令和元年11月28日(木)13:30~14:20

 3時間目は、「消費者トラブルに遭わないための注意点を説明できるようになる」ことがテーマです。
 本時では、2022年度から成年年齢が18歳となることを踏まえて、消費者の権利や関係する法律・制度を理解し、実際に起きている消費者トラブルの事例から、トラブルに遭わないためにどうしたらよいかを考えていきました。

 1時間目の授業で、キャッシュレス化が進むとどのような社会の変化が起こるかを考えた際に、「ネット通販だとトラブルが起きるかもしれない」、「相手が見えないので騙されてしまう可能性がある」などの意見が出たことを踏まえ、本時は消費者トラブルに遭わないためにはどうしたらよいかを考えていくことが伝えられました。

 はじめに、人口1,000人当たりの消費者生活相談件数の推移※を確認していきました。
 ※出典:消費者庁「平成29年度版消費者白書」
 全体的に年度を追うごとに相談件数は減りつつあるものの、高齢者と20歳代の相談件数が多く、特に20歳代は20歳未満と比較して相談件数が多くなる傾向があることが分かりました。先生からは、高齢者の相談件数が多いのは少子高齢化による人口の影響が考えられること、20歳代で相談件数が急増するのは、20歳で成人した後は保護者の同意なしに本人の意思で契約ができるようになること(未成年者取消権が使えなくなること)が理由のひとつとして考えられることが説明されました。また、現在中学校3年生の生徒たちは、成年年齢が18歳に変更される初めての学年なので、自分ごととして消費者トラブルについて考え、対策していく必要性があることが先生から伝えられました。


 ここで、○×クイズを通して「契約」について考えていきました。
 
①「昨日、お店でスニーカーを購入した。帰宅後ネット通販でもっと安く売っているのを見つけた。一度も履いていないので、返品・返金して欲しい。」この契約を一方の都合でやめることができるか、〇×で答えなさい。

 生徒からは、「〇:一度も履いていないので返品・返金に応じてくれる」、「×:欠陥商品ではないので返品できない、自分の都合だから返品・返金できない」などの意見が出ました。
 正解は「×」です。未使用でレシートを持参すると返品・返金に応じてくれる店舗もありますが、あくまでその店舗のサービスであり、一度購入した商品は欠陥等の不備がない限り返品・返金はできないことが説明されました。

②「インターネットで申し込んだアイドルグループのライブチケットが重複して当選してしまった。1枚だけ購入して残りは返品したい。」この契約を一方の都合でやめることができるか、○×で答えなさい。

 生徒たちは正解である「×:自分都合なので返品はできない」を選ぶことができていました。

 日常的な買い物も、売買契約のひとつです。契約が成立すると当事者には約束したことを実行する義務が生じること、買い物の場合、代金の支払いと商品の引渡しが、それぞれ消費者とお店の義務であることを確認しました。

 続いて、消費者の権利、関係する法律や制度、消費者問題・トラブルに関する語句について教科書で確認し、ワークシートに記入していきました。
 「消費者の4つの権利」、「クーリング・オフ」、「消費者契約法の5つの取消要件」、「無料商法・マルチ商法」について、教科書の記載内容にマーカーを引いてしっかりと覚えておくように先生から指示がありました。

 次に、以下の3つの事例が詐欺かどうか、その判断理由と併せて考えていきました。

事例1:どこのお店でも売り切れていた限定物のスニーカーをインターネットで検索したところ、定価の50%引きで販売しているサイトを見つけた。購入手続きをしたところ、以下の指示に従って料金の支払いを行うよう表示された(以下原文ママ)。

銀行振込みがお支払い済みの場合はお手数ですが、お振込み時のフルネームと金額を教えていただきます。どうぞ宜しくお願い致します。
  1. 支払い成功した後、メールで御知らせでください。
  2. 商品の発送はお支払いが成功した場合、24時間以内に行うものとする。
    お振込の場合は「前払い」となります。尚、ご注文してから7日間以内にご入金なかった場合にはご注文をキャンセルさせていただきます、ご了承くださいませ。
    銀行名:安佐北銀行 可部中支店  口座番号:1111-1111  口座名義:山田 太郎
    株式会社ウエストリバー企画  住所:広島県広島市  連絡先:west@abc.com

事例2:ある日、作業着を着た男性が家に訪ねてきて、「水道局の方から来たものですが、水質検査のためこの地域を回っています」と言われたので、検査をしてもらった。その結果、「水道が汚れているので浄水器をつけることをお勧めします。つけないとこれから家族が病気になるかもしれませんよ」と言われ、3万円の浄水器を勧められた。

事例3:SNSの掲示板で、「趣味が同じだ」とメッセージが届いた。その後やり取りをする中で相手から「実際に会おう」と言われ、会うことになった。相手はイケメンで世間話をしていたら「僕は宝石のデザインをしているんだ。僕の職場を見て」と誘われたのでお店に行った。ビルの3階で宝石店とは分からなかった。指輪やネックレスを見せられ「どれが好き?」と聞かれたので、「ピンクのダイヤがかわいい」と答えた。すると相手から、「恋人は宝石好きの人がいい」や「好きな人には僕がデザインした指輪を付けて欲しい」と言われた。さらに相手から、「特別に社長に頼み込んで90万円のものを40万円で売ってもらえる」と購入を勧められた。

 事例の中で気になる部分にマーカーを引きながら、班で話合いを進めていきました。
 「限定品のスニーカーを定価の50%引きで売るはずがない」、「お金を振り込んでも商品が届く保証はない」、「本当に水道局の人かどうか分からない」、「買う気がない人に指輪を売りつけようとしている」など、不審に思う点をどんどん出し合っていきます。
 先生からは、「詐欺だと判断した場合、判断の理由も説明できるようにしてください」と改めて指示がありました。
 3つの事例全てに不審な点はありますが、詐欺であるという理由を明確に説明するのは難しいようで、どの班もホワイトボードにまとめることに時間がかかっていました。
 そこで、次時までに班の考えをまとめておくよう先生から指示があり、本時の授業は終了しました。