平成27年2月5日(木)実施

 まずは教員が「銀行に行ったことある?通帳を作ったとか、入試の時に受験料を振り込んだとか…」と、生徒に問いかけました。「ない!」と答える生徒がほとんどで、まだ自身の生活と銀行とのかかわりがない様子が伺えました。ここで、銀行業務についての映像教材「動画で学ぶ 銀行の仕事」を視聴し、教員が作成した金融についての簡潔なまとめがされたマグネットを黒板に張り、映像で見た内容について、すばやく振り返りを行いました。

 続いて、「企業」と書かれたマグネットを黒板に貼り付け、「どうしたら資金を調達できるか」というメインテーマを板書し、企業の資金調達方法について生徒に問いかけます。テンポ良く授業が進行することで、生徒は非常に集中している様子でした。次にスライドに沿って、「直接金融と間接金融とは何か」という問いを投げかけますが、生徒はあまり覚えていない様子です。そこで、マグネットで「直接金融」と「間接金融」というワードを提示しますが、あえて意味については触れませんでした。
 ここでワークシートを配布しました。ティーチャーズガイドにある「アーティスト」というイラストを黒板に貼り出し、このアーティストが新規事業を立ち上げるというストーリー概要を説明し、まずはヒントを出さずに、どうしたらアーティストが資金調達できるのか、生徒一人一人に考えさせ、ワークシート【1.企業の資金調達方法-①】に記入してもらいました。
 記入内容は、生徒が挙手で発表し、「ファンクラブの立ち上げ」、「募金をお願いする」、「アーティストが頑張る」等、様々な回答が出ましたが「では、より実現可能性の高い答えをどうぞ」と回答を求めると、「銀行に借りる」との回答が出ました。
 ワークシート【1.企業の資金調達方法-②】は、 生徒から回答があった「銀行から借りる」、「株式を発行する」を、生徒自身に「融資」、「株式発行」と言い変えてもらい、単語と意味の結び付きを確認したうえで記入しました。次に、「融資と投資の違いは何か」という問いを投げかけ、周りと自由に相談してもらいました。「直接的か間接的か」という発言が聞こえてきたところで、スライドに沿って、銀行融資と株式発行の違いについて、お金の流れの違いを強調しつつ解説を行い、直接金融と間接金融の違いについて、しっかりと内容をおさえました。
 ここからは、「あなたが貯めたお金が100万円になった」という状況をもとに、お金の使い道について生徒に考えてもらいます。まず、アーティストの立場になりきってもらうことで、生徒の「もし自分だったら…」というイメージを想起させ、100万円の使い道をどうするか、ワークシート【1.企業の資金調達方法-①】で記入したいくつかの選択肢から、生徒に挙手で選んでもらいました。そこで、ワークシート【2.銀行融資と株式投資のお金の流れの違い-①】に記入してもらった考えを確認した後、スライドに沿って答え合わせを行います。
 続いて、「天災があり、工事が中断してしまいました!」と事業が失敗した場合について、【2.銀行融資と株式投資のお金の流れの違い-②】のうち、「あなたのお金への影響」を個人で考えてもらいました。ここまでの状況と内容の理解がしっかり行われているためか、ほとんどの生徒が正答を理解している様子が伺えました。ここまでの復習として、スライドの図式を用い、お金の流れ、利子、配当金などにも触れつつ、預金と投資の違いについて解説を行いました。

 まとめとして、今までの内容を踏まえ、銀行融資と株式発行が直接金融と間接金融のどちらに当たるのか確認しました。生徒の理解を確認し、すぐにワークシート【2.銀行融資と株式投資のお金の流れの違い-③】へ記入してもらいます。解答の解説を行いながら、単語の意味を再度復習し、簡潔に全体のまとめをしました。
 ここで改めて「100万円の使い道はどうしますか?」と問いかけ、直接金融や間接金融と絡めつつ、どう使うのか再考させました。100万円を一年間預けた場合の利子と、株式投資を行った場合の利益の差を例示して、預金と投資のどちらが良いかについて尋ねると、生徒は楽しげに考えている様子でした。
 最後に授業の感想を記入してもらい、授業は終了しました。重要単語が多く、複雑なお金の流れを扱うテーマでしたが、常に生徒に挙手や口頭での回答を促したことで、生徒の理解を確かめつつ着実な授業進行となりました。