Q.リモートワークになり、家計支出が増えてしまいました

<私、悩んでいます>

「コロナの影響で、昨年から夫婦ともリモートワークが中心となりました。外出や旅行などはしていませんが、家計支出はなぜか増えている気がします。今後、子どもも希望しているので、少しでも貯蓄を増やしたいと思います。今後、どういう点に注意すべきでしょうか?(28歳/女性)」

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • 家計を再度見直し、支出の中身を把握しよう
  • 無理な節約より、水道光熱費や通信費はプランの見直しを
  • 家計防衛のため、ローンの利用やボーナス依存を減らしていく
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新たな生活に合わせた予算管理を

東京商工会議所の調査(※)によると、都内の企業のリモートワークの実施率は2020年6月の第1週の時点で67.3%、うち従業員300人以上の企業では90.0%となっています。

この数字でもわかるとおり、コロナ禍の影響で、リモートワーク、在宅勤務という働き方が当たり前となりつつあります。そうなると当然、生活費の中身も変わります。自宅で過ごす時間が増えますから、電気や水道の使用量が増えるのは、ごく自然なこと。外出も控えていますから、家で食事をする回数も当然増えます。食材の取り寄せや宅配利用の増加により、食費が増加した世帯もあるでしょう。実際、総務省の「家計調査」によると、「出前」の支出額が2020年4月〜2021年3月までの1年間、毎月、前年同月比で90%以上の増加(2人以上の世帯)となりました。

ご相談者の場合、他に増えた支出費目があるかもしれませんが、ここで大事なことは、ただ漠然と「支出が増えたと思う」では、根本的な解決にはならないということです。

そこでまず、ある意味「新生活」になったのですから、今の家計支出がどうなっているか、あらためて現状を把握しましょう。

具体的にコロナ禍前より、年間を通して、どの費目がどのくらい上がったのか。そして、下がったのか。もっとも大事なことは、家計が赤字にならないことです。その上で、新たに世帯での貯蓄の目標額を決め、その達成のために各支出費目の予算を決めていきます。

(※)「テレワークの実施状況に関する緊急アンケート」調査結果(2020年6月17日発表)より。対象は東京商工会議所会員企業1万2,555社
 

無理な節約よりも効率的な見直しを

目標の貯蓄額とするために、支出を抑える必要がある場合、家計の見直しが必要となります。

ただ、電気や水道を上手に無駄なく使用する工夫、意識は必要ですが、夏場のエアコンなど、無理な節約、我慢はかえって生活に支障をきたすことも考えられます。食費についても、在宅時間が長いことで、家族間に新たなストレスも生まれます。その解消、緩和に食事が役立つならば、多少のアップは必要経費と言えるでしょう。

であれば、電気代の場合、無理に使用を抑えるよりも、契約プランを見直してみる。今は他社との比較もできます。これはスマホ等の通信費も同様。節約と違い、一度見直せばずっとその効果は続きます。

固定支出の削減で言えば、保険の見直しは効果大。必要以上に大きな保障、重複している保障など、これを機会にチェックしてみてください。また、額は小さくても、定額で発生している会員費や利用料など、不要なものは整理することも有効です。

安易なローン利用やボーナス依存は改善を

今後、支出増とともに、収入減にも気を付けなくてはなりません。そうなったときに慌てないよう、今からできる家計防衛はしておくことが望ましいでしょう。

まず、自動車や家電などの購入で無計画にローンを組まないこと。住宅ローンを抱えている世帯は、とくにその意識が必要です。クレジットのリボ払いによる買物や、生活資金が足りないからと安易にキャッシングを利用することも避けるべきです。固定費を増やさないことは、家計防衛の基本となります。

もうひとつ、家計でのボーナスへの依存度を高くしないことです。収入減はボーナスからが一般的です。住宅ローンのボーナス払いや保険の年払いなど、ボーナスからの支出先が決まっている場合、ボーナスの減額は、そのまま毎月の家計に影響してしまいます。

すぐには無理だとしても、ボーナスは余裕資金となるような家計管理を目指すことは、コロナ禍後の家計防衛のポイントだとも言えます。