テーマ:金融リテラシー教育の実践について ~生活設計・マネープランゲーム体験ワークショップ~平成27年10月14日(水) 13:30~15:00

レポート

 京都府立洛水高等学校の主催する教員向け研修会に講師を派遣し、同校と京都府立東稜高等学校の教員約20名を対象として、金融リテラシー教育の実践についての講話と、カードゲーム教材の体験を行いました。

 前半は、自分とお金のかかわりについて、生徒たちが実感を持って理解を深めることができる「生活設計・マネープランゲーム」の教材体験を行いました。
 まず、3分間のゲーム紹介動画を視聴し、講師からゲームの目的、生徒達に学んでもらいたいことの説明がありました。

 その後、4人で1グループを作ってもらい、20~30歳代の人生体験を行いました。

 必要なカードを裏返して並べたら、ゲームの開始です。
 最初に資料集p10~11の「キャリアカード」について、ゲームの導入として活用する場合と、時間の都合から割愛する場合について講師から説明がありました。今回はこの部分は割愛して、20歳代の人生に入ります。
 20歳代の人生は、就職をして自立する体験です。収入カードを引いて収入が決まると、講師から資料集p1~3に沿って、非消費支出について説明がありました。生徒の履修状況や実施時間に合わせて、どの程度まで説明するのかは先生方で調整して欲しいということも、講師から伝えられました。
 収入と非消費支出を生活設計・マネープランシートに書いた後、基本生活支出カードを引いて、支出を決めます。
 その後、自動車を購入するかどうかを決め、20歳代の収支と思い出ポイントをまとめました。
 この時点で、収支がマイナスになったり、ある程度貯蓄ができていたりと、差が現れました。

 続いて30歳代の人生体験です。
 30歳代では、さまざまなライフイベント(結婚・子育て・住居の購入・自動車の購入・保険の選択・イベント&アクシデント)と、それらにかかる費用について体験します。
 人生の三大資金と結婚資金については、進行スライドと資料集p4,5で確認をしました。その後、結婚カード、子育てカードを引いて家族構成が決まりました。 家族構成が決まった後、住居の購入を考えます。資料集p6,7でローンの仕組みを確認しました。
 ここまでの貯蓄額を確認し、住居を購入するか、賃貸にするか考えました。次に自動車の購入、保険に入るかどうかを決めた後、イベント&アクシデントカードを引きます。人生には、思いもよらない出来事が起こる場合があり、アクシデントの種類によっては保険加入によって、アクシデント支出が補てんされる場合があることなども体験しました。
 30歳代までの人生を振り返り、それぞれの状況を発表してもらいました。

 振り返りで全ての班に結果を聞くことが時間的に厳しい場合には、貯蓄額が多かった班と少なかった班、また思い出ポイントの多かった班と少なかった班に結果を発表してもらい、それらの班の結果の特徴から、気づきや学びができることが講師から伝えられました。

 後半は、洛水高等学校が今年の2年生の「総合的な学習の時間」で行う金融経済教育のテーマである、「ライフプランと家計管理」、「ローン・クレジットの活用と多重債務」、「銀行と私たちの生活とかかわり」の3つの内容について講義を行いました。

 ライフプランと家計管理については、「ライフステージで学ぶ銀行」のテキストと授業スライドを活用しながら、収入と支出の関係、可処分所得や非消費支出、長期的な生活設計の大切さ、リスクへの対応について確認をしました。また、「ライフステージで学ぶ銀行」では、高校生が実際のライフプラン作りと、将来の収支のグラフ化を体験することができることを紹介しました。

 ローン・クレジットの活用と多重債務については、「ローン&クレジットのABC」のテキストと授業スライドを活用しながら、ローンとクレジットの仕組み、メリットとデメリット、多重債務について確認しました。ローンやクレジットについては、生徒が身近に感じられない場合も多いため、高校生が持てるカードと持てないカードの違いを考えたり、就職後に自動車を購入することを想定したりすることで、関心を高めることが伝えられました。多重債務については、映像教材「ズバリ!私のどこがいけなかったの?かしこくつきあうローン&クレジット」を活用することで、多重債務におちいってしまう状況や原因をよりリアルに実感してもらえることも伝えられました。

 銀行と私たちの生活とかかわりについては、「あなたと銀行のかかわり」のテキストと授業スライドを活用しながら、銀行の三大業務、直接金融と間接金融について確認をしました。

 最後に講師から、金融経済に関する内容は生徒には難しいと思われることが多いが、ゲーム教材などを活用することで、楽しく実感を持って知識を身につけることができると思うので、学校やクラスの状況に合わせて活用して欲しいということが伝えられ、研修は終了しました。

使用教材