授業のねらい

 商業科の新カリキュラムの構築に際し、会計コースは「国際会計」から「パーソナル・ファイナンス」に改編したが、商業科における共通選択科目であるため、会計ビジネスコースのみでなく、流通ビジネスコース、オフィスビジネスコースにおいても共通科目として選択できることから、汎用部分の構築が必要であり、今回の授業構成となっている。
 さて、今日金融にからんだ様々なトラブルが発生している。本校でも「三恩を感謝せよ」「商士道を発揮せよ」「世界我が市場なり」つまり、商倫理面での教育の必要性を明治時代から訴えている。生徒たちが近い将来、社会人になったときにトラブルに巻き込まれないように、授業を通して自らのリスク管理の一つとして金融経済教育を構築し、理解を深めさせたい。
 今年度の授業は、このような状況から、ゲームを通して、講師を招いて、教材を参考資料として利用し、ライフプランを考えさせたり、各種金融商品を理解させ、取捨選択の判断が出来る基礎的知識を身に付けさせたいと考えている。

教材を活用した授業の実際

 「銀行業務と為替換算」(札勘定体験含む)では、会計関連科目としての銀行業務や為替換算について、講師派遣授業で理解を深める。
 ライフプランを考える際には、生活設計・マネープランゲームを、クレジットとローンの仕組みを理解する際には、知ろう!学ぼう!お金の使い方やローン&クレジットのABCを活用し、理解を深めていくこととする。

生徒の感想

2回「生活設計・マネープランゲーム」をやったが、思った以上に難しく、生まれてから死ぬまでに 相当なお金が必要だということを改めて感じた。
ゲームをやる前は、お金に関してあまり考えたことがなかったが、ゲームをやった後はお金に対し ての考え方が少し変わった。
普段、当たり前のように生活している今を大切にしていこうと思った。
自分が大人になって結婚をしたら、前回のゲームのようにならないように頑張りたい!
お金に対してもう少し関心を持って、これから過ごしていけたらいいなと思いました。
生活設計・マネープランゲームの授業を通して、生活設計の仕方が分かった。
お金を後先考えず使うことの危険性も分かったし、保険も大切さも分かりました。
私は卒業後就職なので、お金の使い方を勉強できてよかったです。
やっぱり、退職金はあった方がいいなと思ったし、今時の結婚をしなくとも仕事を頑張る女性の姿もゲームの中に出てきて、悪くないなと思いました。
これから自分で働いて、お金を貯めて人生を生きていくので、とてもためになりました。
生活設計・マネープランゲームを2回行ったのですが、家や車を購入するか、子どもが何人いるか、保険に入るか入らないかなどの選択によっては、最後の貯蓄額に大きく差が出て驚きました。
1回目は、収入は少ないのに贅沢な暮らしをしたため、借金だらけの人生でした。
2回目は、収入は多く、それほど贅沢な暮らしもしなかったので、最後まで借金はありませんでした。
節約しすぎる人生を送れば、思い出ポイントの少ない充実感のない人生になっていますが、だからといって、楽しいけれど借金だらけでもどうかと思います。だから、収入にあった生活レベルを維持してある程度楽しみがあり、借金のない生活を送りたいと思いました。
それと、何が起こるか分からないので、保険には必ず入るべきだと思います。
生活設計・マネープランゲームを通して私は、単に収入の良い職に就けばよい、というものではないということを再認識した。自分の住みたい家、乗りたい車、やりたい事・・・などお金のかかることは、確かにそれ相応の収入がないと達成できないことかもしれない。
だが、結婚もせず、子どももいなくて・・・というさみしい人生よりは、ほどほどの収入でも充実した生活が送れるのではないかと思った。
また、借金をしなければいけないほど、いっぱいいっぱいな生活を送るのも、絶対に嫌だと思った。
結婚するならその分の費用、子どもを生むならそれからの養育費だってかかる。それは決して安いものではない。今は誰だって簡単に借金ができてしまう。自己破産しなければならないほど借金を抱え込む前に、自分の収入に見合ったバランスのとれた人生を送れるように、計画を立てて生活することが大切だと思った。将来のことを見据えて、無理なく充実した、楽しかったと思えるような人生が立てられると良いなと思った。

先生の感想

 金融経済教育の授業の一つとして2回実施。生徒の人生ゲームとしての愉しさや人生でのお金に関する対応シミュレーションを、ゲームを通して体感した。人生の困難さ、大変さをお金の面から感じとり、計画性や準備するという感覚を身に付け、これからの人生に大いに役立ててもらえると思っている。実際はもっと複雑であろうことは、生徒たちも十分に分かっている。しかし、感覚的に親の大変さ、自分のこれからを知る良い疑似体験であったと感じている。
 教材としては、単純化されていて使いやすく、本校の生徒にとっては十分な内容であった。また、教師の裁量でいろいろ変化が可能で、今回2回目実施の内容を、転職という状況を加味して変化を持たせたが、生徒にとっては大変興味深い変化が表れた結果となった。その後の人生がどのように変化するのか、しないのか、判断をともなう状況が多々登場し、興味深い時間が持てたと思っている。
 来年度も同様に全体の授業の流れをみて考え、時間調整を図って、細部の計画を実施することをしていきたい。また、外部講師の活用、単元ごとの詳しい説明等も充実させていきたいと思っている。