令和2年2月4日(火)13:25~14:15

 4時間目は、前半は3時間目に続きクレジットカードの仕組みや悪質商法など現代の消費社会について、後半はSDGsやCSRなど消費と環境について理解する授業が実施されました。

 まずはマナブとメグミのお金のキホンBOOK p31〜33、p40を参照しながら、ワークシートでクレジットカードの支払方法を確認しました。

一括払い:
手数料がかからない、マンスリークリアとボーナス一括払いがある

分割払い:
手数料が必要(2回分割は一般的に手数料がかからない)

リボルビング払い:
リボルビングは回転という意味、毎月の支払額を決めて、利用代金の残高がなくなるまで支払う

 続いて、債務整理の種類と内容についても確認していきました。

任意整理:
債務者又はその代理人と債権者で話し合いをして、今後の返済計画を決めること

個人再生手続き:
法律で決められたとおりの手順にしたがって、債務者の債務と財産をすべて調査し、今後の支払計画を立てる手続き

自己破産:
債務者が裁判所に対して「破産手続き開始の決定」を下してもらえるように申請する方法
自己破産決定後、免責の手続きが認められれば借金の返済を免れる
→自宅のように換金性のある財産は手放さなければならない、一定期間就けない職業もある

 多重債務に陥ってしまう原因の1位は、景気の悪化や失業などによる収入の減少ということで、誰もが多重債務におちいる可能性があることが説明されました。なお、平成22年に総量規制が施行され、個人が利用する借入れが年収の3分の1に制限されたことにより自己破産件数は減少傾向にありましたが、平成28年から微増に転じています。その理由として、住宅ローンや奨学金の返済の困窮や、便利さからつい借り過ぎてしまう人もいる銀行カードローンの普及などがあげられていることを確認しました。

 次に、悪質商法の種類と内容について確認しました。

①アポイントメントセールス ②開運商法・霊感商法 ③キャッチセールス、モニター商法 ④サクラサイト商法 ⑤催眠商法・SF商法 ⑥就職・求人商法 ⑦ネガティブ・オプション ⑧マルチ商法 ⑨架空・不当請求 ⑩振り込め詐欺 ⑪デート商法 ⑫点検商法

 併せて、ネットショッピングの際に架空サイトを見分けるマーク、個人情報を暗号化するマークについても確認しました。

オンラインマーク:
公益社団法人日本通信販売協会が通信販売事業者の実在を確認し、かつ、ホームページの表記が通信販売の法令等を守っている事業者であることを審査し使用を許可している。

ノートンセキュアドシール:
ウェブサイト運営企業の実在性を証明するマーク。単なる画像でなく、コピーできない仕様で、SymantecのSSL証明書を取得したウェブサイトのみ表示できる。

SSL/TLS:
Secure Sockets Layerの略で、送受信しているデータを暗号化する通信手順。 Transport Layer Securityの略で、インターネットなどのコンピュータネットワークにおいてセキュリティを要求される通信を行うためのプロトコル。

 後半の授業では、消費と環境について確認していきました。

1. SDGs(Sustainable Development Goals)
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際目標。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave one behind)ことを誓っている。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいる。

2. フードロス
人が食べるためにつくられた「食品」の価値が失われたり、捨てられたりすることを「フードロス」という。単純に家庭や料理店での食べ残しだけでなく、生産するときに出る規格外の農産物、保存時にカビが生えた貯蔵品、流通時のパッケージの変更による廃棄など、生産、加工、消費の各段階で食べられるのにもかかわらず、捨てられているものを含んだ概念。日本の食品ロス(646万トン)は世界の食料援助(320万トン)よりもはるかに多い現実もある。

3. ファッション  「どれだけの服が捨てられたか?」 
コペンハーゲンのシンクタンク「GLOBAL FASHION AGENDA」の年間レポートによると、2015年時点で生産された洋服の年間消費量が40%の6,200万トンに対し、廃棄量は約1.5培の9,200万トン。廃棄量を枚数に換算すると、全世界で毎年3,000億着の服が捨てられていることになる。廃棄服の82%は焼却や埋め立てで処分され、リユースやリサイクルはわずか18%に留まっている。

4. 企業の姿勢 企業の社会的責任CSR(Corporate Social Responsibility)
企業が自社の利益のみを追求するだけではなく、すべてのステークホルダー(消費者や投資家に加え、社会全体などの利害関係者)を視野に経済・環境・社会など幅広い分野での社会全体のニーズの変化をとらえ、それらをいち早く価値創造や市場創造に結びつけることによって、企業の競争力強化や持続的発展とともに経済全体の活性化やより良い社会づくりを目指す自発的な取組み。

  • ISO14001:企業などが環境に及ぼす影響を最小限にとどめることを目的に定められた環境に関する国際的な標準規格
  • ESG投資:環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資
  • エコツーリズム:地域ぐるみで自然環境や歴史文化など、地域固有の魅力を観光客に伝えることにより、その価値や大切さが理解され、保全につながっていくことを目指していく仕組み
  • グリーン・ツーリズム:農山漁村において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動

    ☆デジタル・ディバイド:PCやスマホを使いこなせるかどうかで機会の格差が生じる。情報を活用する能力(情報リテラシー)が問われている。

 

 最後に消費者の権利と責務について確認しました。

国際消費者機構(CI)消費者の8つの権利と5つの責務

8つの権利:
生活のニーズが保証される権利、安全への権利、情報を与えられる権利、選択をする権利、意見を聴かれる権利、補償を受ける権利、消費者教育を受ける権利、健全な環境の中で働き生活する権利

5つの責務:
批判的意識を持つ責任、主張し行動する責任、社会的弱者への配慮責任、環境への配慮責任、連帯する責

消費者基本法第2条 消費者の8つの権利

  1. 消費生活における基本的な需要が満たされる権利
  2. 健全な生活環境が確保される権利
  3. 安全が確保される権利
  4. 選択の機会が確保される権利
  5. 必要な情報が提供される権利
  6. 教育の機会が提供される権利
  7. 意見が施策に反映される権利
  8. 被害の救済がなされる権利

 消費者の行動は社会や経済、環境などに大きな影響を与えること、消費者としての権利と責務を理解して消費者市民社会を実現していくため一人ひとりがどのようにしていけばよいか、日常生活の中で考えて行って欲しい旨先生から伝えられ、授業は終了しました。