先生の感想

 「消費生活と環境」の学習では、「商品を購入することは、お金を他へ回すこと」「私たちは購入を通して世界を動かしている」という自覚を生徒に持たせたいと考えます。社会や環境に対する責任を持って行動しようとする気持ちを引き出し、自分は世の中に必要な存在であるという自己肯定感につながると思うのです。

 そのための大前提が、「お金やものの循環によって経済生活が成り立っている」ことの理解です。全国銀行協会による資料を使った今回の授業では、まんがによる和やかな導入や、資料を見て空欄に入る言葉を班で相談する作業を通して、お金の流れを視覚的にとらえさせることができました。

 生徒による作業が気付きを生み、「図による分かりやすい説明」が終着点になっていない構成も、この教材の魅力だと思います。たとえば、「あゆむ君がもらったおこづかいはどこからきたのか」をたどる場面。スライドでは一直線に並んでいる「あゆむ君」「家族」「企業」「消費者」ですが、「あゆむ君」も消費者なので、お金の流れは輪になります。「循環」「回っている」「無限ループ」・・・表現は様々でしたが、お金が循環することで経済が成り立っていることに多くの生徒がそこで気付きました。スライドの「まとめ」の言葉は、その後で出てきます。単身世帯の支出割合を考える場面でも、「これでは生活していけないかも」「節約して、必要なものだけ買うようにしよう」という生徒の声の後に「ニーズ」「ウォンツ」の説明が控えています。自分の気づきをスライドが説明してくれているわけです。

 それが、生徒の学習に対する意欲を引き出してくれたと思います。今回は、社会科公民的分野を学習していない生徒対象の家庭科での使用でしたので、資料の一部を削除したり、家庭科で使う用語を取り入れたりして変更させていただきました。その過程で社会科公民的分野の学習内容や扱いを視野に入れることができ、私自身も大変よい勉強をさせていただきました。ありがとうございました。

生徒の感想

  • お金は循環していることがわかり、使っている自分たちのもとに戻ってきているのかもしれないと感じた。必要なものと欲しいものを分けることで、使うお金の量が減ると思うが、それだと企業が損をするのかもしれない。
  • 自分のもとにくるお金は、私たち消費者が商品を買うことによって、循環が成り立ってここにあるということが分かりました。この授業で知った「ニーズ」と「ウォンツ」を考えて買うように意識していきたいと思いました。
  • スライドがわかりやすくて、しっかりと理解することができた。お金は循環していて、そのおかげで生活が成り立っているということがわかった。必要なものと欲しいものをしっかりと考えて、お金を使っていきたいと思った。
  • 消費生活は、いろいろな人がいることで成り立っているのだと思いました。これからは、ニーズかウォンツかを考えて購入したいです。