題材1「銀行と日銀」

 社会科(公民的分野)「わたしたちの暮らしと経済」の銀行と日本銀行について学ぶ授業で、「あなたと銀行のかかわり」 を活用した授業が実施されました。
 生徒用テキスト映像教材を使い、「金融機関には、どのような種類と役割があるのか」を考えていきました。

 はじめに、「金融」という言葉の意味について考えていくことから授業がスタートしました。金融の「ゆう」の訓読みを生徒に聞くと、「とける」という回答があり、そこから「融」という文字には「とけて一つになる」、「滞りなく通じる」などの意味があることを確認しました。そして、金融とは「お金を融通すること」であり、お金を貸したり借りたりすることであると伝えられました。
 ここで先生から「知らない人からお金を貸して欲しいとお願いをされたら、あなたはお金を貸しますか」という問いかけを行い、生徒から「友だちでも信用がなければお金を貸すことはできない」などの発言がありました。お金の貸し借りにおいて「信用」が大切だということは、生徒たちも分かっているようでした。
 金融は、鎌倉時代に神仏に仕えている人(=信用できる人)が、お金に困っている人にお金を貸していたことからはじまり、室町時代になると専門の金融業者が登場してきたことが先生から伝えられました。

 次に、金融機関の種類と、金融機関の代表である銀行の業務について考えていきました。
 金融機関の種類を生徒に聞くと、「銀行」、「郵便局」、「信用金庫」などが挙げられました。そのほかにも「保険会社」、「証券会社」も金融期間であることが補足されました。
 金融機関の代表である銀行の業務については、あなたと銀行のかかわりp8,9を見ながら考えていきました。銀行はお金の仲介役として、お金に余裕のある人から必要としている人へお金の橋渡しをしていること、銀行の三大業務は、お金を「預かる」、「貸す」、「移す(為替)」であり、「預金」と「貸出」の利子の差額で利益を生み出していることが分かりました。
 テキストブックの例では、預金利子と貸出利子の差は5,000円でしたが、実際に銀行が仲介している金額(1億円単位など)で利子を計算してみることで、銀行がどのようにして利益を得ているのか理解できたようでした。
 また「移す(為替)」の振込については、実際に銀行と銀行の間を現金が移動しているわけではなく、数字のデータが移動していることが説明されました。例として「昔は給食費を集金袋に入れて毎月学校で集金していたが、今はそれぞれの家庭から学校の口座に振り込みをしてもらうことで集金を行っている」ことが伝えられ、自分たちの生活の中で「為替(振込)」が活用されていることが分かりました。

 続いて、日本の中央銀行である日本銀行について考えていきました。
 先生が千円札を生徒たちに見せながら「この千円札は正式には何と呼びますか」と問いかけました。生徒から「お札」「紙幣」などの発言があったところで、正式な呼び方は「日本銀行券」で、千円札にもそのように書かれていることを確認しました。
 日本銀行は、市中銀行(一般の銀行)が預金口座を持つ「銀行の銀行」としての役割、紙幣の発行を決めたり、銀行から預けられたお金のうち、古くなったものは破棄して新しい紙幣に取り替えたりする「発券銀行」の役割、国の預金口座があり、税金や社会保険料などの受け入れ、公共事業費や年金の支払いが行われたりする「政府の銀行」としての役割という3つの役割を持つことが分かりました。

 最後に、授業のまとめとして、映像教材「動画で学ぶ銀行の仕事」 を視聴し、実際に銀行ではどのような仕事をしているのか確認しました。映像教材では、銀行の三大業務の具体的な内容、実際に銀行で働いている人々の思いや工夫等を確認し、授業は終了しました。