トランジションを自分事に
高崎経済大学 学長 水口剛
人から言われて受け身でするときと、「これが大事だ」と信じて、自分の意思でするとき…
トランジション・ファイナンスとは、脱炭素社会の実現に向けて、長期的な戦略に則った温室効果ガス削減に関する企業の取組みを金融面から支援するファイナンス手法です。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの導入などに加えて、技術面・コスト面の両面において一足飛びに脱炭素化が難しい地域や産業において、省エネルギー・燃料転換など着実な脱炭素化に向けた移行(トランジション)への取組の重要性が高まっており、その取組みを支援することを目的としています。
わが国全体の長期的なGX(グリーントランスフォーメーション)戦略やトランジション・ファイナンスの対象・備えるべき要件について整理された基本指針、産業毎の利用可能な技術を整理した分野別ロードマップなど、基本文献を整理しました。
わが国の2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、2040年度の温室効果ガス排出量を2013年度比73%削減を達成するために必要となる長期的なGX(グリーントランスフォーメーション)戦略(脱炭素成長型経済構造移行推進戦略)
トランジション・ファイナンスの信頼性を確保するため、その基本的な考え方、資金調達者に期待される事項と対応方法等について整理した基本指針
トランジション・ファイナンスに係る国際的な考え方を整理した国際資本市場協会の「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」と整合性が取られています。
温室効果ガスの多排出産業の脱炭素の実現に向けた具体的な移行の方向性を示すため、各産業分野における短期~中長期で利用可能な技術オプションなどを整理したロードマップ
トランジション・ファイナンスの信頼性と実効性の向上を目的に、特に、資金供給後のトランジション戦略の着実な実行と企業価値向上への貢献を担保するための金融機関向けの手引き
トランジション・ファイナンスに関する債券またはサステナビリティ・リンク・ボンドの発行にあたり、その信頼性を確保するために推奨される、発行体に期待される実務等を明確化したハンドブック
トランジション・ファイナンスを通じた資金供給によって一時的にファイナンスド・エミッションが増加してしまうという課題に対し、どのような算定・開示の工夫がしうるか解説したペーパー
「低炭素・脱炭素社会への移行と価値創造を企業がどのように両立させるかについて、可能な限り明確に示した意思決定に有用な情報」である「移行計画」の基本概念、構成要素、策定のあり方について、現状の認識を取りまとめたガイドブック
10年間で150兆円を超える官民のGX投資の実現に向けて、世界で初めての国によるトランジション・ボンドとして発行される日本国債。国際標準への準拠について評価機関から認証を取得するなど、トランジション・ファイナンスの参考事例の一つ
官民一体となって150兆円を超えるGX投資を実現させるためにGX推進法にもとづいて設立された認可法人です。
GX投資促進のための金融支援業務、排出量取引制度の運営などを行います。
産業競争力強化法の事業適応計画の認定を受けた事業者を対象とした金融支援事業です。
計画認定にあたっては、次の観点から要件を設定します。
① カーボンニュートラル実現に向けた野心的な目標が設定されているかどうか
② トランジション戦略が妥当なものであるか
③ モニタリング・レポーティングが適切に実施されるかどうか
④ 競争力の強化が見込まれるかどうか
主要な産業分野の脱炭素に向けたお取り組み状況を紹介した各団体ウェブサイトのリンク集です(50音順)。
ご参考にしてください。
日本を代表する主要企業の脱炭素に向けたお取り組み状況を紹介した各社ウェブサイトのリンク集です(50音順)。
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