国際的な金融危機による世界経済の混乱等は収束しつつあるものの、わが国経済を取り巻く環境は、デフレの長期化や円高基調が続く為替相場に加え、東北地方太平洋沖地震の影響等により、依然として厳しい状況が続いています。
こうしたなかでわが国銀行は、バーゼルIII(銀行の自己資本比率規制)をはじめとする国際的な金融規制等の強化も視野に入れ、財務体質の一段の強化や合併・統合等を通じた組織再編成などに積極的に取り組んできています。また、利便性向上とお客さまの安心の確立を目指し、円滑な資金供給をはじめ、これまで以上にお客さまの目線に立った活動を行っている一方で、環境問題への対応等のCSR活動も引続き積極的に行っています。
政府は、金融システムの強化と投資家・消費者の保護を図る観点から、国際的な議論やわが国の実情も踏まえつつ、金融商品取引法をはじめとする関連法について見直しを行うなど、時代に応じた制度整備を図っています。また、わが国の金融・資本市場の競争力を強化するための規制緩和を進めているほか、金融行政の面からも金融規制の更なる質的向上を目指した取組みを推進するなど、市場・規制環境の整備が着実に進められています。
このほかにも、銀行以外の事業者が為替取引を行うことを可能とする資金決済法や、商品デリバティブ取引を横断的に規制する商品先物取引法の整備が行われるなど、金融商品・サービスの高度化・多様化に向けた制度改革も進展しています。
銀行取引に関わる金融犯罪、特に偽造・盗難キャッシュカード問題や振り込め詐欺、インターネット・バンキングにおける情報詐取による被害などが社会問題となっています。こうした問題に対して、銀行および全銀協は、お客さまが安心して銀行を利用できるように、事前の注意喚起や犯罪防止策の強化はもとより、被害者の方々への補償の充実といった事後のセーフティネットの充実を進めています。
一方、政府において国民を主役とした消費者行政への転換が図られており、銀行としても、お客さまの目線に立った商品・サービスの提供をより一層進めていくよう努めています。
全銀協(一般社団法人全国銀行協会)は、銀行業の健全な発展を通じてわが国経済の成長に貢献することを目的に、全国的・国際的なレベルでさまざまな活動を行っており、日本の国内で活動している民間銀行のほとんどが加盟しています。
全銀協では、わが国の経済活動に不可欠な決済インフラの運営をはじめ、お客さまに安心して銀行を利用していただけるよう、銀行取引の適正性の確保や消費者保護のための活動を行っています。また、業界全体のコンプライアンス意識の徹底や環境問題への対応など銀行業界全体のCSR活動を推進しています。
このように、全銀協の果たすべき機能・役割は、従来の業界団体として銀行の利益向上を目指す活動から、消費者保護のための活動や環境問題への対応など、その活動の幅を広げています。
全銀協は、わが国の経済活動に不可欠な決済システム等の企画・運営を行う機能を担っています。
例えば、全国の金融機関を結ぶ為替オンラインネットワークである「全国銀行データ通信システム」や手形交換制度の企画・運営など、すべての金融機関が参加できる共通インフラを提供しています。
全銀協は、銀行とお客さまが適正な取引関係を構築していくための基盤を整備・構築するという機能を担っています。
例えば、利用者保護のための自主ルールの制定や消費者取引の公正性確保のための契約・事務手続きの明確化などの活動を行っているほか、銀行取引に関する相談や照会、銀行に対する意見・苦情を受けるための窓口として、「全国銀行協会相談室」や各地の銀行協会に「銀行とりひき相談所」 を設置して運営しています。
また、振り込め詐欺、盗難通帳などによる預金の不正な払戻し、マネー・ローンダリングなどの金融犯罪に関して、金融庁や警察庁等と連携しつつ、さまざまな対策を検討・実行しています。
全銀協は、銀行業界全体のCSR活動の推進役としての機能のほか、銀行における各種法令の遵守等コンプライアンスの徹底を図る機能を担っています。
例えば、銀行界の環境問題に関する行動計画の策定、コミュニケーション支援用絵記号デザインの作成などユニバーサルデザイン・バリアフリーの推進、金融経済教育の推進のための各種プログラム・教材の提供などを通じて、銀行業界全体のCSR活動を推進しています。
また、銀行の基本的な行動規範を定めた行動憲章を制定しているほか、コンプライアンス体制の確立に向けてのガイドライン等を作成しています。
全銀協は、銀行業務および銀行事務の改善に関する調査・企画を行う機能のほか、さまざまな課題に関する政策提言・情報発信等の機能を担っています。
例えば、銀行の業務・事務が厳正かつ迅速に行われるよう、各種ガイドラインや共通フォーマットを制定しているほか、金融制度の改革等の立法議論に関する立法府・行政府に対する意見表明、わが国の銀行業界を取り巻く諸課題に関する調査・研究や政策提言の取りまとめ、公表などの活動を行っています。