平成29年11月14日(火)10:50~11:40

 本時は、銀行の役割について理解する授業の続きです。
 はじめに、前時の授業内容を振り返りました。
 「金融」とは、資金を融通すること、「融通」とは、お金に余裕のある人とお金を必要としている人を仲介し、お金を円滑にやり取りすること、そして、仲介の役割を果たしている者が「金融機関」と呼ばれ、その代表が「銀行」であることを確認しました。前時に続き、本時では銀行の大事な機能である「信用創造」について考え、理解していきます。
 信用創造を考える際、現金通貨と預金通貨について知っておく必要があります。前時に先生から説明がありましたが、通貨には「現金通貨」と「預金通貨」の2種類があり、その内訳は現金通貨約80兆円に対して預金通貨は約1,200兆円です。なぜ、現金通貨よりも預金通貨が多いのか、どのような仕組みのもとで預金通貨が増えるのかを、グループワークで考えていきました。
 グループワークは、〔1〕預金が現金よりも多くなっている理由について仮説を立てる、〔2〕仮説が正しいかどうか、架空の事例を通して検証するという流れで進めていくこととしました。
 生徒達は早速、〔1〕のワークに取り組み始めましたが、生徒たちは現金よりも預金が多い状態をイメージしにくいようで、なかなか仮説を立てることができませんでした。
 そこで予定を変更し、〔2〕②の事例を通して考えていくことにしました。検証ワークの事例は以下のとおりで、この事例において現金と預金がいくらになるか計算しながら、預金が現金よりも多くなる仕組みを話し合っていきました。

<前提>

  • 銀行は預金者への利子の支払いのため、預金を積極的に企業や個人に貸し出す。
  • ただし、銀行は預金の引き出しに備えて預金額の一部(預金額の20%)を手元に残す。
  • 銀行の預金残高は0円からスタートする。


<状況〔1〕>

  • 「東京建設」のメインバンクは「にじいろ銀行」である。
  • 「横浜セメント」、「川崎自動車」のメインバンクは「オリオン銀行」である。
  • 「中原産業」のメインバンクは「新城銀行」である。


<状況〔2〕>

  • 「東京建設」は「横浜セメント」へ80億円の支払いのために限度額いっぱいの融資を希望。
  • 「川崎自動車」は「中原産業」へ64億円の支払いのために限度額いっぱいの融資を希望。
  • 資産家のAさんは、「にじいろ銀行」に100億円を現金で預金した。


 企業名、銀行名、動いた金額(現金、預金)などを書き出しながら、班で話し合いを進めていきます。最初はなかなか考えがまとまらないようでしたが、先生から「現金と預金を分けて考えること」、「銀行の預金通帳に記載される数字が預金であること」などのヒントが出され、最終的には各班とも、元々の現金100億円に対して、預金額は244億円になるという答えを導き出すことができました。
 このワークを通して、銀行が現金を元手に様々な企業に融資をし、融資を受けた企業が支払いを行い、支払われたお金が(別の)銀行に預けられるといった流れによって、預金が増えていくことが分かりました。
 先生からは、最初の預金額に対してどれだけ預金が増えるかは以下の計算式で算出できることが伝えられました。
 (最初の預金額÷預金準備率)-最初の預金額=信用創造額
 ここで、今回の条件でその後も預金と貸出がこの後も繰り返された場合の信用創造額を上記の式を使って計算すると「(100億円÷0.2)-100億円=400億円」となることを確認しました。
 最後に、信用創造とは、預金と貸出が繰り返されることにより、世の中で使えるお金が増えていく銀行特有の機能であることが伝えられ、授業は終了しました。