11月19日(火)実施

千葉県立安房高等学校 講師派遣
 ローン返済と多重債務について理解を深めるための講師派遣授業が実施されました。


 授業は、物件検索サイトに掲載された館山駅前にある中古マンションを例に挙げ、ローンの仕組み、金利について理解し、返済シミュレーションを行うものです。  

 館山駅前にある中古マンションの価格は、2LDKで2280万円です。このマンションを購入するためのシミュレーションを行っていきます。学校の近くに支店のある千葉興業銀行のホームページを見ると、今月ローンを活用しようとすると、金利は0.775%~1.8%かかることが分かりました。ローンを活用する際には、通常「頭金」が必要です。「頭金」とは何かという三択問題は、全員正解することができました。ここから、頭金が500万円の場合と、0円の場合、それぞれ金利1.8%として試算をしてみました。計算していくと、支払総額に約420万円の差が出ることが分かりました。この結果から、ローンを活用する際の頭金の重要性が理解できたようです。  
 講師からは頭金の役割として、①返済金額を減らす(利息や返済総額を減らす)、②借入残高<価格(物件の販売価格より、借入残高が上回らないようにする)であることが伝えられました。  

 次に、金利の違いはどこからくるのかを考えていきました。  
 金利には、固定金利と変動金利の2種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。詳細は、ローン&クレジットのABC p26,27で確認しました。  
 講師からは、現在は低金利ですが、いつまでもこの状態が続くとは限らないこと、経済状況によって金利は変動するものなので、変動金利を活用する場合には注意するよう伝えられました。  
 ここで、ローンは誰でも活用できる訳ではなく、審査が必要だということも確認していきました。  
 千葉興業銀行のホームページでは「住宅ローンのご案内」の中で、「ご利用いただける方」として年齢や収入などが記載されています。ローン&クレジットのABC p18 には、お金を借りる際の信用 「4つのC」についての説明があります。Character(人格)、Capacity(支払能力)、Capital(資産)、Control(自己管理)の4つであることが分かりました。  

 ローンの活用について分かったところで、ローンの返済ができなくなった場合の多重債務や自己破産について考えていくことにしました。  
 多重債務とは、借金返済のために借金をして、借金が雪だるま式に膨れ上がり、返済が困難になっている状態のことです。ローン&クレジットのABC p32図I-1を見ると、多重債務におちいってしまう状況が一目で理解できます。そして、多重債務におちいってしまったら、最終的には自己破産をしてしまう場合があること、自己破産をすると、その後の生活の中で、職業や資格などに一定の制限を受けてしまうことも説明されました。ローン&クレジットのABC p34,35には、支払の滞りなどの情報は個人信用情報機関に一定期間登録され、ローンやクレジットカードの利用が難しくなってしまうという説明がありました。自己破産という言葉は聞いたことがあった生徒たちも、実際にどのような状態になってしまうのかということが理解できたようでした。  
 講師からは、借金の返済に困った場合には、家族や専門家、消費生活センターなどに相談し、多重債務に陥らないようにすることの大切さが伝えられました。  

 最後に、お金を貸す側の立場になって考える体験をしてみました。  
  ワークシートには、3つの企業の事業内容、融資希望理由や金額、過去3年間の利益、将来性や短評が記入されています。生徒一人ひとりが銀行員になったつもりで、融資先を検討していきました。  
 「実績はそれほどないが、リスクが少ないと考える」、「ここ数年利益が上がっているので、将来が期待される」など、融資先を決めた理由を発表してもらいました。  
 企業への融資についても、個人と同様「信用」が重要であること、特に、事業内容、将来性、返済計画が重要であることが講師から伝えられました。  

 これからの生活の中で、どのようにローンを活用していけばよいのか、具体事例を通して学ぶことができた授業となりました。