レポート

 社会科公民的分野「わたしたちのくらしと経済」の授業の中で、生活設計・マネープランゲームが実施されました。お金を通して世の中を見ていくことで、自分の人生とお金の関わり方について理解を深めていくことが今回の授業のねらいです。

 授業のはじめに「どんな時にお金を使いますか?」という質問が投げかけられました。生徒たちからは「おかしを買うとき」「お賽銭をするとき」などの意見があり、これまでの人生の中でもお金と関わって生活していることを確認しました。そして、今回の授業では、今から5年後はどんなお金の使い方や関わり方をしているか疑似体験をすることが伝えられ、「生活設計・マネープランゲーム」がスタートしました。

 生徒たちは4人で班を作り、「班長」「カード係」「記録・計算係」「思い出係」を決め、ゲームの準備をします。班長は、先生のもとに教材を取りにいき、他の生徒はカードとワークシート以外のものは机の中にしまうように指示がありました。
 配布されたマネープランカードは、20〜30歳代で使用するカードが種類ごとにクリップで留めてあり、ゲームの進行に合わせて使用するカードのみを机に並べるようにしました。

 まずは20歳代の人生体験をしていきます。収入カードを1枚引き、カードに書かれている内容を確認しました。その他の2枚のカードはどんな内容だったのかも確認し、自分たちが選んだ仕事の特徴を理解しました。次に、基本生活支出カードを1枚引き、それぞれのカードの収入・年間支出・住居費の金額をワークシートに記入し、20歳代の貯蓄額を計算しました。
 この時点で、貯蓄額がプラスになった班とゼロの班があり、すでに各班の結果に大きな差がありました。先生から思い出ポイントについて説明があり、思い出係が思い出ポイントを集計し、ワークシートに記入しました。

 続いて、30歳代の人生体験をします。30歳代で起こるライフイベントに関するカード「結婚カード」「子育てカード」を用意するよう先生から指示がありました。
 3枚ある結婚カードを見て、どのカードにするか班で話し合います。「結婚する」を選んだ班は、子育てカードで子どもの人数を選び、家族構成が決まりました。
 30歳代の収入から、基本生活支出と結婚費用・子育て費用を引き、30歳代の貯蓄額を計算します。そして、30歳代のもう一つのライフイベントである住居の購入について考えていきます。
 住居は、基本生活支出カード書かれている「あなたが送る生活の特徴」に基づいて決められました。基本生活支出カード①の場合は、「いい家に住む!」という生活の特徴を反映して「豪華」を選択、②の場合は「標準」、③の場合は、「お手ごろ」を選択します。さらに、マンション・一戸建てを購入できるのは、20歳代と30歳代の貯蓄額を合わせた金額が、「一括」または「頭金」の金額以上ある班だけです。この時点で「一括」「頭金」の金額がなかったり、貯蓄額がマイナスになっている班は、「賃貸」を選ぶよう伝えられました。生徒たちは、頭金がないとローンが組めず住居購入ができないことから、大きな買い物をするには貯蓄をしておく必要があることを確認しました。
 その後、自動車の購入、保険加入の検討、イベント&アクシデントを体験しました。
 「人生のイベントやアクシデントは自分の意思に反して降りかかってくることがあります。裏返しのままカードを選んでみましょう」と先生から伝えられ、裏返したままのカードから1枚選びました。「家族のケガ」や「火事」のカードを引いた班は、保険加入の大切さについても気づきました。
 30歳代の貯蓄から、「自動車」「保険」「イベント&アクシデント」の支出や収入を計算し、30歳代までの人生の貯蓄額を出しました。
 生徒たちは、ライフイベントの選択やお金の使い方について班で議論したり、他の班の状況と比較したりしながら、ゲームを進めていました。

 最後に、先生がいくつかの班に、貯蓄額と思い出ポイントの結果を確認しました。貯蓄額がマイナスになった班からは「収入が少ないのに支出が多かった」という声が上がりました。生徒たちは収入と支出のバランスや、生活していくうえでどのくらいの費用がかかるのかなど、実感を持って理解を深めていました。