平成29年10月26日(木)13:15~14:20

 多重債務問題の社会的背景と誰でも陥る可能性があることを知り、その対策を理解することを目標とし、授業が行われました。
 はじめに、前時学んだ奨学金の仕組みや、奨学金の返還がある場合にはより一層、収支のバランスを考えた生活をする必要があることを確認した後、先生から「借りたお金を返すことができなくなったら、どうしますか」という問いがありました。生徒からは「モノを売ってお金を得て返す。」「家族に借りる。」などの意見がありました。ここで先生から、複数の金融機関からお金を借りていて、そのお金を返すことが困難な状態のことを「多重債務」ということ、この授業では多重債務に陥る原因等を考えていくことが伝えられました。

 シリーズ教材お金のキホン動画「導入 ある家族の休日」を視聴して、登場人物の大学生が多重債務になってしまった原因を予想して多重債務 個人ワークシートに記入していきます。個人の考えがまとまった後、隣同士で話し合ってみたところ、「使ったお金の額を把握しきれず、使い過ぎてしまったのではないか。」「最初はクレジットカードでの買い物は借金だという感覚があったと思うが、時間が経ってその感覚が薄れていったのではないか。」などの意見が出されました。
 動画の結末をシリーズ教材お金のキホン動画ストーリーB「思わぬ収入の減少で多重債務」で確認した後、授業用スライドで多重債務の原因や状況について以下のとおり確認していきました。

  • 目の前の借金を返せず他からお金を借り入れて返済することを繰り返すと、借金額は雪だるま式に増えていき、多重債務に陥ってしまう。
  • 多重債務に陥る原因は「無計画な利用」「思わぬ収入の減少」「予期せぬ急な出費」「詐欺被害」などさまざまある。
  • 多重債務者が借金をしたきっかけを調べると「低収入・収入の減少等(生活費・教育費等の不足)」が最も多い。

 生徒たちは、誰もが多重債務に陥る可能性があるということが分かった様子でした。

 続いて、多重債務に陥らないようにするためにはどうしたらよいか、個人で考えて発表していきました。
 生徒からは「万が一に備えておく必要がある。」「自分が使った金額がいくらなのか把握する。」「計画を立てて使わないといけない。」「その場で支払いができない金額のものは、カードでも簡単に購入しない。」「借りたお金にどれだけ金利がかかるのかを考える。」などの意見が出ました。
 これらの意見を踏まえて「借金のための借金をしそうな人の気持ちを考えて、その行為を踏みとどめる言葉」を各班で考えて、理由と一緒に発表していきました(各班の発表内容は以下のとおり)。
 

各班の発表

1班 早まるな!まわりに相談!多重債務になる前に
   理由)自分だけで解決しようとする前に、誰かに相談すれば解決できるかもしれないから。
2班 「借金のための借金」か「助かるための相談」か
   理由)誰かに相談することで、多重債務を防ぐため。
3班 その延命処置で、貴方は生きかえることができますか
   理由)多重債務に苦しむ人達がまるで不治の病にかかった患者のようだから。
4班 あんた    ちょっと まって!!
  ( A     T     M )
   理由)インパクトと語呂あわせで目にとまるような一言と冷静に考えてもらうためのサブタイトル。
5班 ためこむな!相談こそが家族愛
   理由)一人で抱え込むといつか背負いきれなくなるから。
6班 一瞬の得、一生の損
   理由)借金した瞬間は物が手に入って得。もしそのお金を返せなくなったときは長い時間苦しむから損。
7班 つかの間の幸福 後に残るのは借金地獄
   理由)その時だけ自分の好きな物や普段買わない物を買えても、我に返ってみると借金だらけになるということを気づかせるため。
8班 助け合い話し合いは家族愛
   理由)多重債務になりそうになった時に、すぐに相談できる家族関係を築くのが大切だから。
9班 困るのは自分一人だけですか?
   理由)(記入なし)
10班 取り戻せる?あなたの人生
   理由)疑問形を使うことで、1回我に返させる効果。

 各班の発表後、授業用スライドで多重債務に陥らないための注意点を以下のとおり確認し、授業は終了しました。

  • クレジットは、あくまで必ず返済しなければならない借金であることを理解する。
  • 利用する際には、ほんとうに必要なものかよく考え、使える(借りられる)金額ではなく、確実に返せる範囲で、計画的に利用する。
  • 借金返済のための借入は、絶対にしてはいけない。
  • 万一、返済が困難になりそうになったら、まず早めに家族に相談する。
  • 全国銀行協会相談室、日本クレジットカウンセリング協会、消費生活センターなどで専門家と相談することもできる。