2月24日(金)実施

福岡市立友泉中学校レポート3,4時間目

 3,4時間目の授業は、生活設計・マネープランゲームを活用し、20~30歳代の人生の疑似体験から、自分の生活に必要なお金と、お金との関わり方について考えていきました。

 はじめに先生から、「20歳の自分を想像してみると、どのような感じですか」という質問がありました。生徒から「楽しくて、幸せな生活をしていると思う」という意見が出たところで、先生から、幸せや楽しいという気持ちは「お金」と「満足度」に関係していることが伝えられ、ゲームがスタートしました。

 係を決め、生活設計・マネープランシートの使用方法を確認した後、「職業」について考えてみました。「プロ野球の選手」、「バトンの先生」など、就きたい職業について既に考えている生徒もいました。
 今回は、全て班で話し合いをしてカードを選択していく流れで人生の疑似体験をしていきました。
 3枚の収入カードから、年収や働き方の特徴を確認した後、1枚を選びました。生徒からは、カードを選ぶ中で、「この金額から、税金とかひかれるんだよね」という声があがっていました。
 そこで先生から、「今、税金の話が出ましたが、給与からは税金や社会保険料が差し引かれることになります。年収に対してどのくらい引かれるのか、確認してみましょう」という指示があり、資料集p2の非消費支出一覧を開き、それぞれの非消費支出を探し出し、年収と非消費支出をマネープランシートに記入しました。
 収入から非消費支出を差し引いた金額で、生活をしていくことになります。
 3枚の基本生活支出カードから、生活の特徴を確認した後、1枚を選びました。何にお金を多くかけたいのか班の中で話し合いながら、手取り収入の中で生活が成り立つように考えていきました。
 現在の貯蓄額を考慮しながら自動車の購入を検討し、20歳代の人生体験は終了しました。
 20歳代終了時点で、貯蓄がマイナスになった班はありませんでした。先生からは「他のクラスでは、この時点で貯蓄がマイナスになった班もあったので、みなさんは堅実な生活をしていますね。ただし、30歳代以降どうなるか分からないので、引き続きしっかり考えていきましょう。」という指示がありました。

 続いて30歳代の人生体験です。
 「人生の3大資金とは、何だと思いますか」という先生の問いに、「家」、「自動車」、「子育て」などの意見がでてきました。正解は、「住宅資金」、「教育資金」、「老後資金」で、そのほかで多くのお金が必要となるのが「結婚資金」であることが先生から補足されました。
 そこで、結婚をするかしないか、結婚した場合の働き方、子どもの人数を班で話し合って決めていきました。結婚しない班はなく、働き方や子どもの人数を決めていました。「配偶者」という言葉が分からない生徒もいたので、先生から「夫婦の一方から見た他方のこと、夫から見た妻、妻から見た夫という意味です」と補足もありました。
 家族構成と収入が決まると、非消費支出も決まります。非消費支出一覧からそれぞれの金額を確認する中で、収入だけでなく、家族構成によって非消費支出が変わることに気づく班もありました。
 ここまでの収支を計算した後、住居をどうするかについて検討していきました。
 「人生で一番大きな買い物はなんですか」という先生の問いに、すぐに生徒から「家」と答えが返ってきました。「では、家を買う場合には3,000万円、4,000万円必要になるけれど、そのお金はどのように準備しますか」という問いには、「ローン」という答えが出てきました。
 ここで、ローンの仕組みについて先生から説明がありました。ローンとは、後から少しずつ返す約束をして、先にお金を借りて必要なときにお金を使える仕組みであること、最初に頭金を払う必要があり、今回のゲームの中で頭金が準備できない場合には、住宅購入の際にローンを活用することができないことが伝えられました。
 どの住宅にするか、支払方法はどうするか、今までの中で一番時間をかけて話し合いをする様子が見られました。人生で一番大きな買い物をする体験から、「貯蓄をしておく必要性」や、「将来を見通しながら、今のことを考える大切さ」を実感できたようです。
 住居を決定した後の自動車購入は、とても真剣です。貯蓄や家族構成など、今の自分たちの状況を改めて確認し、どのようにしていけばよいのか考えていました。
 保険に加入するかどうか検討する場面では、「非消費支出の中に社会保険料の支払いがあるけれど、公的保障とは別に、自分の意志で加入できる保険もあります。さまざまなアクシデントの支出に対して補てんをしてくれる仕組みです。」と先生から説明がありました。保険に加入するかどうかを決めた後、イベント&アクシデントカードを引きました。人生には不測の事態が起こる場合があること、保険に加入していれば、アクシデント支出を補てんできる場合もあることなど体験できました。

 30歳代までの貯蓄額と思い出ポイントを計算し、人生の振り返りを行いました。

各班の結果

  20歳代
収入 支出 自動車
1班 1 2 標準
2班 2 2 標準
3班 2 2 標準
4班 1 2 手ごろ
5班 2 2 標準
6班 2 3 手ごろ
7班 2 2 ない
8班 2 3 手ごろ


  30歳代
結婚 子ども 住居 自動車 保険 イベント&アクシデント 貯蓄 思い出
1班 する 2人 2 マ標 手ごろ 入る 宝くじ 600万 13
2班 する 2人 2 賃手 標準 入る 株価急騰 400万 8
3班 する 2人 2 マ標 手ごろ 入る 給付金 -1,080万 14
4班 する 2人 3 戸豪 豪華 入る 宝くじ -2,800万 20
5班 する 2人 2 戸標 標準 入る 入院 -1,800万 16
6班 する 1人 2 マ標 なし 入る 英才教育 -1,300万 17
7班 する 2人 3 マ標 なし 入る 交通事故 -900万 9
8班 する 2人 4 戸標 標準 入る 自分磨き -1,200万 16

*住居表記「マ:マンション」、「戸:一戸建て」、「賃:賃貸」、「豪:豪華」、「標:標準」、「手:お手ごろ」

 それぞれの班で結果に対して振り返りをする際には、「子どもの人数」と「思い出ポイント」から人生の満足度を考えてみたり、自分たちが選択しなかったカードを改めて選び直し、計算をし直してみたりする班がありました。
 班長に結果を発表してもらい、ゲーム体験は終了となりました。

【感想や改善点(抜粋)】

  • 収入カード②を選択したけれど、①を選択していればもう少し余裕ある生活ができたと思う。
  • 20歳代でお金を使い過ぎて、30歳代で家族を持ってからお金が足りなくなってしまったので、20歳代のお金の使い方を考えないといけないと思った。
  • 借金も思い出も多い人生だった。家や車は豪華なものがよいとは限らない。思い出(心の満足感)も必要だが、借金が増えるのもよくないと思った。
  • 働くのは1人だったので、家族の時間を持つことはできたが、収入が足りないと思ったので、収入カード②ではなく①を選択すればよかったと思う。

 最後に先生からは、「今日の授業は、本来は3年生で習う内容です。しかし、自分とお金との関わり方を考えるのに早すぎるということはありません。生きていくためにはお金がかかるということ、そのお金をどのように得て、どのように使うのかは自分で決めなければならないということを、今日の授業で知って欲しいと思いました。日々の生活の中でも、お金との関わり方を考えていくようにしましょう。」と伝えられ、授業は終了となりました。