令和元年12月5日(木)13:25~14:15

 4時間目は単元のまとめとして、消費者の行動が環境や経済に与える影響、身近な消費者問題および社会課題の解決や、公正な社会の形成について考えることを目的とした授業が実施されました。

 はじめに先生から、「経済活動における消費とは、どのような行動か」という問いかけがありました。
 生徒からは「お金を使うこと」、「消費支出と非消費支出があること」などの意見が出たところで、先生からは、財やサービスを購入し利用することを「消費」と呼ぶことが説明されました。
 続いて、身の回りにある「消費に関する9つのマーク」がスライドで提示され、先生から、どのようなものについているマークなのか、身の回りのものから探してみるように指示がありました。
 消しゴムやサインペン、ノートなど注意して見てみると、様々なものにマークがついていることが分かりました。
 ここで、本時は「様々なマークは誰のためにつけられているのか」を考えていくことが先生から伝えられました。

 まず、スライドで提示された9つのマークがどのようなものなのか確認していきました。
 9つのうち表示が義務化されているものは5つ(PETボトル・紙製容器包装・プラスチック製容器包装・飲料用スチール缶・飲料用アルミ缶)で、「識別マーク」と呼ばれています。「識別マーク」は、その製品が何でできているのか、材質は何かを表しており、消費者がゴミを出すときに分別し易くするために、法律で表示が義務付けられています。

 ここで先生から、日本のゴミ排出量※は、特に平成19年度から「総排出量」も「1人1日当たりの排出量」も大きく減少していることが説明され、その理由を近くの人と話し合うよう指示がありました。

※出典:環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度)について」

 「国際法ができたのではないか」、「リサイクルへの意識が高まった」、「消費そのものが減った」、「愛・地球博でゴミを減らそうと言ったから」など、生徒からは様々な意見が出てきました。 
 先生からは、識別マークの義務化によってゴミの分別が進んでいることのほか、各種法制度(容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)、改正容器包装リサイクル法)の整備によって容器包装廃棄物に係る排出の抑制およびリサイクルの合理化等が促進されたこと、各自治体におけるゴミの有料化や分別の徹底などが、ゴミ排出量が減少した理由であることが説明されました。
 
 続いて、「識別マーク」とともに同じ商品についている「環境マーク」についても確認していきました。

  •  JASマーク:商品の品質や作り方が保証されていることを示すマーク
  •  エコマーク:ライフサイクルを通して環境への負荷が少ない、環境保全に役立つと認められたことを示すマーク
  •  グリーンマーク:原料に古紙を規定割合以上利用していることを示すマーク
  •  再生紙使用(R)マーク:再生紙の古紙配合率を示すマーク

 例えばエコマークは「資源採取」、「製造」、「流通」、「使用消費」、「リサイクル」、「廃棄」のライフサイクルを考慮した厳しい基準をクリアし、公平な審査を経て認定を受けた商品にだけつけられるものです。このマークを取得するには、厳しい基準を満たす必要があり、商品やサービスの開発費もかかります。
 ここで先生から、費用や労力をかけてまでなぜ企業はエコマークを取得するのか、生徒それぞれで考えるよう指示がありました。
 生徒からは「会社の印象や評価のため」、「エコ意識の高い消費者に安心して商品を購入してもらうため」、「同業他社との差別化」、「地球のことを考えられない会社は、人のことも考えられないから」など、様々な考えが出てきました。

 ここで先生から、香川県豊島市で昭和50年から10年以上にわたって起きた「産業廃棄物不法投棄事件」の写真が示されました。現在はこの事件による全てのゴミが撤去されたものの、ゴミに含まれていた化学物質が地中に残留しており、土壌汚染が続いています。

 また、リサイクルや焼却できないゴミは国内の最終処分場に投棄されますが、残余年数は20年ほどにまで迫っています。
 ただし、ゴミの排出量が年々減少していることや、廃棄物処理施設への補助金増額によりゴミ処理能力が向上していること(環境省「平成17年度 廃棄物処理施設整備実務必携」による)を背景に、最終処分場の残余年数は年々上がっている状況でもあります。
 ゴミを分別して処分したりゴミを減らしたりしていくことは、環境を守るとともに私たち一人ひとりの生活を守ることにもなります。これらのことはSDGs(持続可能な開発目標)の17の目標にも含まれおり、企業は利益追求だけでなく、環境や人々の生活を安全で安心なものにしていく社会的責任(CSR)を負っていること、企業と同様に消費者にも正しい情報を選び判断する権利と責任があること、環境省が推進している「COOL CHOICE」(地球温暖化対策に資するあらゆる「賢い選択」を促す国民運動)等について、先生から説明がありました。

 最後に、ここまでの4時間の授業を振り返り、「消費者としてどのようなことを心がけ消費行動をしていきたいか」をノートにまとめ、発表・共有しました。
 先生からは、自分の消費行動が社会・経済・環境等に与える影響を考えて行動すること、消費者被害等困った時には専門機関へ相談すること、学んだことを日々の生活の中で生かしていって欲しいことが伝えられ、授業は終了しました。

 お金との関わり方、消費と経済の関係、消費行動が経済や環境に与える影響について自分ごととして捉え、学んだことをこれからの生活でどのように生かしていくか考えて行動することの重要性が理解できた4時間の授業となりました。

【「消費者としてどのようなことを心がけ消費行動をしていきたいか」生徒のまとめ(抜粋)】
  •  環境マークのついている商品を選んで購入する。
  •  消費者の権利だけでなく、責任も理解して行動する。
  •  短期・長期それぞれの視点で考えて商品を購入する。
  •  欲しい物を欲しいだけ買うのではなく、必要かどうかを考えて買うようにする。