令和元年11月13日(水)14:25~15:15

 2年生家庭基礎 「消費生活と経済」の分野で、消費生活の現状と課題、消費者の権利と責任について理解したうえで、適切な意思決定に基づいた行動ができるようになること、生涯を見通した生活における経済の計画や管理について考えられるようになること、生活と環境のかかわりについて理解し、持続可能な社会を目指してライフスタイルを工夫し、主体的に行動できるようになることを目的とした授業が実施されました。

 1時間目は、ひとり暮らしにかかる費用を家計管理アドバイザーの立場で考えることで、家計管理の基礎的な力を身に付けることを目的とした授業が実施されました。

 「ひとり暮らしをするためには、1ヶ月どれくらいのお金が必要になると思いますか」という先生の問いから授業は始まりました。「5万円」、「20万円」、「15万円」など、生徒たちは答えていきますが、具体的なイメージは持てていないようです。

 そこで問いを変えて、「どのようなことにお金がかかるのか」を答えてもらいました。家賃、光熱費、食費、通信費など、具体的な費目が挙がると、イメージしていたよりもお金が必要になることが見えてきました。「ひとり暮らしにかかる費用の例」をスライドで確認したところで、先生から「ひとり暮らしをするには様々なことにお金が必要です。この後は、みなさんが『家計管理アドバイザー』になり、ひとり暮らしを始める3人の依頼者の家計について考えていきます」と、本時の活動の説明がありました。シリーズ教材お金のキホン アクティブラーニング型授業プログラム 家計管理編 の ひとり暮らしオーダーシート と 家計管理ワークシートを使って、1,2,3班は「すずきいくこ」さん、4,5,6班は「やまだはなこ」さん、7,8班は「浦和一郎」さんのオーダーに沿った支出を考えていきました。 ※先生作オリジナルオーダーシート

 はじめに個人ワークで、オーダーシートに記載されている各依頼者の希望に沿った支出計画を考え、費用のランクと金額をワークシートに記入していきました。個人ワークができたところで、その内容を持ち寄り話し合いながら、班で支出計画を組み立てていきました。

 各班の支出計画がまとまったところで先生から、3人の依頼者の収入状況が発表されました。どの依頼者も給料から非消費支出分が引かれた手取り収入は、希望の支出計画とは見合っておらず、生徒からは「どのように調整していけばいいのだろうか」という声が上がりました。収入と支出計画の差額を計算したところ、15万円近くのマイナスが生じた班もありました。

 そこで、家計管理アドバイザーとして生活費を調整し、収入に見合った現実的な生活費に修正していきました。その際、ただ費用を圧縮するのではなく、依頼者の夢や大切にしたいことを尊重しながら、依頼者が納得する説明も考えるよう先生から指示がありました。

 オーダーシートに書かれている依頼者の年齢や特徴、希望を改めて確認し、どの費目を大事にするか、どの費目から圧縮できるかなど優先順位を決めたうえで費用調整に取り組む班、家賃や食費など、金額が大きい費目から調整する班、水道光熱費や通信費など生活スタイルから見直しをする班など、それぞれの班が家計管理アドバイザーとして話合いをしながら支出の見直しを進めていきました。

 金額の調整をしながら、依頼者に納得してもらうためのアドバイスも考えていきました。

 各班の結果は以下のとおりです。

 【金額調整結果とアドバイス】

  1班 2班 3班 4班 5班 6班 7班 8班
依頼人 すずきいくこさん やまだはなこさん 浦和一郎さん
調整前金額(円) 301,000 296,000 301,000 158,000 200,000 198,000 278,000 268,000
手取収入額 175,000 140,000 230,000
調整後金額(円) 173,000 186,000 166,000 138,000 140,000 140,000 218,000 228,000
アドバイス 公共交通機関を利用することで、自動車は保有しない。安くてもお洒落はできるので、ブランド服の購入は我慢しましょう。 仕事や将来の起業に向けてネット環境は必要なので、それ以外は贅沢しないように抑えましょう。 自動車はあきらめましょう。スマホを活用することで通信費(インターネット)も圧縮。食費も外食を減らすなど見直しをしましょう。 カフェに行く回数を減らすことで食費を減らすことができます。外出の際は、交通費をかけず、健康のためにも歩くようにしましょう。 外国人が多くいる地域に住むことで、本場の英語を学ぶ機会に期待しては(英会話の費用を圧縮)。将来の夢のために、食費は抑えましょう。 服飾費、住居費は削って、将来の夢のために大切な英会話の費用(教育費)を確保しましょう。 海外勤務を目指しているので英会話とネットは大切に。ひとり暮らしなので部屋は狭くても充分なのでは。駅近なので、公共交通機関を使うことで交通費を抑えましょう。 貯金や英会話は将来のために頑張るべきなので、趣味の車を我慢してバイク等で妥協してみてはどうでしょうか。

 各班がアドバイスを発表した後、各種ウェブサイトの情報から1ヶ月の生活費(ひとり暮らし)の平均金額を確認していきました。

 家賃は収入の3分の1が目安であること、水道光熱費・食費・被服費は0円にはできないが、人それぞれの価値観によって節約が考えられる費目であること、交際費・通信費・交通費・教養娯楽費は削減できるが、生活が不便になり、人脈が広がらないなど、人生を豊かに過ごせなくなる可能性があることが先生から伝えられました。

 税金(所得税、住民税等)や社会保険料(健康保険料、年金等)は非消費支出と言われる支出で、誰もが収入の中から必ず支払わなければならないお金であることや、大学で貸与型の奨学金を活用した場合には、大学卒業後一定期間後から返済が発生するため、預貯金にお金を回すことが難しくなるケースがあることも伝えられました。

 その後、ライフイベントには多くのお金が必要となることを改めて確認したうえで、職業別年収ランキングやAIへの代替可能性が高い職業・低い職業なども確認し、働いて収入を得ることについても考えていきました。

 最後に授業の感想等を個人でまとめ、授業は終了しました。

【生徒の感想】

  • 収入に対する非消費支出が思っていたよりも多く、驚いた。
  • 自分が重要視するところと妥協するところを見極めて、収入に見合うように支出を調整する必要があることが分かりました。
  • 自分が望んでいるように生活するとなると、思った以上にお金がかかることが分かった。思い通りに生活できるお金が貯まるまでは我慢しなければいけないことも多いので、自分がやりたいことに優先順位をつけておきたい。