埼玉県立所沢商業高校 授業のねらい

授業のねらい

教育界において「金融リテラシー」が叫ばれて久しいが、実際に生徒に聞いてみるとほとんどの場合、こういった教育を受けてこなかったという現状がある。日本は従前から「現金至上主義」社会であり、ほとんどの場合、モノやサービスの提供の対価を現金で支払ってきた。しかし、現在はクレジットカードや電子マネーの普及、また、貯蓄だけではなく投資などの直接金融を行う人も増えてきている。このような状況の中では、「金融リテラシー」はますます重要な教育課題であると考える。

本授業では、社会に出てから退職するまでにいくら収入を得るのか(生涯賃金)について考え、その中で、銀行の果たす役割について学んでいく。次に体験型カードゲームを通して、自分のライフプランや資金計画について考えていく。また、将来利用するであろう保険やローン・クレジットの仕組み、資産運用についても学び、最後にまとめとして実際に金融機関を見学し、生徒にとって「金融」とは身近なものであるということを理解させる授業展開を目指している。なお、本授業は3年次の情報処理科課題研究の一講座として実施される。

教材を活用した授業の実際

金融リテラシーの座学として5時間の授業、冬休み中に1日銀行見学を実施する。コンピュータ教室での授業となるので、生涯賃金などは表計算ソフトウェアで生涯賃金をシミュレーションしながら、実際に得られる収入を考えさせたい。また、補助教材として全国銀行協会の「ライフステージで学ぶ銀行」と「ローン&クレジットのABC」を使用する。体験型カードゲームは、全国銀行協会の「生活設計・マネープランゲーム」を使用し、表計算ソフトウェアも活用して資金計画についても体験的に学習する。銀行見学は、日本銀行と貨幣博物館を見学し、中央銀行の役割と貨幣の歴史等を学び、その後、都市銀行を見学し、銀行での業務や個人と銀行との関わりについてレクチャーを受ける。