11月27日(金)実施

京都府立東稜高校レポート6時間目

 6時間目は、金融システムと現状の課題について学びました。

 日本版金融ビッグバンは、1986年にイギリスで行われた金融自由化政策(金融ビッグバン)を手本に、free(市場原理が機能する自由な市場に)、fair(透明で信頼できる市場に)、global(国際的で時代を先取りする市場に)を三原則に掲げ、1996年に改革が実施されたことを確認しました。
 その結果護送船団方式から決別し、金利や金融業務の自由化が進む結果となったことが分かりました。
 護送船団方式とは、全体が速度を合わせて少しずつ進む方式のことです。銀行であれば、預金金利はどこでも同じ、営業時間も振込にかかる手数料も同じということです。これによって日本の金融システムは安定し、国民が銀行に預けたお金は、企業の資金として安定的に供給されていました。法規制などを厳しくし、過度な競争をさせなければ、勝者も敗者もなく、倒産する銀行も出ないということです。
 また、国外の金融機関が参入することとなり、外国為替業務の自由化も行われました。
 こうした情勢の中、銀行の統合による規模や多角化のメリット、コスト削減効果などにより見込まれる経営効果を期待した銀行は、1999年以降再編を加速させました。1970年~1980年代に「都銀13行」「大手20行」と呼ばれた各行は、段階的な合併を繰り返し、三大メガバンク(三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ)体制に落ち着いたことが分かりました。

 次に、金融のグローバル化について確認をしていきました。
 金融のグローバル化に伴い、国内外の金融市場が一体化し、膨大な量のお金が国際金融市場で取引されるようになっており、様々なデリバティブル商品があることが分かりました。
 先物取引とは、将来の売買についてあらかじめ現時点で約束をする取引のことです。現時点では売買の価格や数量だけを約束しておいて、将来の約束の日が来た時点で売買を行います。前もって売買の価格を決めておくことにより、価格変動する商品の売買につきものの価格変動リスクを回避できるという利点があります。
 オプション取引とは、将来的な価格変動を見込んで、あらかじめ決めておいた特定の価格で商品を売買する取引のことです。買い手側は、権利行使、転売、放棄という選択肢(オプション)を持つことから、オプション取引と呼ばれることが分かりました。
これらの状況を踏まえ現在は、「マネー資本主義」、「カジノ資本主義」と呼ばれていることが分かりました。

 最後に、経済競争の結果、格差社会と貧困の問題について確認をしていきました。
金融ビッグバンと時を同じくして、日本の失業率は増加の一途をたどり、同じく非正規雇用者の数も増加していることが分かりました。

 お金とは何か、お金の歴史、金融機関の役割、日本銀行の機能と金融政策、ローン・クレジットのメリット・デメリット、金融システムの現状と課題を確認した6時間の授業でしたが、自分とお金との関わりは、国内外の金融システムとも関係があるということを、実感を持って理解することができたようでした。