平成29年11月8日(水)11:50~12:40

 個人と銀行の関わりについて、教材を活用しながら理解を深めることにより、金融に対する関心を高め、金融が経済にもたらす影響を他者と協働して考察することで、社会参画の態度を身につける授業が実施されました。

 はじめに、前時の学習内容「昔と今のお金の違い」について、以下のとおり振り返りを行いました。

  • 金本位制とは、中央銀行が発行した紙幣と同額の金を常時保管して、兌換(金と紙幣とを引き換えること)を保証するというもので、そこで使用される紙幣を兌換紙幣と呼ぶ(反対に兌換されない紙幣を不換紙幣と呼ぶ)。金本位制においては、保有する金の量によって発行できる貨幣量が制限される。
  • 管理通貨制度とは、金の保有量とは無関係に法律で定められた通貨制度にもとづいて、中央銀行が貨幣の量を管理する制度。管理通貨制度においては、国の信用によってお金の価値が決まる。
  • 管理通貨制度の長所は、金の保有量に関係なく金融政策を行いやすいこと、短所は通貨が増発されやすく、お金の価値が下がることでインフレーションの原因になりやすいことである。

 昔と今のお金の違いについて確認した後、本時はお金を扱う仕事をしている「銀行」について学んでいくことが伝えられました。
 まず、それぞれが知っている銀行名をワークシートに書き出すよう先生から指示がありました。自宅の近くにある銀行、登校途中で看板を見かける銀行、CMで見たり聞いたりする銀行を思い出しながら書き出す様子が見られました。個人で書き出した内容を隣同士で確認した後、スライドで銀行のロゴを見ながら銀行名を確認していきました。
 三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)、三井住友銀行、みずほ銀行はメガバンクと呼ばれ、全国に支店を持つ大規模な銀行であること、そのほかに横浜銀行のような地方銀行やゆうちょ銀行など、様々な形態の銀行があることが分かりました。

 次に「銀行はどのような業務をしているのか」、「なぜ、個人や企業は銀行に『預金』をするのか」、「なぜ銀行は個人や企業に『貸出』をするのか」について、あなたと銀行のかかわり映像教材「動画で学ぶ 銀行の仕事」を視聴して確認していきました。
 銀行は「預金」、「貸出」、「為替」などの業務をしており、これらを銀行の三大業務ということ、預金のメリットは「安全、便利、お得」といったことが考えられること、銀行はお金が必要な人や企業にお金を貸し出す際の貸出金利によって利益を得ていることが分かりました。
 ここで、貸出金利と預金金利の差額から銀行がどれくらい利益を得ることができるのか、具体的に計算してみました。仮に、ある銀行がお金に余裕がある個人や企業から1億円の預金を預かり、その1億円をそのままお金を必要としている個人や企業に貸し出した際、貸出金利を5%、預金金利を1%とした場合、銀行の利益は400万円となります。金利等の条件にもよりますが、貸出の件数が増えることによって銀行の利益が増えることが分かりました。
 ここで先生から「お金を貸し出す際、銀行にとって問題となる点はないだろうか」と質問があり、生徒からは「貸したお金が返ってこない場合もあるのではないか」という回答がありました。
 そこで、銀行はどのようにして資金の貸出先を決めているのか、銀行員の立場に立って考えていくことにしました。
 まずは「自分が銀行員の立場だったら、どのような点を重視して貸出を行うか」を個人で考え、ワークシートに記入していきました。
 その後は4人1班になって活動していきます。お金を借りたいという2名の情報が書かれたシートが配られ、記載された条件(年齢、性別、職業・業種、勤続年数・年収、借入金額、借りたお金の使い道、借入状況など。班毎に異なる条件のシートを配布。)を踏まえて、どちらにお金を貸し出すか話し合っていきました。
 「銀行員の立場に立って考える」という体験を通して生徒たちは、「貸出」という銀行業務の必要性や重要性、そして業務に対する責任も感じているようでした。
 次時も引き続き班での話し合いを進め、貸し出す相手とその理由を発表し共有することが伝えられ、授業は終了しました。