令和2年1月28日(火)13:25~14:15

 2時間目は自立した消費者になるために、消費者庁制作教材「社会への扉」のクイズに挑戦しながら、契約やクレジットの仕組み、お金との関わり方について理解する授業が実施されました。2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられることに向けて、埼玉県内の公立高等学校では2年生までに家庭科授業で「社会への扉」に記載されている内容を学習することが定められています。

 「社会への扉」の、自立した消費者になるための12問のクイズに生徒個人で挑戦するところから授業は始まりました。

 クイズは「契約」、「暮らしとお金」、「暮らしと安全」の3つのテーマに分かれており、三択問題になっています。

 全員が一通り回答し終えたところで、本時ではまず「契約」に関する5問のクイズの回答と詳細を確認しながら、ワークシートで追加のワークに取り組んでいきました。

Q1.店で買い物をするとき、契約が成立するのはいつ?
A1.店員が「はい、かしこまりました」と言ったとき。

 契約と聞くと、書面の取り交わしをイメージする生徒も多くいました。先生からは、お互いに契約内容について合意をすれば口約束でも契約は成立すること、契約書やサインなどは証拠を残すためのものであることが説明されました。

Q2.店で商品を買ったが、使う前に不要になった。解約できる? 
A2.解約できない。

 お店側のサービスの一環として返品に応じてくれる場合もありますが、契約上は自己都合での解約はできないことや、アメリカでは多くの店が理由も商品の状態も一切問わない「無条件返品」に対応しており、それらにかかる費用が企業の負担になっている実情等について、先生から説明がありました。

 ここで、改めて契約とはどのようなことなのか、日常生活におけるいくつかの行動が契約に当たるものかを考えるワーク(「①ICカードを使って電車に乗る」、「②家族に小遣いアップのお願いをする」、「③パン屋でパンを買う」、「④アパートを借りる」、「⑤インターネットでゲームのアイテムを買う」の5つの行動 / ②以外は契約に当たる)に取り組んだうえで、契約に関する説明文の穴埋めを行って理解を深めていきました。

 また発展学習として、契約の法律的解釈についても確認していきました。

 ①民法上の契約は13類型

   贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解

 ②契約の成立から履行まで

   ア 契約の成立・有効 = 問題なく成立したか

   イ 契約の主体 = 契約は誰が行っているか

   ウ 契約の内容 = 内容はどのようなものか

   エ 契約の履行 = 契約の内容は履行されたか

   オ 契約違反 = 契約に違反があった場合にはどうすればよいか

   例)契約の不成立 ネガティブオプションや名義冒用

 次に、先生が作成したいくつかの“落とし穴”がある契約書例(「ブラックプラン契約書」)を読んで、契約内容として不適切な部分を見つけ出すワークを行いました。携帯電話の通話・通信に関する契約書ですが、通話料金やウェブパケット通信料、契約期間や契約解除料、合意管轄裁判所など記載内容を注意して確認していくと、おかしな点をいくつも見つけることができました。

Q3.17歳の高校生が、保護者に内緒で10万円の化粧品セットを契約した。この契約は取り消せる?
A3.未成年者取消しができる。

 未成年者が保護者の同意を得ずに契約した場合、契約を取り消すことができますが、親から渡された小遣いの範囲での契約や、成年であると積極的に嘘をついたりした場合等は、未成年者取消しはできないことが説明されました。また、悪質な業者は、未成年者取り消しの制度が適用されなくなることを狙って、成人して間もない人をターゲットにすることがあることを踏まえ、正しい知識を身に付けて行動できるようになるよう、呼びかけられました。

Q4.街で呼び止められ、展示会場に行ったら勧誘され、断れなくて10万円の絵画を契約してしまった。この契約をクーリング・オフすることはできる?
A4.契約してから8日間であれば、クーリング・オフできる。

 キャッチセールスなどの消費者トラブルになりやすい取引については、理由問わず契約を解除できる特別な制度であるクーリング・オフが特定商取引法で定められていることが説明されました。

Q5.ネットショップでTシャツを買ったけれど似合わない。クーリング・オフできる?
A5.クーリング・オフできない。

 ネットショッピングや通信販売は法律上のクーリング・オフ制度はなく、独自に返品の可否などのルール(利用規約)を定めているので、利用前に確認しておく必要があることが説明されました。 また、ネットショップの表示例から気を付けておくべきポイントを見つけるワークにも取り組みましたが、冬休み中に不当表示の事例について調べ学習をしていたこともあり、生徒たちは「サイトに記載されているショップ名とURLのショップ名が一致していない」、「支払方法が銀行振込みのみ」、「日本語表記が不自然」など、注意すべきポイントを次々と見つけ出していきました。

 次時は、引き続き「暮らしとお金」、「暮らしと安全」の7問のクイズの回答と詳細について確認していくことが伝えられ、授業は終了しました。