11月5日(火)実施

千葉県立安房高等学校 レポート2時間目

 2時間目は、「私のお金は誰の元へ」ということで、税金、社会保険、年金の仕組みについて理解する授業です。  

 今日の授業は、クラスを安房商事という企業に見立て、社員である生徒たちが給料日に給料をもらうところから始まりました。 
 給料は、社長、部長、主任、一般と役職ごとに金額が違います。役職を決めた後、榎本先生から給料袋が渡されます。給料袋には1万円札、5千円札の模擬紙幣が入っており、裏面に自分の名前を記入して、お金の動きを見ていくこととなりました。    

 はじめに、所得税について考えていきます。  
 所得税は累進課税と言い、所得によって5~40%の中で6段階の税率に分かれていること、これは「富の再分配」と言い、富を一部の階層へ集中させることなく、国民全体に広く分配する仕組みであることが榎本先生から伝えられ、それぞれ、所得に応じた所得税を榎本先生に納めました。  
 ここで、会社の経営状況が悪くなってしまい、社員1名がリストラされました。リストラをされた社員は、収入が無くなってしまうため、生活保護を受けることになりました。生活保護費として、リストラされた生徒はみんなが納めた所得税の中から14万円支給されました。支給された14万円分の紙幣の裏を確認してみると、社長や他の社員の名前が記載されていました。誰が納めた税金から生活保護費が支給されたのか、一目瞭然です。  

 同じように、医療保険についても事例を通して仕組みを理解していきました。  
 榎本先生が自分の保険証の拡大コピーを提示して、保険証は属する組織によって種類に違いがあることや、生活保護を受けている人は、公的な手続きによって保険料の支払いが免除されることが伝えられ、それぞれが指定された金額の保険料を納めました。  
 会社の慰安旅行でスキーを楽しんでいたところ、ある社員が骨折をしてしまいました。病院での治療費は10万円かかりましたが、自己負担額は3割の3万円。残りの7万円は、みんなが納めた保険料から補てんされるという仕組みです。みんなが納めた保険料から7万円を補てんしてもらい、紙幣の裏を確認しました。今回も、様々な人が納めた保険料に助けられていることが分かりました。    

 国民年金については、榎本先生が国民年金を受け取る高齢者となり、みんなが納めた保険料から7万円を支給してもらい、確認をしていきました。  
 ここで榎本先生から、年金は二階建てとよく言われるが、保険料を納めることで誰でももらえる国民年金と、会社や組織が積立をしている厚生年金や共済年金があること、自営業やフリーランスの場合は国民年金だけになるということ、自分が納めた保険料が年金として戻ってくるのではなく、現在の年金の支払いに使われていることが説明されました。  
 国民年金だけの支給になると、先ほど榎本先生が手にした7万円程度にしかならないことが伝えられ、生徒たちは「それだけでは、足りない」と、驚いていました。  
 ニュースなどで耳にする「年金制度の破たん」は、少子高齢化が進み、年金を支給する老人が増える一方、年金を納める働き盛りの国民が減っていることで起こる可能性があること、「年金未納問題」は、転職などで年金を納めていない期間があると、年金支給額が減額されたり、年金支給年齢になっても支給されないという問題が起こることなども確認しました。  

 ここで、榎本先生から「私たちが納めた税金の使い道は、誰が決めているのでしょうか」という質問が出ました。生徒からは「安倍さん(安倍首相)」という回答が出ました。 
 税金の使い道を決めるのは、私たちが選挙で選ぶ政治家であることから、政党や政治家が自分の納めた税金をどのように使おうとしているのか、という視点から考えることによって、真剣に投票行動をして欲しいということもあわせて伝えられました。  

 最後に、手取り収入がいくらになったのかを確認した後、本時の感想をまとめ授業は終了となりました。