令和元年10月9日(水)9:40~10:35

 5時間目は「消費者の権利と責任」について考えていきます。
 
 前時に作成したライフプランシート修正版を回収した後、本時の授業に入っていきました。

 先生が、「2022年4月1日に施行される『民法の一部を改正する法律』では、若者に関するあることが変わりますが、何がどのように変わるでしょうか」と問いかけてみると、生徒から「成年年齢が18歳になる」と正答が出ました。成年とは一人で有効な契約をすることができる年齢です。
 そこで本時は、契約とは何か、契約に関する様々なルールや現状について確認していきました。

 はじめに、教科書で契約とは何か、契約の成立によって何が発生するかを確認し、ワークシートに記入していきました。

  契約=当事者の合意(申し込みと承諾の意思表示の合致)によって成立⇒法律で保護された約束事
  契約の成立=権利(債権)と義務(債務)が発生⇒守られない場合には損害賠償や強制執行

 契約とはどのような行為を指すか分かったところで、ワークシートに記載されている10の設定が契約に当たるかどうかを考え、〇×で答えていき、日々の物やサービスの購入は契約に当たることを確認していきました。

 続いて、契約トラブルと消費者保護について確認をしていきました。
 消費者は、クーリング・オフや中途解約、取消など消費者保護制度によって保護されています。クーリング・オフについては、中学校の家庭科や公民科(現代社会)でも学んだ内容ですが、クーリング・オフの通知書作成を通して改めてポイントを確認していきました。行使期間(契約書面の受理日から8日以内)を過ぎた場合や代金額の特例(3,000円未満の現金取引)、営業のための契約の除外など、クーリング・オフの対象にならないものもあるので注意しなければいけません。
 ここで、契約や消費者保護について学んだことを三択問題で確認していきました。「未成年者が交わした契約で取り消しができるもの」、「クーリング・オフの通知方法」、「ネットワークビジネスのクーリング・オフ」、「通信販売で購入した商品」、「クーリング・オフできる契約」、「英会話教室に出向いて受講を契約した場合の解約」に関する6問でしたが、どの設定も生徒たちにとっては身近なもので、真剣に考えている様子でした。
 
 次に、身近な契約のひとつである「クレジットカード」について確認していきました。
 はじめに「プリペイドカード」、「電子マネー」、「デビットカード」、「クレジットカード」、「ポイントカード」の支払方法や入手方法、利用金額や利用者の制限などをワークシートで確認しました。先生からは、特に支払いのタイミング(前払い、即時払い、後払い)や利用金額について、正しく理解しておくよう伝えられました。
 クレジットカードは、消費者・カード会社・加盟店の三者間契約で成り立つ、買い物などの代金をカード会社に立て替えてもらうことで後払いにする仕組みです。後から代金を支払わなければいけないという意味で、借金をしているのと同じだということを理解して利用しなければいけないことが先生から説明されました。
 続けて、クレジットカードで買い物をした場合の支払方法について確認していきました。支払方法には「一括払い」、「分割払い」、「リボルビング払い」の3種類があります。ここで12万円のテレビを購入する場合を例に、分割払いとリボルビング払いの支払総額の違いを確認してみました。

  ●12回分割払いの場合(支払期間:12か月、実質年率:11.5%、現金価格100円当たりの手数料額:6.34円)は、支払総額が12万7,608円
  ●リボルビング払いの場合(実質年率:12.6%、月々の支払金額:1万円)は、支払総額が12万8,205円

 リボルビング払いは毎月の支払金額が一定である点で分かりやすい一方、支払いがいつまで続き、どれだけ残りがあるのか分かりづらく、気付いた時には支払いが困難になってしまうといった危険性もあることが先生から伝えられました。
 ここで、複数の業者から借金をしてしまい返済が困難になる「多重債務」について「シリーズ教材お金のキホン アクティブラーニング型授業プログラム 多重債務編」(授業用スライド)で確認しました。目の前の借金を返せず、他から借り入れた借金で返済する状態こそが多重債務に陥るメカニズムであり、この状態になると、借金額は雪だるま式に増える一方となります。
 多重債務に陥らないために、以下の注意点が先生から伝えられました。
 ①クレジットは、あくまで必ず返済しなければならない借金であることを理解する。
 ②利用する際には、本当に必要なものかよく考え、使える(借りられる)金額ではなく、確実に返せる金額の範囲で計画的に利用する。
 ③借金返済のための借入は、絶対にしてはいけない。
 ④万一、返済が困難になりそうになったら、まず早めに家族に相談する。全国銀行協会相談室、日本クレジットカウンセリング協会、消費生活センターなどで専門家と相談することもできる。
 生徒たちはすでに公民科(現代社会)で多重債務について学んでいますが、具体的なメカニズムや現状を知ることで、他人事ではないという実感を持つことができたようでした。
 
 次時は、「老後2,000万円必要」というテーマに関してグループ学習を行うため、その準備としてテレビ、新聞、雑誌、インターネット等から本テーマに関する情報を収集して持参するよう指示があり、授業は終了しました。