12月22日(火)実施

京都市立栗陵中学校レポート5時間目

 5時間目の授業は、「企業と家計をつなぐ金融」について学ぶ授業です。これまでに学習してきた、銀行や経済のしくみに関する知識を踏まえ、金融機関のしくみや働きや、銀行が支えている経済のしくみについて理解していきます。

 はじめに、1、2時間目で学習した「消費行動と経済活動」や「銀行の役割」について振り返りながら、「金融」について先生が説明をしていきました。
 人々が必要とするものやサービスを、より良いものにするために企業間競争が行われていること、企業がものやサービスの開発・生産をするためのお金を銀行から借りていること、そして銀行が貸すお金は、お金に余裕がある人や企業がすぐに使う必要のないお金を銀行に預けたもので、「お金を貸して欲しい人や企業」に対してお金を融通することを「金融」と言い、仲介をする機関が「金融機関」であり、金融機関の代表が「銀行」であることが伝えられました。

 次に、銀行はどのように利益を得ているのか、銀行のしくみや役割から考えていきました。
 先生から「銀行の3つの業務は何でしょうか」という質問があり、生徒からはお金を預ける「預金」、お金を貸す「貸出」のについてはすぐに回答がありましたが、もう1つの役割についてはなかなか回答が出てきませんでした。先生から「知ろう!学ぼう!お金の使い方」p18を見るよう指示があり、銀行業務のもう1つが「為替」であることを確認しました。「為替」とは、遠く離れた人にお金を届けるしくみです。例えば東京から大阪まで大金を持ち歩くことは危険が伴いますが、そのようなときに銀行が相手の口座にお金を確実に送ってくれるという例を通して、先生は説明を行いました。  
 銀行は、この3つの業務を通して、貸出利息から預金利息を引いた差額や、為替の際に発生する手数料などで利益を得ていることが分かりました。
 ここで、「あなたと銀行のかかわり」進行スライドを使って、銀行の利益の計算をしてみることにしました。

Q:1億円を預金金利1%で預かり、貸出金利5%で貸し出した場合、銀行の利益はいくらになるか。
A:貸出利子 500万円 — 預金利子 100万円 =銀行金利400万円

 銀行が単独で集めたお金だけでは貸出がまかなえない場合には、「日本銀行」からお金を借りることが説明されました。「日本銀行」は、一般の人が利用する銀行とは違う役割を持っています。

  • 「銀行の銀行」:一般の銀行に対して銀行の役割をする
  • 「政府の銀行」:政府の資金を管理する
  • 「発券銀行」:日本銀行券(紙幣)を発行する

 また、紙幣が作られている様子の映像から、紙幣に「日本銀行券」と書かれていることを確認しました。お金を作る量は景気や物価によって調整されます。これを「金融政策」と言い、景気が悪いときはお金の量を増やし、世の中にお金が出回りお金を使いやすくする「金融緩和」が行われます。日本では近年この「金融緩和」が行われていることが先生から伝えられました。逆に、景気が良くお金の価値が下がってしまう場合には、お金の量を減らして世の中に出回るお金を少なくする「金融引き締め」が行われることも分かりました。ここまでの授業で、銀行は三大業務を行うことで、経済社会の潤滑油としての役割を果たしていること、日本銀行は国の金融の中心の役割を果たす「中央銀行」であるということが分かりました。

 自分とお金との関わり方、家計と経済活動の関係、お金を扱う金融機関の代表である銀行の業務と役割を理解する5時間の授業を通して生徒たちは、金融や経済活動、国のさまざまな制度について、自分ごととして捉えることができたようでした。