千葉県立生浜高等学校(千葉県)実施日:平成26年11月26日(水) 学年:3年生 実施学科:「政治・経済」受講者74名

千葉県立生浜高等学校(千葉県) 3年生

 家計管理やローン・クレジットカードの利用など、人生の選択とお金の関わりについて学ぶ講師派遣授業が実施されました。今回は2クラス合同で、90分間の授業です。

 授業の前半は生活設計・マネープランゲームを使用し、20歳代から退職するまでの人生の疑似体験を通して、生活に必要な資金や家計の管理について学びました。はじめに講師から、就職してから60歳で退職するまでにどのくらいの貯蓄ができるのか体験してもらい、その際思い出も大事なポイントになることが説明され、ゲームが始まりました。
 まず20歳代では収入カードで年収を決めたあと、基本生活支出カードを引き、どのような生活を送るのかを決めました。結果を生活設計・マネープランシートに記入し、貯蓄と思い出ポイントを計算しました。
 続いて30歳代では、さまざまな人生のイベントを体験しました。結婚カード・子育てカードを引き家族構成が決まると、家族が増えた班は収入と支出に大きな変化があり、一部の班からは早くも家計の不安を訴える声が聞こえてきました。収入から支出を差し引いて、この時点での貯蓄額を算出した後、表にした3枚の住居カードを見ながら、住居購入に充てることができる金額を考えました。生徒たちは金額だけでなく、家族構成も考えてどんな住居を選択するべきか真剣に話し合っていました。続けて自動車の購入と保険に入るかを検討した後、イベント&アクシデントカードを引きました。
 ここで各班の班長が結果をホワイトボードに記入していき、状況を確認しました。貯蓄は多いが思い出ポイントが少ない班、思い出は多いが借金が4,000万円もある班など、他の班と比較して、自分たちの班はなぜこのような結果になったのかを振り返りました。収支がマイナスになったある班では「20歳代での住居費が高かった」と、収入に見合わない支出があったために、必要なときにお金が足りなくなってしまったことを振り返っていました。
 続けて40歳代・50歳代の収支を計算していき、最後に退職金カードを引いて、最終的な貯蓄額を計算しました。将来に備えて計画的にお金を使うことができていた班や、少ない収入の中でやりくりをする大変さを痛感している班もありました。
 最後に、それぞれの人生を一つの言葉にまとめた「人生のタイトル」を各班につけてもらいました。家族が多く、住居や自動車を購入したうえで貯蓄も思い出もしっかり残せた班からは、「平凡」「理想の人生」などのタイトルが発表されました。「借金が多くても思い出がある!」というタイトルをつけた班は、住居や家族の生活費で支出がかさみ、収支がマイナスになってしまいました。改善策として、夫婦共働きをして収入を増やす、という発表がありましたが、講師からは、収入の範囲内で生活をする必要性・重要性が伝えられました。
 それぞれの人生を発表してもらった後、講師からの「もう一度このゲームをやり直したら、上手くいく自信がありますか」の問いに、多くの生徒が「ある」と答え、今回の体験で生活設計を自分たちなりに考えることができるようになってきたようです。講師から、今回のゲームの内容はみなさんが卒業後、実際に経験をしていくことであり、収入の範囲内でお金を使うことができるよう人生設計をしてほしいと伝えられました。

 ゲームが終了した後は、ゲームの中で出てきた内容の一部を、ローン&クレジットのABCを使って確認をしていきました。P4「ライフプラン作成は収入をもとに!」の給与明細例を見ながら、働いて得た収入はすべて自由に使えるわけではなく、税金や社会保険料などが差し引かれた残りの金額が手取り収入になること、この金額の範囲内で生活設計をし、収入に見合った生活をしなくてはならないことを確認しました。
 次にP36「個人信用情報機関」について確認しました。これはローンやクレジットカードなどの利用者情報を記録している機関で、借りている金額や支払い状況などが登録されています。携帯電話の支払いや奨学金の返済などが滞った場合には延滞記録として残り、将来銀行などの金融機関でお金を借りる場合に、その情報も信用情報として調査されることになります。
 この2つを覚えておき、収支のバランスを考え、返せる見込みがたっているときにローンなどを利用し生活に役立てることができるのがベストだと、講師から説明がありました。

 最後に、銀行員の仕事に触れてもらうため、札勘体験を行いました。各班に配布された100万円分の模擬紙幣を二人で分けて半分ずつ持ち、「縦読み」「横読み」の二つの方法で数えてみました。
 講師が数え方を実演しながら説明すると、生徒たちは日ごろ触れることのない銀行員の技に、楽しみながら取り組んでいました。しばらく練習をした後、1分間で正確にすべて数えることができるか、全員一斉に挑戦しました。模擬紙幣を二分した相手とお互いの数えた金額を言い合うと、ぴったり100万円になったペアは全体の1/3ほどになりました。

 最後に講師から、人生はゲームのように簡単にはいかないが、今日気づいたことをみなさんの人生に役立てて欲しいということが伝えられ、授業は終了しました。

使用教材