平成29年11月13日(月)9:50~10:40

 金融のしくみや働きを理解したうえで、好況および不況の際に日銀が行う金融政策の基本的な方向性について思考・判断・表現し、近年の金融不安や金融システムの課題などの話題から、その解決の道筋や経済主体としてあるべき姿を探究する態度を養うことを目標とし、授業が実施されました。
 本時は、金融のしくみと銀行の役割について理解する授業です。

 はじめに、授業内容について先生から説明がありました。
 〔1〕金融とは何か
 〔2〕銀行の三大業務
 〔3〕信用創造
 授業を進めていく前に、「財政」と「金融」の意味を確認しました。「財政」とは国や地方公共団体の収支のこと、「金融」とは銀行や日本銀行など金融機関を介して行われる資金融通のことです。
 ここで先生から「お金を貸してくださいと言ったら、みなさんは先生にお金を貸しますか?」と質問がありました。生徒からはすぐに「貸さない!」と答えが返ってきました。続いて「どうして貸さないか、どのような条件であればお金を貸しても良いと思いますか?」という質問には、「何らか見返りがあればいいが、それでも直接お金を貸すのはリスクがあると思う。」という答えが返ってきました。
 ここで先生から「間に誰かが入って(仲介して)くれれば、安心してお金の貸し借りができるのではないだろうか。」というヒントが出され、具体例として起業する際に必要な資本金の安心・安全な調達方法を考えてみることにしました。
 1分間で考えたところ、生徒からは「銀行から借りる」「消費者金融から借りる」「出資してもらう」などの意見が出てきました。これらの意見は「金融機関等からお金を借りる」すなわち「間接金融」と、「出資者から直接お金を集める」すなわち「直接金融」に分けることができることが伝えられ、それぞれのお金の流れや違いをあなたと銀行のかかわり進行スライド「授業2 直接金融と間接金融のしくみ」で確認しました。

 次に、間接金融の仲介者である銀行の仕組みと三大業務について確認していきました。
 先生から「銀行はどのような業務をしているでしょうか?」と質問があり、生徒からは「お金を貸す」「お金を預かる」「お金を発行する」などの意見が出ました。先生からは、お金を発行できる銀行は日本銀行のみということ、意見で出た業務の他に、離れたところにお金を送る「為替」という業務があることが伝えられ、あなたと銀行のかかわり映像教材「動画で学ぶ 銀行の仕事」を視聴して「為替」の一つである「振込み」の具体的な仕組みを確認しました。
 ここで2つの班に分かれ、あなたと銀行のかかわりワークシート「授業1 あなたとアーティストにかかわる銀行の役割」をもとに、振り込まれたDVD代金がアーティストに届く流れについて、単語と矢印を記入して関係図を完成させていきました。個人の考えだけでなく、他の生徒の意見や考えを聞きながら、ワークに取り組む様子が見られました。
 解答を確認した後は、銀行が収益を得る主な方法について、以下のとおり説明がありました。
  手数料:振り込み、送金などに伴う手数料、手形・小切手の発行に伴う手数料など
  利息:貸出金利と預金金利の差額(貸出金利>預金金利)
  運用:国債や株式などを購入し運用した結果の利益

 次に、銀行の大事な役割である「信用創造」について考えていくことにしました。
 信用創造を考える前に先生から、通貨には「現金通貨」と「預金通貨」の2種類があり、その内訳は現金通貨約80兆円、預金通貨約1,200兆円であることが伝えられました。思っていたよりもずっと預金通貨が多かったようで、生徒たちは驚いている様子でした。現金通貨よりも預金通貨が多いということは、預金をしている人全員がお金を引き出そうと思うと、現金が足りなくなってしまうということですが、どうしてそのようなことになるのでしょうか。
 信用創造については次時に詳しく学ぶことが伝えられ、本授業は終了しました。