京都市立栗陵中学校レポート 先生・生徒の感想

生徒の感想

  • 今は親もとで生活をしているが、一人暮らしをしたら自分でお金を管理しないといけないので、今回学んだことをふまえ、考えて生きていけるようにしたいと思います。
  • 先のことを考えてお金を使わなければならないな、と思いました。使い過ぎてはいけないし、でもやりたいことや買いたいものがあった時にはお金を使いたいので、お金の管理は大切だと思いました。
  • 将来自分がこうしたい、こうなったらいいといろいろ考えるきっかけになった。自分もしっかり働いて収入を得ていきたいと思ったし、家族のことを養えるようになりたいと思った。
  • 人生の計画表は立てたことがあったが、ここまで詳しくお金のことを考えたことはなかった。今回の授業で詳しく考えることができて、現実感が増した。

先生の感想

 『生きるためのすべ』を知る

 「自分の将来を考える良いきっかけになった」
 「安心して子供が育てられるよう,計画的に生活を設計する必要があると感じた」
 「これまで考えたことの無い取組みだったが,自分の将来にとって必要だ」

 今回の取組みを通して私は、子どもたちから返ってくる声から、大人としての責任を感じとることができた。また何より驚いたのは、彼らが「子どもはきちんと育てたい」、「一人っ子よりも、兄弟姉妹で考えたい。なぜなら、1人ではかわいそうだから」、「にぎやかに遊ばせてあげたい」など、子育てを中心により具体的に生活設計をしていることだった。理想の家庭とは何か。子どもたちは、自分たちが漠然と抱いていた理想の家庭像へ近づくため、そこへ至る道筋を体感することができたと思う。
 ただし、このゲームを行ううえで留意しておくことがある。それは、ライフイベントについて決定する際、その内容を吟味して,自分の意志で選択していくことの重要性である。結婚、子育て、住居選びなど、多少の偶然性はあるにしろ、これらの決定は自分のその時の状況を踏まえ、自分自身で決定している。だからこそ、必要なお金はいくらなのか、多くのお金が必要な場合にはどこかで我慢するなど、現状だけでなく先を見通して判断しなければならない。将来必要なものは何なのかも、よく吟味して選択することが求められる。だから、ライフイベントのカードは、何枚かの中から偶然性で「引く」ものではなく、「見て」「熟考し」「選ぶ」ものと考えた。
 またライフイベントによっては、公的支援を活用したり、実現するための優先順位を付けたりすることで、長い年月をかけて最終的には夢を叶えることができるものもある。銀行からの借入金もリスクではなくチャンスととらえ、計画的に人生設計することでリスクマネジメントにつながることを気付かせることができたと思う。
 最後に、これらの制度や考え方は、知らなければ活用することもなく、一生そのメリットを享受することがない場合もある。だからこそ私は、今回の取組みを通して子どもたちに、普段とは違った側面から自分の将来を考えてみる機会を提供したかった。このまま知らないままで成長すれば、それがそのまま「格差」を生む。「生活設計・マネープランゲーム」は、子どもたちにとって『生きるためのすべ』を知り、より幅広い選択肢で人生を考えていくことができる機会を与えてくれた。今後は、得た機会を結果につなげるための力も育てていきたい。