テーマ:知っておきたい金融リテラシー平成27年7月28日(火) 10:00~12:00

レポート

 神奈川県主催の消費者教育教員研修「子ども達の生活と金融教育を考える」に講師を派遣し、教員など約40名を対象に、金融リテラシーとカードゲームに関する講義とワークショップを行いました。

 第一部の50分間は、「金融リテラシー」と「金融経済教育」についてです。

 参加者には、「金融リテラシーチェックリスト」を事前に送り、記入して当日持参してもらいました。「高い金 利で借りることを避けることができる」「資金の目的・性格に合わせて金融商品を適切に選択することができる」など、自分の金融リテラシーを測る24項目を 記したチェックリストです。参加者には、いくつ「○」がついたか振り返り、身に付けるべき「金融リテラシー」をイメージしてもらいます。そして、チェック リストは「最低限身に付けるべき金融リテラシー」の4分野15項目から抜粋して作成したものであることを伝えます。

 次に、「金融リテラシー」はどんな時に必要なのかを考えるケーススタディのワークを行いました。「ケース 1」は、40代夫妻(子ども3人)が住宅購入を考える様子が描かれた文章です。「ケース2」は、定年退職を迎える60代夫妻がリタイア後生活をイメージす る文章です。参加者には、2~3人ずつのグループになってもらい、「ケース」の文章を見て、(1)お金の使い方、運用の仕方などに影響してくる箇所に下線 を引き、(2)その箇所で検討すべき内容が何かを考え、発表してもらいます。

 「ケース1」を考えたグループからは、「今後の子どもの教育費を試算してみる」「無理なく返済できる住宅 ローンの借入額を検討する」「共働きで収入を増やすことも考える」などの意見が出されました。「ケース2」を考えたグループからは、「リタイアを機に加入 している保険を見直す」「旅行や趣味に許される出費の上限を考えておく」「退職金の運用を検討する」などの意見が出されました。講師からポイントを補足 し、いずれの検討内容も「金融リテラシー」が必要であることを説明しました。

 続いて、学校での「金融経済教育」に話を移します。まず、高校生のお金に関する認識度を確認しました。お年 玉をどうしているか、年利2%の利子の計算などの調査結果をもとにしたクイズを通じて、高校生には暮らしで活かせる金融の知識が不足していることが分かり ました。また、高校を卒業してから金融に関する正しい知識を学ぶ機会が少ないことから、高校生までに「金融リテラシー」を身に付けることの必要性・重要性 を確認しました。

 次に、金融広報中央委員会の「金融教育プログラム」に沿って、金融経済教育の意義や目的について説明し、「金融リテラシー」は年齢層に応じて段階的に学習すべきことと、各年齢層において学ぶべき内容について確認しました。

 最後に、全銀協の金融経済教育活動として、各種の教材や、学校へ講師を派遣する「どこでも出張講座」などについて紹介し、第一部を終了しました。

 第二部は、「生活設計・マネープランゲーム」の教材体験を行いました。

 通常は、生徒4~6人で1つのグループになりますが、今回は2~3人で1つのグループとして体験しました。 ゲームは引いたカードで収入と支出が決まります。20代から10年ごとに、結婚や住居などの選択をしていき、選択に伴う費用とともにワークシートに記入し ていきました。30代までゲームが進行し、50分授業で活用する場合はここでゲームを終了し、振り返りを行うとよいことを確認しました。

 実際の授業では、「収入と支出とバランス」、「選択と責任」について生徒に考えさせることの重要性や、グループ活動とすることで生徒同士が将来について話しあうことで、さまざまな価値観があることに気づくことができるという授業の効果について、講師から伝えられました。

 100分授業の場合は、さらに40代、50代とゲームが進みます。40代の人生体験では、30代までの人生 結果を踏まえ、転職するかどうか、支出を見直すかどうか検討しました。転職と支出の見直しが終わると、全体の景気動向を講師が業績カードを引いて決めるこ とで、各グループの収入に影響してきます。

 60歳まで進んでゲームは終了しました。お金がたくさん貯まったグループ、最後まで赤字が出がちだったグループ、楽しいカードに付与されている「思い出ポイント」が多かったグループなど、グループ毎の人生体験を発表してもらいました。

 最後に講師から、「生活設計・マネープランゲーム」は、小学校高学年から中学校、高校まで幅広く活用いただける教材であることを説明し、それぞれの学校や生徒たちの状況に合わせた使い方をしていってほしい旨伝えられました。

 参加者からは、「興味深い内容で参考になった」「楽しそうなゲームなので授業で活用したい」などの感想がありました。

使用教材