横浜市立新井中学校(神奈川県)実施日:平成26年10月9日(水) 学年:小学6年生~中学2年生 実施学科:「小中連携キャリア教育」受講者24名

横浜市立新井中学校(神奈川県) 小学6年生~中学2年生

 「小中連携キャリア教育」として、新井中学校1,2年生と新井小学校6年生が一緒にキャリア教育の授業を受けました。様々な職種の10講座が開設された中で、全銀協では「学ぼう!環境と銀行のこれから」と題して、環境技術を題材に「金融」について学ぶ授業を実施しました。

 導入として、スライドに投影された自動車の写真を見て、どんな自動車なのか尋ねます。生徒たちからは、「ハイブリッドカー」や「電気自動車」であるとの答えがありました。それらが環境対応車であること、「高性能バッテリー」が重要な技術であることを確認し、授業のテーマを伝えます。
 授業の前半40分では、会社をつくるというのはどういうことなのかを学びます。
 はじめに、教材「地球みらいプロジェクト」の付属DVDを視聴します。DVDでは、環境を守るために高性能バッテリーの部品を開発し、会社設立を目指す大学生3人組が登場します。環境対応車の現状と、技術を開発した大学生3人の思いをイメージします。
 ここで、会社を設立するためにはどのようなものが必要となるかを考えます。「地球みらいプロジェクト」の1校時用「ワークシート①」に沿って、「もしも、あなたが会社をはじめるとしたら、どんな会社をつくりたいか」「会社をつくるには何が必要か」を各自で考えてもらいます。「ゲームソフト会社をつくりたい」などの発表があり、そのために何が必要かについては、「社員」「パソコン」「工場」「お金」といった答えがありました。一般的に「場所」「人」「機材」「材料(商品)」、そしてそれらを準備するためのお金が必要であることを確認しました。
 続いて、DVDの続きを視聴します。DVDでは、バッテリー部品の生産に必要なもの、費用を挙げ、事業計画書を作っていきます。これを見て生徒たちは、「ワークシート②」の事業計画書の空欄を埋めて必要な費用を計算します。会社をはじめるには、300万円の手元資金に加え、2,540万円が足りないことが分かりました。
 さらに続きのDVDを視聴すると、大学生3人は不足する資金を借りるため、銀行に融資を依頼しに行くことにしました。講師から、銀行の仕組みと役割、預金が融資の原資となっていることなどをスライドで説明し、前半の40分を終了しました。

 休憩を挟んだ後半の40分では、今度は大学生3人の立場ではなく、銀行員の立場で考えます。

 最初のDVDでは、銀行の応接室で大学生3人が銀行員に事業計画のプレゼンを行います。DVDは「あなたが銀行員ならこの3人にお金を貸しますか」という問いかけで終わります。
 これを受けて、2校時用「ワークシート①」を行います。各自で「自分の大切なものを友達に貸すとき、どんな人に貸したいと思うか」を考えて発表してもらいます。「趣味が同じ友達」や、「親友」といった答えがありました。貸す相手のことをよく理解していることや、必ず返してもらえることが大切であることを確認します。
 次に、「銀行は会社にお金を貸すとき、どんなことに気をつけて貸す、貸さないを決めるのか」をグループ(4人)で話し合って発表してもらいます。「ちゃんと返せるか」「事業計画はしっかりしているか」「本当に自動車メーカーに製品を採用してもらえるのか」などの意見が出され、講師が板書しました。続いて視聴するDVDでは、銀行が審査するうえでのポイントの説明があります。「DVDで説明していたポイントのうち、みんなから出なかったポイントは何か」という講師の発問に対して、「社会に貢献できる会社か」という意見がすぐに出されました。「ワークシート②」を配布し、銀行が評価する4つの主なポイント、「公共性」「成長性」「計画性」「信用力」を確認します。

 DVDで大学生3人の最終プレゼンを視聴した後、グループで話し合って「ワークシート②」の「融資審査表」を完成させます。「融資審査表」では、大学生3人の会社について上記の4つのポイントを評価し、総合判断として「融資をしてもいいと思う」か「融資をしない方がいいと思う」を選びます。発表の結果、5つのグループが「融資をしてもいいと思う」、1つのグループが「融資をしない方がいいと思う」という判断でした。融資をしないグループは、「経験がない大学生に融資するのは心配」という意見でした。

 最後に、もし融資が受けられなかったら大学生3人はどうすればよいか考えます。「ほかの銀行に依頼する」「事業計画を練り直す」のほか、「ほかの会社と連携する」という意見も出ました。講師から「社会に出ると、学校の勉強のように問題の答えが決まっていない。夢を実現するには、どうすれば成功するか一生懸命考えて行動することが大切だ。」と述べて講義を締めくくりました。

 授業後の生徒からは、「お金の大切さや、会社を作る大変さを学んだ」、「銀行のことがよく分かった」、「楽しく金融について学べた」といった感想がありました。

使用教材