神戸市立横尾中学校レポート 授業のねらい

授業のねらい

 経済の学習は、とかく抽象的な用語の羅列になりがちであるが、ゲームを通して楽しみながら家計 を中心とした経済活動を身近に感じ、これからの人生選択・生活設計について具体的なイメージを もたせたい。 
 そのうえで、ゲームで体験した「家計」の実際に関心をもち、さらには自分の家庭ではどうなっているかに関心をもたせたい。 
 さらに、これから自分が利用することになる、クレジットやローンのメリットやデメリットなどを学んだうえで、金融の働き、マクロ経済の仕組みを理解させたい。

教材を活用した授業の実際

【1時間目】「生活設計について考えよう1」
「生活設計・マネープランゲーム」を使い、身近な「家計」について疑似体験することによって自分自身とお金・金融・経済の関係を実感させる。40歳代までの人生の選択を経験する。

【2時間目】「生活設計について考えよう2」
引き続き、「生活設計・マネープランゲーム」を使い、40歳代から60歳までの人生を経験する。どのようなライフスタイルを選択するかで、人生に大きな差が生まれることを実感する。
また、人生の選択は全てが思い通りにいく訳でもないし、お金が全てではない、しかしお金がなくては困る、といったことも実感として理解させたい。

【3時間目】「実際の家計について考えよう」
「知ろう!学ぼう!お金の使い方」にある、「30歳未満勤労単身者の平均収入と平均支出」の資料を使って、実際の生活に必要な収入支出を理解する。また、自分の家庭の家計を調べることで、生活を見直すきっかけとしたい。

【4時間目】「ローンとクレジットの仕組みを知ろう」
「知ろう!学ぼう!お金の使い方」にある、ローンで家を購入した場合の資料を使い、返済金額の予想をすることで、金利の重要性やローンを上手に利用するために何が大切かを考えさせたい。同時に、クレジットの仕組みと、クレジットでの買い物のメリット・デメリットを理解させたい。

【5時間目】「銀行と金融の仕組み・役割を知ろう」
「知ろう!学ぼう!お金の使い方」のワークシートを使用し、銀行の三大業務を理解するとともに、金融が世の中のお金の流れをつくっていることに気づかせたい。

【6時間目】「中央銀行の役割を知ろう」
日本銀行の役割について学び、金融政策について理解することで、実際に行われているアベノミクスにおける金融政策を理解させたい。

生徒の感想

  • ゲームでは、思ったよりお金がかかって驚きました。でも、思い出ポイントによって、お金が全てではないということを感じました。
  • 収入や支出、今の貯蓄を表にすることによって全体のお金の流れが分かり、先のことを考えられたので、全体を見通すことの重要性をとても感じました。
  • 全ての項目において、支出金額が高いと思った。塾に行かせてもらっていること、ご飯をお腹いっぱい食べさせてもらっていることなど全てに感謝したい。
    自分の部屋のエアコンをつけっぱなしにするなどの無駄をなくすようにしたい。実際の生活意識を変えることのできた授業だったなと思う。

先生の感想

 経済の学習は、とかく抽象的な用語の羅列になりがちであるが、「生活設計・マネープランゲーム」は、ゲームを通して楽しみながら家計を中心とした経済活動を身近に感じることができてよかった。生徒はこれらかの人生選択・生活設計について具体的なイメージをもつことができた。思いもよらないアクシデントで人生が予想外の展開をみせたりすることに、子どもたちは大熱狂であった。  

 ただ、これを導入とし、その後の実経済について考えるのであれば、必ずしも60歳までゲームを完結させる必要はなく、結婚・子育て・住居の決定等を行う40歳代までで充分であると考える。  
 このゲームで人生のシミュレーションをしたことが、その後行った実際の我が家の「家計」や、クレジット・ローンについて考える際に大きなレディネス効果を生んだ。生徒たちの感想が、それを物語っている。  

 授業者としても、大いに刺激を受ける教材であった。