レポート

 社会科(公民的分野)の「私たちの生活と経済」の単元で、ローンの仕組みについて疑似体験を通して興味を持ち、仕組みを理解したうえで、正しく活用できるようになることを目的にした授業が実施されました。

 「人生で大きな買い物といえば、どのようなものがありますか」という先生の問いから授業はスタートしました。

 生徒からは、「家」、「車」、「バイク」、「結婚指輪」などの意見が出ました。大きな買い物について、ある程度のイメージは持っているようでした。続けて「人生の三大資金」と言われる「住居の購入」、「子どもの教育費」、「老後の生活費」について確認しました。子どもの教育費については、自分が大人になるまでに思った以上のお金がかかっていることを初めて知った生徒が多いようで、驚きの声が上がっていました。

 ここで先生から、本時は家を買う疑似体験を通して「ローン」という仕組みを理解していくことが伝えられ、班活動がスタートしました。活動は、はじめてのお金の時間進行スライド お金を借りる②「ローン」についてに沿って進行していきます。

 各班ともに家族構成等(30歳代、夫婦共働き、子供2人)の条件は共通していますが、生活パターン(収入、支出、貯蓄等)については、代表者が条件の書かれたプリントが入った封筒から1つを選んで決めていきました。それぞれ内容を確認し、30歳代の貯蓄額をワークシートに書き写しました。

 その後、大きな買い物をするときに活用することができる「ローン」の仕組みを確認し、購入したい家の種類と支払い方法について話し合いを進めていきました。家の種類は、マンション(お手ごろ(中古)、標準(新築))と一戸建て(お手ごろ(中古)、標準(新築))の4種類です。

 貯蓄が1,000万円の班では、「20歳代の生活をもう少し計画的に過ごしていれば貯蓄額も今より多く、希望の家を購入することができたのに」という意見があり、生活の見直しをする場面も見受けられました。貯蓄が2,400万円の班では、一括で家を購入することを想定し、その後の生活が成り立つかどうか話合いがなされていました。貯蓄が3,100万円の班では、家の条件(新築か、セキュリティはしっかりしているかなど)へのこだわりが見られました。

 話合いがまとまった班から、結果を黒板に書きだしていきました。各班の結果は以下のとおりです。

 

30歳代貯蓄額 マンション
一戸建て
標準
お手ごろ
一括
ローン
住宅購入後
貯蓄額
理由
1 2,400万 マンション 標準 ローン 800万 すべてにおいてちょうど良い
2 2,400万 マンション お手ごろ 一括 900万 安く一括で払うことができるから
セキュリティがしっかりしていそうだから
3 1,000万 マンション お手ごろ ローン 60万 金が少ない。。。。。
4 1,000万 一戸建て お手ごろ ローン -330万 金が少ない。リフォームできる。
5 3,100万 マンション 標準 ローン 1,500万 子どもがいるから、部屋が多い方がいい。
6 3,100万 一戸建て 標準 ローン 890万 一括では支払い不可能だから。

 各班の結果を確認しながら、先生からは、一括払いはローンよりお金がかからないということ、住宅購入後の貯蓄額がマイナスの班は、実際の生活であれば家計が破綻していることが伝えられました。

 ここで改めて、ローンについて確認をしていきました。

 ローンとは、後から少しずつ返す約束をして、先にお金を借りて必要なときにお金を使うことができる仕組みであること。ローンには、住宅ローンや自動車ローンのように使い道が決まっているものと、カードローンのように使い道が決まっていないものがあること。ローンは、借りる金額や期間、目的に応じて金利(お金のレンタル料)がかかり、この金利にもとづいて支払うのが利息ということが分かりました。

 プリントに記載されていた住居の一括とローンの金額の差は、この利息の差であることも確認しました。

 最後に、ローンの良い点、注意点をプリントにまとめていきました。

ローンの良い点: 必要なときに必要なものを手に入れられる
ローンの注意点: 将来の収入の使い道を決めてしまう
金利によって支払い総額が変わる

 本時の感想をワークシートに記入した後、先生から「ローンは生活を豊かで便利にする役割があります。良い点と注意点を正しく理解して、賢く活用できるようにしていきましょう」と伝えられ、授業は終了しました。