11月20日(水)実施

千葉県立安房高等学校 レポート3時間目

 3時間目は、「消費者と法」についての授業が実施されました。 

 はじめに、様々な形で発生している「消費者問題」について、資料集の年表で確認していきます。森永ヒ素ミルク中毒事件や、サリドマイド事件、薬害エイズ事件、三菱自動車欠陥隠し問題、耐震強度偽装問題など、これまでに起きた消費者問題を確認していきました。色々な事件を見ていくと、これらの消費者問題には、(1)有害食品、薬品、(2)欠陥商品、(3)不当表示、誇大広告、(4)悪徳商法、(5)多重債務、消費者金融、ヤミ金融、というように、大きく5つのカテゴリに分けることができます。
 (4)の悪徳商法について、資料集でも詳しく確認すると、マルチ・マルチまがい商法、デート商法、振り込め詐欺など、様々な悪徳商法があることがわかりました。数年前に富浦のマンションの一室が、振り込め詐欺組織の本部として使われ、摘発された事件を先生が例に挙げ、とても身近で起きている問題であることが伝えられました。悪徳商法についての詳しい内容は、次回の家庭科の授業でも学習していくことになります。 

 一口に消費者問題と言っても、様々なカテゴリがあります。基本的には契約の問題なので、当事者同士が納得すればよいという面がある一方、契約内容が複雑化してきている現状もあります。ここで、(2)の欠陥商品に関する法律として、「製造物責任法(PL法)」について、資料集で確認をしました。商品の欠陥で被害を受けた場合、従来の制度では、消費者は「メーカーの過失」を立証する必要があり、裁判が長期化してしまい、消費者が泣き寝入りしてしまう傾向にありました。しかし、1995年に施行されたPL法では、消費者は「商品の欠陥」だけを立証すればよいことになり、消費者の訴えが通りやすくなりました。従来は、法が人の「過失」を問うのに対し、PL法はモノの「欠陥」を問うことが特徴であるということが分かりました。 

 次に、「消費者と法」についての説明に移りました。「消費者契約法」とは契約過程におけるトラブルを解決する法律で、「消費者保護」の観点から制定された法律です。1968年に制定された「消費者保護基本法」は、消費者保護を第一に考え制定された法律ですが、2004年に「消費者基本法」と改正され、「消費者主権」という、消費者の権利を尊重する考えを第一に制定されました。「保護」から「権利尊重」というスタンスに変わってきた背景には、「消費者運動」があることも資料集で確認し、理解を深めました。消費者の4つの権利(安全である権利、知らされる権利、選ぶ権利、意見が聞き届けられる権利)が、「消費者主権」の基本的な考え方の1つです。「消費者基本法」にもとづき、国民生活センターや消費生活センターなどの行政組織、特定商取引法やクーリング・オフなどの制度が制定されています。  
 また、行政の対応の1つとして、「消費者庁」が2009年に発足されたことにも触れました。 

 (5)の「多重債務、消費者金融、ヤミ金融」について、ローン&クレジットのABC p32~35で確認をしていきました。借金の返済のために複数の業者からお金を借り、返済が困難になっている状況が「多重債務」です。  
 多重債務におちいった原因は、生活苦・低所得、負債の返済など、様々な原因があることがわかりますが、寺西先生は生徒たちに、特に、「保証業務・第三者の債務の肩代わり」が上位にあることに着目させました。多重債務におちいってしまったときの債務整理方法の1つとして、「自己破産」がありますが、自己破産をするとローンやクレジットカードの利用が困難になり、その後の生活において一定の制限を受けることになります。  

 今回の授業で学んだお金との関わり方、ローンやクレジットに関する基礎知識や適切な利用方法、多重債務や自己破産におちいらないためにはどうしたらよいかなど、家庭科の授業と連動することで、生徒たちはより一層理解を深めることのできる授業となりました。