平成25年12月12日(木)実施

幸手市立西中学校レポート 発展授業(活動テーマ3)

 導入として、前回の授業で学習した「預金と貸出の関係」(銀行は、お金に余裕がある人から必要としている人へのお金の橋渡しをしていること」をふりかえり、「では、どのようにして橋渡しをしているのかな?」という問いかけからスタートしました。

 まず、本ワークのテーマである、「アーティストが新規事業を興す」という設定がより理解しやすいよう、「アーティストが新規授業としてテーマパークをつくる」というスライド(教員作成)を投影し、全体共有します。

 テーマパークの建設費用に10億円かかるため、その費用をどのように調達するか、生徒たちに考えさせます。最初に出てきたのは「募金」という意見。その後すぐに「銀行から貸出をうける」「株式を発行する」という意見が出てきました。その他にも「宝くじ」「寄付」「ライブ活動」「グッズ販売」など、中学生らしい意見が続きますが、ある程度、意見が出尽くしたところで、「実際の企業で行われている主な資金調達方法は、【銀行融資】【株式発行】であること」を教員から提示し、【銀行融資】とは「銀行が企業にお金を貸し出すこと」を明確におさえました。

 次に、「あなたたちが100万円貯めました!さあ、あなたたちが大好きなアーティスト、誰にする?一人一人思い浮かべてください!そのアーティストに協力したいですよね!資金調達を応援する方法、考えてみましょう。」と、さらに当事者意識を高めて、興味関心を惹きつけます。そして、先ほど生徒が挙げた資金調達方法に照らし合わせて、「あなたたちは、どのような方法で資金調達を応援できるか」を考えさせます。「ライブをたくさん観に行ってあげる?」「グッズをたくさん買ってあげる?」「寄付してあげる?」など、問いかけながら、それぞれの方法に挙手をさせました。しかし、それだけでは、やはり10億円貯めるのは難しいであろう、ということに気づかせ、再度、【銀行融資】【株式発行】に注目させ、これに協力する方法としては、【銀行預金】【株式投資】という方法がある、ということを提示します。 

 生徒たちの意識が改めて【銀行預金】【株式投資】に向いたところで、ワークシートに記入させます。あなたのお金を【銀行預金】【株式投資】に使うとしたら、それが、アーティストの会社の資金調達につながるか、つながらないか、どちらともいえないか、いずれかに○をつけさせ、その理由も書いてもらい、全体で共有します。 

 次に、【銀行融資】【株式発行】のお金の流れについて、ワークシート1-⑤の模式図の空欄に、各自記入させます。その後、教員が作成した黒板掲示用のヒントカードを使いながら、代表者が出てきて、黒板上で模式図を完成させました。誤った回答はなく、生徒全員が理解できており、最後に完成した模式図をもとに、代表生徒が「間接金融」「直接金融」についてしっかり解説していました。
 これを踏まえ、教員より、あなたのお金を【銀行預金】【株式投資】に使う場合、【銀行預金】はアーティストの会社の資金調達につながるとはかぎらない、【株式投資】は資金調達につながる、ということをおさえました。 

 そして、次のワークに移ります。
 アーティストの新規事業が失敗した場合と成功した場合における、銀行預金と株式投資へのそれぞれの影響について、班で話し合い、ワークシートに記入させます。
 ワークシートへの記入後、代表者が全体共有する中で、「事業が失敗しても成功しても、銀行預金には大きな影響はないが、株式投資の場合、事業が成功すると利益を得ることができるが、事業が失敗すると、大きな損害になる」ということに気づきます。そこで、教員は、「自分のもっている株式が0円にならないようにするためにはどうすればよいだろう?」と問いかけ、「そのようなリスクがどうしたら軽減できるか」を考えさせると、「株を買う時に、よく見極める」「危なそうだったら、売る」「株の変動をグラフでいつも確認する」などの意見が出ました。
 そこからさらに具体的な思考を促すため、ワークシート2-②「あなたなら100万円をどのように使いますか」に、使い方と理由を記載させ、何人かに発表させました。すると「利子が高くなる時に貯金する」「80万円くらい預金、20万円くらい投資する」など、それぞれが自分なりに考えたリスクの少ない使い方を発表することができました。これにより、「銀行預金と株式投資のそれぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自分のお金の使い方を考えることができるようになる」という、本ワークのねらいを達成できたことが確認できました。

 最後に、教員の工夫により、身近な地方銀行のチラシを参考に、「定期預金」「株式投資信託」「個人向け国債」「外貨定期預金」など、資産有用について、より多くの選択肢を示しました。そのうえで、「お金の使い方を決めるときに大切なことはなんだろう」という最後の問いかけをすると、生徒たちは挙手をして、「計画性」「知識」「情報収集」が大切であるということをおさえることができていました。