平成15年10月21日

三木会長記者会見(東京三菱銀行頭取)

鵜飼専務理事報告

 私からは、次期会長の内定について報告する。
 先週の10月16日に開催された正副会長会議において、三井住友銀行の西川頭取を次期会長に推薦することが決定され、本日の理事会においてそれを了承した。
 なお、会長の正式な選任は、来年4月の理事会において行われる。 


会長記者会見の模様


 ご質問をお受けする前に、私から一点申し上げる。
 都銀懇、地銀協、第二地銀協、信託協は、先月下旬から今月中旬にかけて、15年度の規制緩和要望を取り纏め、総合規制改革会議に提出した。
 銀行界にとって不良債権問題への対応と併せ、喫緊の課題となっているのが、金融業務革新への積極的な取組みとそれによる収益力の強化である。このためには、現状に安住することなく、新たなアイデアによる先進的なビジネスモデルを積極的に開発・構築していくことが必要であり、また、銀行のそうした取組みを後押しするものとして金融業務面での一段の規制緩和が強く求められているところである。
 これまで進められてきた規制緩和によって、銀行、証券、保険の業態間の垣根は低くなり、私共が提供する金融サービス・商品の幅は着実に広がってきた。しかしながら、少子化・高齢化の進展や個人のライフスタイルの多様化等を背景に、お客様のニーズは一段と広がりをみせ、また高度化している。また、法人・個人のお客様を問わず、ワンストップ・ショッピング実現による利便性向上へのご期待・ご要望は非常に強いものがある。
 こうした観点から、私共としては、依然として残る業態間規制の更なる緩和が必要であると考えている。その中でもとりわけ、ニーズも高く、かつ、サービス内容の充実に直結する3項目、すなわち①「投資助言・資産運用アドバイス業務」への参入、②「証券仲介業務」の銀行への解禁、③「保険商品の販売規制」の撤廃については、全銀協としても、重点項目として、その早期実現に向け、関係方面への働き掛けをはじめとして、積極的に取り組んでいきたいと思っている。


(問)
 景気の関係であるが、夏前から始まった株高等を見ると景気にもやや明るさが広がってきたかと思う。一方、先月の会見の後のG7以降、円高が進んで1ドル=110円を割るような状態になっており、懸念もあるかと思うが、そのようなことも踏まえた景気認識を聞きたい。特に最近の円相場について何か思うことがあれば付け加えてお願いしたい。
(答)
 わが国の景気は持ち直しつつあると考えている。輸出の増加に、企業収益の回復、設備投資の持ち直し、など明るい材料が出てきている。企業の景況感も大企業・製造業を中心に回復しているのではないかと思う。株価も底固い。景気回復に向けた前向きの動きが出ていると思う。
 円高については、景気持ち直しの先導役が円高の影響を受けやすい製造業であるだけに、その影響は心配である。ただ、わが国企業は、海外生産の拡大や、為替リスクヘッジ商品の活用などにより、以前に比べ円高耐久力を強めており、為替相場が1ドル=110円前後の円高にとどまるのであれば、景気への影響はそれほど大きくないのではないかと思う。
 ただ、問題は円高のスピードであり、実体経済に見合わないテンポで円高が進んだ場合、これが企業業績に影響し、それが設備投資や株価動向に悪影響を及ぼすことが心配される。また110円程度の円高であっても、そのしわ寄せが中小企業に及ぶ懸念もあるので、その辺を注意深く見守っていく必要があると思っている。


(問)
 金融機関の経営の関係であるが、9月期の業績上方修正が相次いでおり、銀行経営にも明るい兆しがあるとの指摘もあるが、金融機関、金融システムの現状についてどう考えているか。
(答)
 金融システム全体で見る限り、まだら模様ではあるが、金融システムの安定化、経営の正常化に向けた歩みが着実に進んできていると思っている。我々金融機関にとっては、これまで不良債権の処理と株価下落が足かせになっていたが、不良債権問題には各行とも懸命に取り組み、半減目標に向けて順調な処理が進んでいると思う。株価の方はご承知のような状況で、これが足を引っ張ることはなくなってきているので、金融機関のバランスシート面の改善はかなり進んできた。また、P/Lの面では、与信関連費用が減ったことが好影響を及ぼしてはいるが、今後の問題は、更なる不良債権の処理に加え、もう一つの大きな課題である収益増強、P/Lの強化である。それぞれ工夫を凝らして収益増強に取り組むことで、更に正常化が進むのではないか。一年前に比べると今申しあげたように、だいぶ良くなっていると思う。


(問)
 前回会見後に内閣改造があり、金融担当は竹中大臣が留任されたが、それについてどう思うか。また、現在の繰延税金資産の扱い、公的資金投入に関する新法の制定の動き、再来年春のペイオフの全面凍結解除等、金融行政のテーマには、大きなものが幾つかあるが、竹中大臣の留任も念頭にその辺りの認識、見解を聞きたい。
(答)
 まず、竹中大臣の留任に関してであるが、今、私どもは金融再生プログラムに一生懸命取り組んでおり、金融行政の継続と言う意味では宜しかったのではないかと思う。竹中大臣には引続き民間金融機関の状況もよく踏まえた金融行政をお願いしたい。
 繰延税金資産については、これまでも申し述べてきたが、現在主要行は不良債権の集中処理期間、地域金融機関などでは集中改善期間ということで取り組んでいるところであるので、この間に繰延税金資産という大きなルールが変わることは非常に困る。もしも、これをなんらかの形で変えるのであれば、税制の見直しと一体、即ち、三点セットでの見直しがなければ受け入れられないとお願いしている。
 公的資金については、国民のお金を使うのであるから、金融システムが不安定な時に限定して投入すべきものであり、個別行の救済であってはならないという原点は忘れないで欲しい。また、破綻には至らないけれど予備的に注入するという考え方もあるが、これも慎重にやって頂きたい。いずれにしても失敗した際に、その尻が健全な銀行に来るのはおかしいと思う。
 ペイオフについては、予定通り解禁されるのが望ましいと思っている。


(問)
 産業再生機構について、このところ三井鉱山あるいは九州産業交通の見直し等、やや上手くいっていないように思う。一方、大手銀行を中心に各自・各行それぞれが再生に向けた取組みを行っていることもあってか、再生機構との関係は必ずしも上手くいっていないとも聞くが、銀行界として、あるいは個別行として、改めて再生機構との関係についてどのように感じているかを聞きたい。
(答)
 なかなか上手くいかないのではないかとの意見もあるが、そもそも産業再生機構の役割、機能からして難易度の高い案件が持ち込まれることが最初から予想されていたことで、スタートのところはなかなか大変だと思う。機構の方でも仕掛かり案件について一生懸命取り組んでおられるので、早く実績が上がれば、と思っている。
 銀行界と関係が上手くいっていないのではないかということだが、そのようなことはない。銀行界としても不良債権について、処理から再生へと軸足が移っていく中で、機構を活用すべき先は是非活用したいと思っている。最初のところでやや苦戦しているということであって、関係が上手くいっていないということではないと思う。機構には弾力的な判断を頂きたいと思うし、個別行としては、再生という重要な目標に向かって機構を極力活用するように努めていく。
 また、全銀協としても、そうした動きを後押しするために、引き続き機構とコミュニケーションを良くしていきたいと思っている。


(問)
 りそな銀行が業績の大幅な下方修正を行い、最終赤字が1兆8千億円弱ということである。その内容を見ると、不良債権に関する引当の大幅な積み増し、繰延税金資産の3年から1年への大胆な圧縮により、V字型回復を狙っているようである。そのような大胆な処理についてどのように考えるか。また、その処理自体が他の銀行にどのような影響を及ぼすと考えるか。
(答)
 細谷会長に代表される新経営陣としては、この際、一気に問題を処理して、V字型回復をしようということで、かなり徹底した対応をされたと考えている。この処理は、妥当であり、ある意味では当然であると考える。
 他行への影響については、各銀行がこれまできちんとした対応をしていれば、さほど影響はないのではないか。りそなの引当率は、破綻懸念先90%、要管理先50%ということであるが、私どもの例でいえば、一社一社キャッシュフローを見て、この先は80%とか、この先は60%とか、50%などという形で査定結果の積み上げをしている。各銀行においても、こうした形できちんとした引当をしていると思う。そうであれば、これによって、影響を受けるということはないのではないか。
 一方、繰延税金資産の方も、将来収益を算出し、監査法人の厳格な監査を経ているものであり、直ちに今回のりそな銀行の処理の影響が他行に及ぶことはないのではないかと思う。


(問)
 近々衆議院選挙が行われるが、前回の衆議院選挙から3年数ヶ月が経って、その間、銀行界においても実に様々な出来事があったと思う。改めて、この3年間は銀行界にとってどういう年月であったか。
(答)
 金融システム回復ということをずっと標榜しつつ、しかし、不良債権の重みで苦しんで、なかなか回復できなかった。これはデフレ等の景気環境もあったと思うが、そのなかで歯をくいしばって不良債権の処理にあたり、また、株式の処分をするという大変に厳しい3年間であったと思う。その結果として、先ほど申したように、今期になって、環境的な要因もあるが、ようやく不良債権の処理が進み、金融システムの安定あるいは経営の正常化に向けて芽が出てきたところである。


(問)
 金融庁の方から繰延税金資産の算定根拠について開示するように要請がきているようであるが、協会としてあるいは個別行としてどのように対応するのか。
(答)
 9月の金融庁と主要行との意見交換会において、金融庁から正式に、この9月決算から繰延税金資産の算定根拠について開示するよう要請を受けており、これに対応するつもりである。どういう開示をするかということについては、現在金融庁と協議中であり、まだ、これだということを申しあげることはできない。やはり繰延税金資産の算定根拠ということになれば、過去5年間位の業績、それと今後の業績見通し、ということになるかと思うが、その辺をどのような形で開示するかということについては、現在協議中である。


(問)
 預金保険機構の方で、可変保険料率を含めた預金保険の中長期的なあり方について検討が始まり、全銀協からも代表が出ているようであるが、どういった主張をしていくのか。
(答)
 預金保険機構で、やや中期的にという前置きのようであるが、可変料率などの検討が始まっている。可変料率は、我々金融機関にとっても、また、資本主義の原則からしても、理にかなった望ましいものであると思う。ただし、現時点ですぐ導入するのは難しいということで、中期的な課題ではあるが、極力早期に導入して頂きたいと思っている。


(問)
 金融庁が立ち上げた「金融機関の自己資本充実に関する税制研究会」において、繰延税金資産に関連した議論になるかと思うが、全銀協として特にどういった考えを反映させていきたいのか。
(答)
 不良債権処理をする場合に無税償却が国の台所事情から難しいということから、有税償却し、繰延税金資産を計上した。そうである以上、不良債権の集中処理期間中に繰延税金資産について上限を設けるのは非常におかしいのではないか、もしもそういうようなことが起きるのであれば、税と会計と一緒の変更でなければならない、というところである。


(問)
 りそな銀行にあのような大赤字が出ると、3月期に債務超過だったのではないか、という指摘があるが、その指摘についてどのように考えるか。また、トーマツのデューデリの結果、あのような厳しい査定が出ると、金融庁の検査に対する信頼感が薄れてくるのではないかという指摘もあるが、どう考えるか。
(答)
 りそな銀行については、5月に公的資金の導入が決まったが、その時点でも申しあげたとおり、公的資金導入そのものは、金融システム不安を解消するための機動的な措置であったと考える。その際、金融庁としては、直近のデータ、財務諸表で判断するということになるので、それによって債務超過ではないと判断されたのではないかと思う。
 一方、今回の新経営陣の対応については、V字型回復をするために問題を一挙に洗い出すということで、その後のデータを使い、且つ、そのような目的からやっているので、いわば物差しが違うということであると考える。5月の時点で機動的な措置を取るために、その直前で得られる財務計数から判断されたのは止むを得なかったのではないかと思う。
 ただ、非常に多額の公的資金が投入され、これが巨額の不良債権処理に使われていいのか、というご質問だとすると、それは確かに個人的には割り切れないという感じは正直ある。


(問)
 りそながあのような高い引当率に切り替えたことで、りそなと他の銀行が同じ先に融資をしているケースにおいて、実態的な影響が出るのではないかという気もするが、どうか。
(答)
 先ほども申しあげたとおり、我々は個々にキャッシュフローを見て、引当金を積んでいる。これが基本的なやり方だと思う。したがって、りそなと共通の融資先についても、キャッシュフロー等に変化があり、引当をもっと積む必要があれば当然積むが、りそなが何%だからこちらは何%ということではない。やはりその企業のキャッシュフローを判断した上で引当を積むということだと考えている。


(問)
 今の話と関連するが、先ほど、りそなが中間決算で赤字を出すことについて「妥当であり、当然である」とおっしゃられた。しかし、その前段で、公的資金は、システム不安の時に使うべきであって、個別行のために使うべきでない、とおっしゃっている。「妥当であり、当然である」というのは、新経営陣としての判断は妥当であり、当然ということだと思うが、今回のりそなが約2兆円の公的資金を使って不良債権処理をしたということについては、どのように考えるか。
(答)
 先ほどの質問でお答えしたのは、りそなの新経営陣としては、これからりそなをきちんと立て直してV字型回復をし、いずれ公的資金を返したいということで経営に携わるわけであるから、ここで徹底的に処理をするということは、妥当であり、当然であると考える、ということである。
 しからば、そもそもりそな銀行に2兆円の公的資金を投入したことはよかったのか、ということであるが、投入時点では4メガバンクに次ぐ銀行が問題に陥れば、資金シフト等の金融システム不安に直結するという状況判断があったわけであり、その意味で投入自体は機動的・果断な措置であったと思う。ただ、金額が妥当であったかについては、私としては分からない。


(問)
 私は、今回、りそな銀行が公的資金を使って不良債権処理をするのは、個別行のために使ったのではないかというイメージで受けとめているが、会長はそうではなく、金融システムのために使ったのだと受けとめているということか。
(答)
 りそなに投入した時点では、りそな銀行を助けようということではなく、金融システム不安を回避するということで公的資金を入れたわけであるので、それは個別行救済のためではないと考える。


(問)
 りそなは、繰延税金資産の計上を1年分としたが、繰延税金資産が例えば3年とか4年分あると、それはV字型回復を妨げる要因になるとお考えか。やはり、繰延税金資産はおかしなもので、出来るだけ少ないほうが良いと考えているから、この措置を含めたりそなの大きな赤字について評価されたのか。
 それから、可変料率の件について、先ほど「極力早期に導入して欲しい」とおっしゃったが、これは銀行業界全体の考え方と理解してよろしいのか。
(答)
 繰延税金資産の計上は、国際的にも認められており、先ほどから申しあげているように、不良債権処理を進める中で有税償却でやらなければならないことと関連して繰延税金資産の計上が認められたわけである。問題は、見込んだ収益が結果として上げられず、繰延税金資産が解消されなければ、これは本来の趣旨にそぐわず問題であるが、その算定根拠が過去の業績から見て、また将来の見積りから見て妥当であれば、何年でなければならないということはない。ご承知のように、会計の実務指針では「5年を目処に」と書いてあるので、5年で計上することは何ら不健全ではないと思う。ただ、りそなの場合、今後の収益をどう見るか、それから過去が実際はどうであったかということを判断した場合、5年分を見るのは厳しいということであったのではないかと思う。それが1年が良かったのか、3年が良かったのかは存じ上げない。
 しかし、将来収益の見通しがしっかりと立ち、これについて監査法人も厳しくチェックをし、妥当性をみているのであれば、その計上でよいということであり、少なくしたほうがいいとかそういうことではないと思う。
 次に、可変料率については、やはり保険である以上、考え方そのものについての異論はないと思う。ただ、時期として、今、可変料率を導入できる状況にあるかどうかはよく判断しなければならない。


(問)
 中小企業向けの貸出が増えてきている傾向にあることをどう見ていらっしゃるか。また、それが収益の柱になっていくかについてどういった認識をお持ちか。
(答)
 申すまでもなく、中小企業は間接金融を必要とされており、そのため我々銀行にとっては大きなマーケットであり、この層で貸出を増やすことが銀行にとっての本業中の本業というか、経営基盤強化にとっての最重要の課題と認識している。各行とも、中小企業の重要性の認識は勿論あるので、ここへ来て、お気付きのように新しい無担保の商品を開発するとか、審査のスピードを上げ、迅速化を図るようなことに取り組んでおり、中小企業への貸出を伸ばそうという意欲は大いにあると思う。
 東京三菱銀行の例をとっても、「貸興し」ということで、中小企業についても貸出のボリュームを何とか増やそうと、増やすと営業店の成績が上がるような体系にして、発破をかけて指示しているし、それから営業店長の決裁権限・裁量権限を上げるとか色々と取組んでいる。また、無担保の新型商品を出して販売し、一生懸命売っている。例えば簡潔な審査で出来る「融活力」という商品は好調に伸びているが、全体の3分の2が新規のお取引先であり、新たな資金需要の発掘につながっている。
 無担保の商品については、各行とも中小企業宛に色々と力を入れてやろうとしている。4メガバンクが無担保ローンで今年度どれぐらい伸ばすかについて、4行合わせて1兆円というような数字も出ており、これは計画であるが、それだけ力が入っているということだと思っている。


(問)
 少し話がずれるが、今回の選挙絡みの争点の一つで、消費税を2桁に上げていく論議が出てきていたり、マニフェストの中でも色々触れられているが、そのように消費税が上がっていくことについて、どう考えているか。
(答)
 私見になるが、日本の財政の問題、それから社会保険料の問題等を考えると、出る方を抑えることは勿論であるが、やはり財源は、中長期的に見ると、消費税を上げていく外にはないのではないかと思っている。日本経団連もそのような主張であり、私も賛同している。ただ、冒頭でご質問があったように、ようやくここで景気が持ち直してきたところであり、まだまだ油断できない。従って、来年度あたりからこれを導入することには反対である。もう少し状況を見て、しかし何れは、2010年ぐらいにどうなるとか、いろいろあるが、機をみながら導入しなければならないのではないか。要するに中期賛成、短期反対ということである。


(問)
 全銀協の会長人事については、人物本位で選ぶというということになっているかと思うが、西川頭取はどのような理由で推薦されたのか。
(答)
 人物本位で推薦した。次期会長については、いろいろな報道がなされていたが、10月に入って総合的な判断に基づき正式にお願いした。西川頭取は、この厳しい状況のなかで適任ということで、正副会長の意見が一致したものである。


(問)
 先ほどの発言の正確な意味を確認させていただきたい。りそなの引当てに関し、各行は一社一社キャッシュフローをみて引き当てているという発言があったが、これは他行にりそなと共通の取引先があっても、それぞれの銀行が個別にキャッシュフローから判断した引当てをしており、そのどちらも妥当なものなのだ、という意味と捉えてよいか。
(答)
 個別の企業にりそながどういう形でどのように引当を積まれているかは分からない。ただ、私どもの例で申しあげれば、一社一社キャッシュフローをしっかりと見て何年で返せるかということで判断している。そうした形でやることが現在のやり方であり、そのような指導もなされているところである。りそなが、そうしたやり方ではなくで全体で何%という引当の積みかたをされているのであれば、違ってくるかもしれないが、そのような形ではおやりになっていないと思う。 DCF法の下でも毎期引当てを見直しており、今までのやり方がきちんとしていれば、それほど影響はないはずである。りそなとの共通先はすべて90%、あるいは50%で引き当てるというやり方はむしろおかしい。


(問)
 引当について、キャッシュフローで見るというのはひとつの物差しかもしれないが、一方で金融機関によっては相手先を大事にする政策的融資の形であるとか、協調融資を行っている銀行は、メインバンクに慮って自己判断とは別の形で引当てを行うなど、物差しが違う面もありうると思う。また、一部の試算では、りそなの引当率を仮に4メガバンクに適用するとかなりの負担になる、収益は好転しているものの、大幅な引当てを迫られることを考慮するとかえって状況は厳しくなる、という見方もあるが、本当に大丈夫なのか。
 また、全銀協会長の件であるが、だいたい輪番制をとっていると思われ、人物本位というのあくまでも一般論であり、業界のなかでは輪番制に則ったというのが現実なのではないか。今後、金融機関の再編や統合が進んでいくことも考えると、もう輪番制という枠組みはやめたいという考えはあるのか。またかつて全銀協で専任の会長を選ぶような案もでていたように思うが、会長行の輪番制は負担が重いのであれば、業界団体として別の考え方をとることもあるのか。
(答)
 引当の件については、きちっとした数字は把握していないが、りそなの結論が破綻懸念先については90%引当を積みました、要管理先については50%引当を積みました、とうことで、各銀行とも同率で保守的に積みなさいということになれば、現在の引当率よりも高いのであるから、当然計算上は厳しくなる。しかし、取引先も違うわけであり、そもそも一律50%という引当をするのであれば、何もわざわざDCF法などの採用はないわけであり、やはり一社一社きちっと見るべきだと考える。一律に引当てることは、机上の計算はできても現実的ではない。仮にそういう形で引当を行えば、過剰引当ということがおこるケースもありうるのではないか。やはり引当は個別にやるものであり、それが適正かどうかを監査法人や金融庁がチェックするというのが筋だと考える。
 また、会長人事についてであるが、既に数年前から輪番制ではなく互選で選ぶことになっており、このルールは守っている。したがって、正副会長会議で次期会長をどうするかということを議論しており、輪番ということではない。専任会長ということについては、内部で時々話しも出るが、金融界激動の時代でもあるので、実際に銀行経営にあたっている人でないと、現実的に難しい面があるのではないか。ただ、ひとつの課題ではあると思っている。

以上