授業のねらい

 技術・家庭科(家庭分野)「私たちの消費生活と環境」の項目に関連した内容に当たり、生活における「お金の使い方」と、人生の選択とお金の関わりを学び、併せて、職場体験を控えた2学年の生徒たちに、将来の働き方や生き方を現実的に考えるための題材にする。また、カードゲーム方式を使ったグループワークを行うことで、生徒が主体的に取り組み、興味関心を高めて学ばせる。

教材を活用した授業の実際

 全5時間の授業計画のうち、2〜3時間目で「生活設計・マネープランゲーム」を実施。2時間目に20歳代〜30歳代の人生体験をして生活設計の疑似体験を行い、3時間目に40歳代以降の人生の見直し、人生後半の変化を疑似体験する。その結果から、それぞれの年代における消費や貯蓄など家計に関わるお金のあり方等を理解していく。

 「生活設計・マネープランゲーム」で未来の生活をシミュレートし、消費や貯蓄など、家計に関わる事項について、実感を持って理解する。グループワークに積極的に関わり、意慾的に活動に参加する。

生徒の感想

  • 最初に引いた収入カードで収入が一番少ない仕事になってしまい、「これから大変だな」と思いました。やはり最初の働くところはとても大事だと思いました。実際に私が誰かを何人も養うことはないと思うが、人生何が起こるか想像ができないため、貯金がたくさんできるように収入がたくさんあるところで働きたいと思いました。そのためにも勉強はがんばらなくては……と思いました。
  • 今回の「生活設計・マネープランゲーム」の人生では、貯蓄がマイナスになってしまったので、将来は借金をしないようにしたい。今はまだ子供で税金を払っていないが、大人になり社会に出たときは、たくさんの支出があるので、計画性を持ち、何か目標をもっていきたいと思いました。これからの将来についてもっと考えていきたい。
  • 「生活設計・マネープランゲーム」をして、将来何か大事なことを選択するときに参考になることがたくさん見つかった。
    こんなにどの仕事に就くかを選んだり、どの自動車にするか悩んだり、お金のことを考えたことがないので、いい経験になった。
  • 転職のところで、サラリーマンからフリーランスに転職することにしたときの班の意見は「人生を楽しみたい。チャレンジしたい」といったものでした。その意見に私は賛成でしたが、自分の働き次第では家族に苦労をさせてしまうかもしれないという不安もありました。そこから私は大人が「自由を取る」ということは大きな責任とリスクがあるのだと思いました。
    人生は波乱万丈で楽しいことも、辛いことも、成功も失敗もあってそれが人生で、それをどう上手く生きていくかを考えることが大切なんだと感じました。

先生の感想

 職場体験を3学期に控え、事前学習も始まり、体験する事業所選びを目前にした2年生。まさに自分の将来を考えてみようという時期に「働く意義とは?」という学習も絡めての「生活設計・マネープランゲーム」を活用した授業を実施しました。この時期に実施したことで、より働くことの大切さや、計画的に人生を送ることの重要性をリアルに感じることができた生徒も多くみられました。色鮮やかなカードや記入シートにも瞬時に興味が引き付けられ、楽しみながらも班で活発な意見が飛び交い、様々なライフイベントを擬似体験をすることができました。20〜30歳代、40歳代〜60歳と2回に分けての授業でしたが、生活、仕事の見直しをする2時間目の始まりの時には、どの班も真剣に相談していました。また、思い出ポイントも含めての振り返りでは、多くの生徒が「結婚して家庭を持ち、子供もいる。人生お金だけではなく、心も豊かに過ごしたい」という感想をもってくれたことも、喜ばしいことでした。
 今回、教科の夏季研修で学ばせていただき、授業に取り入れるチャンスをいただきましたが、今後も継続的に実施をしていきたいと思っています。