テーマ:“授業で使える”金融・経済プログラム体験ワークショップ平成25年8月8日(木) 14:00~16:00

レポート

尼崎市教育総合センター

 兵庫県の尼崎市立教育総合センターにおいて、「授業で使える金融・経済教育プログラム体験ワークショップ」を実施しました。この研修では当協会が提供する金融・経済教育プログラム「あなたと銀行のかかわり」の模擬授業を体験するというものです。
 当日は、中学生のお金に関する身近なクイズの結果から金融経済教育の必要性について考えた後、生徒用テキストブックの活用法の解説およびワークシートの体験を実施しました。 
 ワークシートは、教科書と連動し、金融・経済単元への興味関心を高め知識習得につなげる基本授業「あなたとアーティストにかかわる銀行の役割」と、習得した知識をもとに金融について考え理解を深める発展授業①「銀行の役割:資金仲介」、発展授業②「金融機関の業務:融資(貸出)」および発展授業③「直接金融・間接金融」の4種類です(授業進行の詳細はティーチャーズガイドに掲載されています。)。 
 基本授業のワークは、「中学生が自分の好きなアーティストのDVDを買う」という身近な事例からお金の流れを考え、銀行の役割である「為替」を理解するものです。DVDを購入するために代金を振り込んでから、アーティストに印税が届くまでのお金の流れを、まず、先生ひとりひとりが生徒の立場でワークシートに書き込み、次にグループに分かれて話し合った結果をホワイトボードに書き出し、全体で共有しながら正解に導きます。 
 発展授業①のワークは、社会を支える様々な仕事の人にとってのお金を借りることのメリット・デメリットや、企業がお金を借りることでどんなことが実現できるようになるかを考え、資金仲介が世の中で果たす役割についてディスカッションをとおして理解を深めるものです。先生には、宇宙開発にかかわる企業や、住宅を開発・販売している企業、ロボット研究にかかわる企業がお金を借りることで、どんなことが実現できるのかを考えるグループワークを実践し、発表してもらいました。 
 発展授業②のワークでは、まず、資金を必要とする3つの企業について、企業の立場からどんなことをアピールすれば貸出を受けられるのかを考えて発表するグループワークを行いました。その後、貸出を行う銀行員の立場から考えて、どのグループの発表が説得力があったか、貸出を行いたいかについて議論しました。 
 最後に、アーティストの会社の新規事業に資金が必要になったという前提で資金調達の方法を学ぶ発展授業③のワークのポイントについて紹介しました。直接金融・間接金融のいずれも世の中の経済活動の発展に役立つこと、中学生が他者との意見交換を参考に、お金の使い方を決定する時に大切な知識や情報を整理し、自分自身の価値観や判断基準について考えさせることなどを通して、ソーシャルビジネスの例を挙げながら、「起業」や「投資」は従来にも増して若者にとって身近なものになりつつあり、中学校でこうした分野を教えることが重要であることを説明しました。

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