想が多くありました。将来の生活を擬似的に体験することでイメージを膨らませ、より具体的に将来の目標と生活設計を関連づけて考えることができたようです。本校の生徒の多くは、卒業後、進学や就職などで地元を離れていきます。1~2年後に来るであろうひとり暮らしへの期待と不安を抱えて、授業に臨んだことでしょう。生徒達は、今回の授業を通して、実際に生活をしていくためにはこんなにお金が必要なのだとかなり具体的なイメージを掴むことができたようです。生きていくためには様々なお金が必要になるので、将来発生する費用をしっかりと認識し、経済計画も含めた生活設計が大切であることを忘れずに実践していって欲しいと思います。
 また、本校では授業の実践科目は家庭科でしたが、当初、家庭科ではあまり馴染みのない“金融教育”に対して、何ができるのだろうと不安な思いを抱いていました。また、生活の充実を求める家庭科にとって、お金の話はあまりにも現実的すぎる気がしていました。しかし、授業を進めて行くうちに、お金自体が目的ではなく「より良い生き方」のための手段ではないかと思うようになりました。高校生となり、将来進学や就職によって自立した生活を送るようになることを現実的に意識し始めるこの時期に、ライフステージやライフスタイルと家計の関係について理解を深め、これからの生涯設計に役立てられるようにすることは必要不可欠なことだと改めて感じました。
 私自身、初めての教材だったのでなかなか上手くいかないところもあったのですが、工夫次第で多様な活用方法ができるのではないかと思いました。より分かりやすく身近に感じられる授業展開、教材の使い方や時間配分などを研究しながら来年度以降も活用していきたいと思います。
 貴重な機会をいただき、ありがとうございました。