題材2「直接金融と間接金融」

 はじめに、あなたと銀行のかかわりp8を見ながら、銀行の役割について前時の振り返りをしました。
 そして本時のねらいとして、「直接金融と間接金融」をテーマに、疑似体験を通して直接金融と間接金融のメリットとデメリットについて考えていくことが生徒に伝えられました。

 はじめに、生徒7人に協力してもらい架空の会社を3社作りました。
 それぞれ事業内容や資本金を考えて発表し、他の生徒たちは、どの会社が儲かりそうか、投資をするべきかを考え、投票していきました。

※生徒が考えた3つの会社の概要

企業概要 事業内容資本金票数
【A株式会社】
介護サービス事業
高齢化社会が進むので、今後ますます需要が高まることを見込み事業をスタートした1億円17人
【Bコーポレーション】
チョーク製造
先生が使いやすいチョークの開発と販売5,000万円7人
【株式会社C】
タレント事務所
アイドルを養成、外国からも講師を派遣して、ゆくゆくは海外進出を狙う1億円2人

 

 次に、会社を立ち上げたり、事業を大きくしたりする際の資金の集め方にはどのような方法があるかを考えていきました。生徒からは「株式を発行する」、「銀行から借りる」、「財産を売る」、「広告を出してお金を集める」などの意見があがり、あなたと銀行のかかわり 授業2ワークシート「直接金融と間接金融のしくみ」 に書きこんでいきました。
 ここで、自分が持っているお金を企業の資金調達に役立てるとしたらどのような方法があるのか、銀行融資と株式投資の違いから考えていきました。
 まずは、銀行融資についてです。先生が銀行、生徒が預金者という設定で考えていきました。生徒から預かったお金がどの会社に融資されるかは、貸出の希望があった会社が必ず返してくれる相手かどうかを先生がきちんと調べて(精査して)決定されます。ここでもし、先生がBコーポレーションに貸し出すことを決定した場合、Bコーポレーションに出資したいと考えた7人の生徒の資金は、希望どおりにBコーポレーションの資金調達につながることになりますが、他の2社に出資したいと考えた生徒の資金も、Bコーポレーションの資金になります。(また、資金を必要としている会社が複数ある場合、「生徒から預かったお金」が、どの会社に融資されたかは、分かりません。)
 銀行に預けたお金が、出資したい会社の資金調達につながるかどうかは「どちらともいえない」ということが分かりました。
 一方、株式投資の場合、投資したい会社の株式を購入することで、自分のお金が直接その会社に渡されることになるため、自分のお金が企業の資金調達につながることが分かりました。
 このように、資金の流れの違いから、銀行を介した資金調達の方法を「間接金融」、株式による資金調達の方法を「直接金融」と呼ぶことを確認していきました。

 続いて、「直接金融」と「間接金融」のメリット・デメリットについて、企業の事業の成功や失敗が自分のお金にどのように影響するかという視点から考えました。さらに、ワークシートを使って企業が資金を調達する場合の2つの方法について、それぞれのお金の流れを確認し、本時のまとめを行いました。

 授業の最後に先生から、株式の値段(株価)は日々変動しており、新聞にも毎日情報が掲載されていることが伝えられ、実際に新聞に掲載された株価情報を確認しました。生徒は、知っている企業の名前を探すなど、熱心に新聞を見ていました。
 毎日の株価の変化をチェックすることは、日本の経済に興味を持つきっかけの1つになるということが伝えられ、授業は終了しました。