平成24年10月16日(火)実施

浜松市立細江中学校レポート 基本授業

 社会科公民、金融単元の導入授業として生活設計・マネープランゲームが実施されました。

 授業の始まりは、野末先生の財布にはいくらお金が入っているかを当てることからです。「10,000円」、「22,000円」と声があがります。正解は「110,000円」でした。「この金額には理由があります。浜松市内(学校のある地域)で中卒の1ヶ月の手取り収入が110,000円だからです。」野末先生の説明に「110,000円で足りるのか」「知らなかった」など生徒たちの反応も様々です。

 次に、「車」の写真が出てきました。「将来、車を買って乗りたい人は」という野末先生の質問には、ほとんどの生徒が手を挙げます。「車の他に、将来必要だと思うものは何でしょう。これではないでしょうか」と「家」の写真も出てきます。社会人になったら、自分で収入を得ながら生活の中で必要な物を購入していくことになります。実際の生活とはどのようなものなのか、生活設計・マネープランゲームをとおして体験していくことになりました。

 班と係は事前に決めてあり、カード係又は班長がカードを引くところからゲームをスタートします。
 20歳代では、収入と基本生活支出が決まります。収入と支出のバランスが全くとれていない班、収入に見合う支出になっている班など、既にこの時点で各班の人生に大きな差が出ていました。

 30歳代では、結婚、子育て、家、車について考えていきます。引いたカードによって、結婚して子どもが2人の家族になった班、結婚はしない班など、様々な組み合わせが生じます。結婚しても、どちらか1人だけが働くのか共働きなのかで収入が変わるため、30歳代では収入が増える班も出てきました。
 ゲームが進み、引いたカードで人生が決まっていくなかで、「結婚はしたい」「子どもは2人は欲しい」「車は必要ないと思う」など大切なことは自分で選択・決定したいと、野末先生にカードの変更を依頼する班もありました。保険に入るかどうか決めた後、イベント&アクシデントカードを引きます。「慈善団体に寄付」や「英才教育」など、保険の対象外のイベントが多いようでした。

  40、50歳代と人生が進んでいくなかで、楽しく嬉しいイベントもあれば、思わぬアクシデントに見舞われることもあるということもゲームのなかで体験していきます。 50歳代になると子育てが終了し、子どものための支出がなくなります。「支出はなくなっても、思い出はそのまま加算していいですよね?」との質問に、野末先生は「いいですよ。親子の思い出はどんどん作っていけますからね」と回答していました。

  60歳で定年を迎えるまでの人生を擬似体験した生徒たちの感想は、様々なものになりました。

生徒の感想

  • 収入が少ないのに、よい生活をしようとしたため借金ばかりになってしまった。自分は、持っているお金の範囲内で生活したいと思った。
  • お金がたくさん貯まったのは、うまくいったと思いました。でも思い出ポイントが40しかなかったので、思い出がもっと欲しかったです。お金があることも大切だと思うけど、お金では買うことができない思い出があった方が、幸せに暮らしていけるかなと思いました。
  • 基本生活支出が高く、借金までしてしまったので、大人になったら質素な生活をしたいと思いました。人生には色々なアクシデントがあるので、保険に入るなどの対策をしておきたいとも思いました。
  • 私は子どもが好きなので、子どもが欲しかったです。お金がたくさん貯まったけど、夫婦2人で思い出ポイントが59といった充実した人生だったと思います。お金があってもなくても家族全員で幸せに暮らしたいです。

 ゲームをとおして、生活設計をする際には収入と支出のバランスが重要であること、人生を充実させるには、お金では買うことのできない思い出も大切であることに生徒たちは気付くことができたようでした。また、ローンや保険の賢い活用の方法についても興味を持つことができたようです。